描画エンジンが新しければGTX 1070を超える
では「3DMark」のスコアー比べから始めよう。GTX 1660 TiはDXRに対応しないため、「Port Royal」は除外し、「Fire Strke」以上の定番テストを実施した。
Fire Strikeで比べると、GTX 1660 TiはGTX 1070のやや下で、対GTX 1060で30%程度上、対GTX 960だと2.2倍程度になるスコアーだ。しかし、Time Spyだとスコアーの傾向は異なり、GTX 1660 Tiが1070を数%上回っている。GTX 1060や960との差もTime Spyのほうが大きい点に注目してほしい。
CUDAコア数1536基のGTX 1660 Tiが1920基のGTX 1070に負けるのは当たり前だが、これはFire Strike(及びUltra)のシェーダーが古いためである。より新しいシェーダーを使っているTime Spyでは、CUDAコアやメモリーバス幅の差などを簡単に覆せるほどのアドバンテージがTuringアーキテクチャーには存在するのだ。
次は消費電力をチェックしよう。電力計測にはラトックシステムのワットチェッカー「REX-BTWATTCH1」を利用し、システム起動10分後の安定値を“アイドル時”、Time Spyデモ実行中のピーク値を“高負荷時”、そして「Shadow of the Tomb Raider」をプレイ状態で10分放置(DX12モード、画質“最高”、1920×1080ドット)し、その際の最大値を“SotTR時”とした。
TDP120WのGPUだけあって、オーバークロック版であっても消費電力はさほど大きくない。GTX 1070を上回る性能を出しているのに消費電力は同等、ということはワットパフォーマンスもかなり上がっていると判断できる。
そこでかなり乱暴な計算だが、上グラフの高負荷時の消費電力をベースに、1ワットあたりのTime Spyのスコアーを算出したのが下のグラフだ。
Pascal世代のGPUでもワットパフォーマンスが良いという定評があるが、TU116はそれをわずかに上回り、RTX 2060と同レベルの結果を出している。特にGTX 1060に対してはかなりの伸びを示していることがわかる。
続いては「VRMark」でVR環境でのパフォーマンスをチェックしてみよう。
TuringアーキテクチャーはCyan Roomのシェーダーと極めて相性が良い。Orange RoomのスコアーはGTX 1070と1660 Tiはほぼ同着(平均フレームレートにして約213fps前後)だが、Cyan Roomになると一気にGTX 1660 Tiが引き離す。そして、GTX 1060との差も41~70%増しと大きく開いた。新世代のミドルレンジを名乗るにふさわしいパフォーマンスと言えるだろう。
ちなみにNVIDIAの「GTX 1660 TiのパフォーマンスはGTX 960の最大3倍」という謳い文句だが、Cyan Roomのスコアーで3倍強であることが確認できた。
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