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GTX 1060 3GBに肉迫するTuring GTXのエントリークラス

GeForce GTX 1650とGTX 750 TiからGTX 1060までの歴代GPUを比較

2019年04月29日 18時45分更新

MaxwellやPascal世代のx50番台と対決

 今回はベンチマークのみなので早速検証環境の紹介といこう。GTX 1650搭載カードはASUS製の「ROG-STRIX-GTX1650-O4G-GAMING」を準備し、比較対象としてTU116ベースの一番下であるGTX 1660、価格的に安いがVRAMが少ないGTX 1060 3GB版、そしてPascal世代のx50番台よりGTX 1050 Ti及び1050、さらにMaxwell世代のGTX 950とGTX 750 Tiを比較した。

 なお、補助電源なしがウリのGTX 1650なのに補助電源ありモデルでしか試せなかったのは非常に残念なところだ。しかし、ビデオカードは強めにOCしたからといって上のモデルを簡単に超えられるものではない(通常のファクトリーOCレベルのOCでは性能の伸び幅が少ない)ので、とんでもなく外れた比較にはならない点は記しておきたい。

 そして、今回レビュー用ドライバーが提供されず、GTX 1650発売と同時に公開されたWQHLドライバー“430.39”でレビューせよとのことなので、今回すべてのGPUにおいて同ドライバーで検証を行なっている。

検証環境
CPU Intel「Core i9-9900K」(8C/16T、3.6~5GHz)
CPUクーラー NZXT「Kraken X72」(簡易水冷、360mmラジエーター)
マザーボード GIGABYTE「Z390 AORUS MASTER」(Intel Z390)
メモリー G.Skill「Trident Z RGB F4-3200C14D-16GTZR」(DDR4-3200 8GB×2、DDR4-2666で運用)
グラフィックス ASUS「ROG-STRIX-GTX1650-O4G-GAMING」(GeForce GTX 1650)、ASUS「PH-GTX1660-O6G」(GeForce GTX 1660)、ASUS「DUAL-GTX1060-O3G」(GeForce GTX 1060 3GB版)、ASUS「ROG STRIX-GTX1050TI-O4G-GAMING 」(GeForce GTX 1050 Ti)、ASUS「PH-GTX1050-2G」(GeForce GTX 1050)、GeForce GTX 950リファレンスカード、GeForce GTX 750 Tiリファレンスカード
ストレージ Western Digital「WDS100T2X0C」(M.2 NVMe、1TB SSD、システムドライブ運用)、Crucial「MX300 CT1050MX300SSD4/JP」(M.2 SATA、1.05TB SSD、データドライブ運用)
電源ユニット SilverStone「SST-ST85F-PT」(850W、80 PLUS Platinum)
OS Microsoft「Windows 10 Pro 64bit版」(October 2018 Update適用)

Time SpyでGTX 1060と差を詰めるTuring GTXらしい挙動

 ではいつも通り「3DMark」のスコアーと消費電力比較から基本的なパフォーマンスをチェックしてみよう。まずはFire Strike以上のテスト4種を比較する。DXRを利用するPort Royalは、GTX 1650では動作対象外(VRAM 6GB以上のGTX 10ないし16シリーズが必須)であるため、今回は省略している。

「3DMark」のスコアー。

 Turing GTXシリーズのウリとして、Pascal世代よりも少ないCUDAコアで高い性能が得られることに加え、シェーダーが新しいものほど性能が伸びるというものがあるが、3DMarkはそれが最も顕著に出ている。

 まずGTX 1650のFire StrikeのスコアーはGTX 1060 3GBよりもかなり低い。一方で、DirectX 12ベースのTime SpyのスコアーでもGTX 1060 3GBよりもスコアーは下だが、その差は大きくない。Fire Strikeでは76%程度のスコアーしか獲得できないのに対し、Time Spyでは90%程度まで差を詰めているのだ。

 CUDAコア数はGTX 1650が896基に対し、GTX 1060 3GBが1152基とかなり多いのでスコアー的に下回るのは仕方ないが、シェーダー次第では“大差”が“差”程度に縮めることができると考えてよいだろう。

 次に消費電力とワットパフォーマンスを比較する。消費電力計はラトックシステムの「REX-BTWATTCH1」を用い、アイドル時(システム起動10分後の安定値)、高負荷時(Time Spyデモ再生中のピーク値)を測定した。なお、Shadow of the Tomb Raiderプレイ時を計測するのが最近のトレンドだったが、今回はそのSotTRが落ちるので計測は断念した。

 そして、前出のTime Spyのスコアーを高負荷時の消費電力で割り、1WのあたりのTime Spyのスコアーも比較する。ワットパフォーマンスを語るには厳密とは言えない方法だが、この方法でもかなりの傾向がつかめる。

システム全体の消費電力。

 今回レビュー用として提供されたGTX 1650はかなりハイエンドなファクトリーOCモデルであるため、消費電力的にはかなり不利であることは言うまでもない。だが、高負荷時の消費電力はGTX 1060 3GBの75%程度と、これまたCUDAコア比に近いものが出ている。Maxwell世代のGTX 950に近い消費電力ながらも、描画性能はシェーダーの古いFire StrikeでもGTX 950の約150%程度アップしているという点は特筆すべきだろう。

1WあたりのTime Spyスコアー。

 ワットパフォーマンスを計算するとTuring世代が一番スコアーが高く、続いてPascal世代、最後にMaxwell世代とアーキテクチャーの変遷によって順当に向上していることがよくわかる結果となった。GTX 1650のワットパフォーマンスが1660に比べてやや悪化しているのは、OCによる消費電力の増加に加え、CUDAコア数やメモリーバス幅を絞ったTU117コアであることが理由と言えるだろう。

軽めであればVRも楽しめる

 続いては「VRMark」で検証する。残念ながらGTX 1650は“VR Ready”認定の出ていないGPUだが、軽めのVRコンテンツならどうだろうか? という観点でテストする。

「VRMark」のスコアー。

 x60番台のGPUに比べるとGTX 1650のVRパフォーマンスは相当に低い。Orange Roomを基準にするとGTX 1660に対しては67%、GTX 1060 3GBに対しては82%程度のスコアーしか獲得できていない。Cyan RoomになるとCUDAコアの改善点が威力を発揮し、GTX 1060 3GBとほぼ同等の性能を発揮しているが、GTX 1660に比べると価格なりの性能であることは否定できない。

 ただし、GTX 1650におけるOrange Roomの平均フレームレートは120fps。VRMarkのガイドラインによると、RiftやVive(初代)を想定した目標フレームレートは109fps(ゴーグルの液晶が求める90fpsに若干余裕をもたせた数値)だ。また、Riftが最小限要求する目標フレームレートが81fps(発売後に発表されたGTX 1060より上というスペックがこれに相当)であるため、軽めのVRコンテンツなら動かせる、といったところだろうか。

 ただし、安めのGTX 1650カードだとHDMIが1系統しかないので、メインディスプレーとの接続は少し工夫が必要だろう。

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