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実に30ヵ月連続で売上首位

人気No.1の実力派、マランツの一体型コンポが最新版「M-CR612」に進化

2019年03月25日 10時00分更新

テレビ連携や小音量時の使い勝手を向上

 利便性の面では、ボリュームコントロールのステップ数を従来の60から100に増やした。目的は、小さな音量で再生している際にも、細かな音量調節をできるようにするためだ。タイマー設定は従来、毎日同じ時間にオンするのみだったが、月~金のウィークデイのみ/週末のみ/カスタムなども選択できるようになった。

メイン基板

 テレビ音声と連動する「Optical INPUT」も便利な機能だろう。テレビの光デジタル出力と接続した場合に使えるもので、テレビの電源がオンになって、音声信号の出力を始めると、M-CR612本体の電源が自動的にオンとなり、光デジタル入力端子の再生に切り替わるというものだ。

 テレビとよりスムーズな連携をするなら、HDMI接続でコントロールできるスリムなAVアンプ「NR1609」という選択もあるが、M-CRシリーズはコンパクトなサイズでテレビ周りに置きたいという意見も多く、音楽再生を中心にしつつテレビの音も高音質にしたいという人に向けた機能として取り入れた。

 M-CR612の本体サイズは、幅280×奥行き303×高さ111mmで、重量は3.4㎏。カラーはシルバーゴールドとブラックの2色が選べる。

 マランツでは、M-CR612のシステム提案として、B&Wの「707S2」と組み合わせた「Premium System」(合計22万7000円)、「607」と組み合わせた「Standard System」(合計16万円)、DALIの「OBERON1」と組み合わせた「DALI System」(合計12万7000円)なども用意している。

いま市場で最も支持されている、ミニCDレシーバー

 一体型コンポは省スペースが魅力で、様々なソースに対応するという方向で進化を続けている。その中でM-CRシリーズは、ハイグレードな音質ということで“手軽にいい音を得たい”という人に支持されてきた。

 M-CRシリーズは、発売から24ヵ月間の出荷台数で見た場合、2010年9月発売のM-CR603と2013年8月発売のM-CR610の比較で2.3倍、M-CR610と2015年8月発売のM-CR611の比較ではさらに1.5倍の伸びを示した。現行のM-CR611は、横幅30cm以下のプリメインアンプ/レシーバーカテゴリーで、2016年5月以降30ヵ月連続で国内シェアナンバーワンを占めている(GfK Japan調べ)。

従来の傾向は維持しつつ、よりスピーカーの力を引き出す

 マランツの試聴室でデモも聴いたが、音質については、M-CR611も十分に高水準であり、M-CR612でも基本的な傾向は継承している。一方で、最近のマランツは「HD-AMP1」以降、「PM-10」や「PM-12」といったフラッグシップの製品でも積極的にD級アンプを採用しており、ノウハウもたまっているという。

 B&W「802D3」と組み合わせて、新旧機種を聴き比べるデモでは“音の切り込み感”などが確実に向上している印象を受けた。7万円の一体型機に360万円のハイエンドスピーカーを組み合わせるのは、さすがにミスマッチ感があるが、このクラスのものでも立派に鳴らせる実力があるという感想。開発段階では、こういった機器を使った検証も実施している。デモの音量位置は50%程度。B&Wのスピーカーは最低インピーダンスが2Ω台と低く、最大音量付近で鳴らすのは、さすがに厳しいとのことだが、家庭環境ならそこまで負荷のかかる使い方はしないし、十分な満足感が得られた。

B&W 707はバイワイヤリング対応(左)、DALI OBERON1はシングルワイヤリング対応(右)のスピーカーだ。

 推奨スピーカーのひとつになっているB&W「707」ではバイアンプの効果をデモ。大西順子『Tea Times』から「Blackberry」を聴いたが、低域の制動力が上がり、よりパワフルで密度感があるサウンドに変化する。ウッドベースなどのメリハリや厚みなどは醍醐味だ。

 サウンドマネージャーの尾形氏は「ハイエンドのスピーカーでもシングルワイヤリングのみにしているメーカーは多く、バイワイヤリングの設計が一概にいいとは言えない」と断りを入れたうえで、「しかし、B&WなどHi-Fi指向のブランドが敢えてスピーカーターミナルを2系統に分ける選択をしているなら、その効果を認めているという意思表示なので、積極的に活用すべきだろう」とコメントした。

 DALI「OBERON1」と組み合わせたパラレルBTLのデモでは、ちょっと聴きでも「抜け」が良くなったと実感できた。選曲は、細野晴臣のアルバム『HOCHONO HOUSE』から「僕は一寸・夏編」。冒頭の打ち込みベースの音から鈍重さや張り付いた感じが消え、より明快でくっきりした音が引き出された。ボーカルも明瞭かつクリアーになり、その効果はてきめんだった。M-CR612を使用する機会があるのであれば、ぜひその違いを実感してほしい。

 M-CR612は、コンパクトなブックシェルフスピーカーを追加するだけでシステムが完結する手軽さがある一方で、こうした駆動方法の違いを体験したり、好みに合ったスピーカーを幅広い範囲から探していける懐の深さもある。テレビラックやリビングのローシェルフなどにも置くことができる。じっくりと音に浸れるのはもちろんだが、テレビやちょっとしたBGMのクオリティーも格段に上げられるだろう。ヘッドホン出力もこだわっており、必要に応じてパーソナルな再生もできる。結果、いい音が身近になるし、デザインも含めて音楽を生活空間にさりげなくなじませられるのは、とても魅力的だ。

付属リモコン

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