低めのビットレートではTuringに軍配が上がる
最後にRTX 2060とGTX 1080で、新しいNVENC(心理視覚チューニング)を使用した時に画質に差ができるのかどうかを見て画質比較は終わりにしたい。差がわかりやすかったForza Horizon 4を使い、8Mbpsと40Mbpsの場合を比較する。
まず顕著な違いが見られたのが8Mbpsでの録画だ。コース上に落ちる建物の影のように、超高速で動くコントラストの強い物体の輪郭はRTX 2060でもGTX 1080でも漏れなくブロックノイズが出る。しかし、ブロックノイズの大きさを観察すると、GTX 1080のほうが大きめのブロックになることが多いのだ。さらに、ナンバープレートの数字や各種メーター類のディテールなども、GTX 1080のほうがRTX 2060よりも崩れて見える。
ビットレートを40Mbpsまで上げると違いはほとんどわからなくなるが、それでもメーターや地図の輪郭などに微妙なクオリティーの差が出る。こちらもRTX 2060のほうが上だが、ここまで上げるとTuringもPascalもあまり違いは出ない。ライブ配信に使うような8Mbps程度のビットレートで差がつくようだ。
Forza Horizon 4でのスタッターは「GPU占有率」が原因
さて、Far Cry New Dawnではうまく機能していたNVENCだが、Forza Horizon 4ではNVENCを使うとスタッターが出てしまった。これではx264のほうがまだ良いではないか……? ジサトラKTU #97放送時点ではドライバーやOBSの熟成が原因と考えていたが、これは筆者の考え違いだった。結論から言うと、GPU負荷が高すぎてエンコード処理の足を引っ張っていたことにある。
GPU負荷を下げるには画質を下げるのも手だが、フレームレートを制限してしまったほうが劇的に下がる。これは画質を下げて負荷が低くなったぶん、余計にフレームレートを出そうとする場合もあるからだ。
制限方法としては、ゲーム内のフレームレート制限機能を有効にしたり、V-Syncを有効にする、あるいはEVGA「Precision X1」などの外部ツールで強制的にフレームレートに上限を設けるなどのやり方がある。今回のテストのように安定してリフレッシュレート(60Hz)を大きく上回るフレームレートが出ているなら、V-Sync有効が一番手軽で確実だ。
フレームレートを制限することでNVENCがエンコードする際にGPUやVRAMのバス負荷が軽減され、エンコード処理がゲームの処理の足を引っ張ることはなくなる。試しにV-Syncを有効にして60fps上限にしたところ、新しいNVENCを使ってもスタッターが抑えられ、よりスムースな録画結果を得られた。
ざっと試してみたが、NVENCを利用すると10%程度GPU負荷が増えるようだ。つまり、エンコードをしない状態でGPU負荷が90%未満に抑え込めることができれば、GPU負荷の高いゲームでもスタッターの発生、ひいては録画や配信の微妙なコマ落ちを抑制できるようだ。
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