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「Apex Legends」で平均フレームレート120fps以上!

GeForce GTX 1660 TiはDXR&DLSSナシでも強い新世代ミドルクラス

2019年02月22日 23時00分更新

RTコアとTensorコアを削除した新コアを採用

 まずGTX 1660 Tiの技術的な側面を整理しておこう。「GTX」の名を冠していること、さらに新しいコア名「TU116」が付けられていることから想像がつくと思うが、RTXテクノロジーの核心部分、RTコアとTensorコアを搭載しない新設計のコアが採用されている。

 300ドル以下に抑えるという目的もあるが、それ以上にGTX 1660 Tiクラスの規模ではRTコアやTensorコアを搭載してもユーザーが満足する性能が得られないから削除した、とNVIDIAはレビュアーズガイドで解説している。

 描画性能の要であるCUDAコア数は1536基で、GTX 1060とGTX 1070の中間に位置する。これまでx70番台とx60番台の間には大きな性能ギャップがあり、ライバルのAMDがこの隙間をRadeon RX 590で狙ってきたが、今度はNVIDIA自身がこのギャップを埋めに来たわけだ。

GTX 1660 Tiと近しいセグメントにあるGPUのスペック比較。

「GPU-Z」でGTX 1660 Tiの情報を拾ってみたが、GPU-Zは昨年11月を最後に更新が止まっているため、空欄の部分が多い。特にブーストクロックの表記が見えないのが辛い。他社製カードでもベースは1500MHzのまま、ブーストクロックで差をつけた製品が多いようだ。

テスト用カードに同梱されるOCツール「GPU Tweak II」では、きちんとブーストクロック1860MHzが確認できた。ちなみにGPU Tweak II内のGPU-Zも本家GPU-Zと同様の表示しか得られない。

 TU116ではRTコアとTensorコアが削除されてしまったが、Turingのキモの部分であるCUDAコアの設計はそのまま継承されている。つまり、モードを切り替えるように浮動小数点演算と整数演算を処理していたところが、完全に並列演算できるようになったことでスループットが大幅に向上している。このあたりの話は昨年RTX 20シリーズのローンチ時に書いた記事も参照していただきたい。

 また、VRAMはGDDR6を採用したがメモリーデータレートはRTX 20シリーズよりやや遅い12Gbps相当でバス幅は192bit、容量6GBとなっている。メモリー帯域はGTX 1060が192GB/secなのに対しGTX 1660 Tiは288.1GB/secと大幅に伸びているのは明らかに今どきのゲーム対策と言える。

 しかし、「Apex Legends」の最高画質設定だとVRAM 8GBが推奨される状況を考えると、やや少ないのではという気がする。とはいえ、VRAMを6GBに絞ってきたということは、このGTX 1660 TiはフルHD~WQHDゲーマーのためのチョイスであることを強く示している。

RTX 2060のブロック図。SM(Streaming Multiprocessor)10基で構成されるクラスター(GPC:Graphics Processing Cluster)が3基あり、RTコアとTensorコアは各SM内に分けて配置される。グレーで半透明化した部分はRTX 2070との差分だ。

GTX 1660 Tiのブロック図。GPC内のSM数が8基に減っているほか、各SM内にRTコアが描かれていない点に注目。メモリーコントローラーは32bit幅のものが6個で、合計192bit幅となる。

Turing世代のCUDAコアは、共有メモリー&L1キャッシュまわりに大きな設計変更が入り、演算パフォーマンスが上がっている。

PascalまでのCUDAコアは浮動小数点演算と整数演算はどちらか一方しか実行できなかったが、Turingでは並列実行できるようになった、という図。左側のグリッドは「Shadow of the Tomb Raider」で100回演算処理が行なわれた場合、38回が整数演算で残り62回が浮動小数点演算だった、という意味だ。

浮動小数点と整数演算の同時実行やキャッシュまわりの改善などでGPUのIPCはどの程度向上したかを示す図。Pascal(灰色)を1とすると、Turing(緑)はおおよそ1.5~1.6倍速い。これはGTX 1660 Tiだけでなく、既存のRTX 20シリーズにも言えることだ。

GPUの消費電力に対して得られるフレームレートの図。GTX 1660 TiはGTX 1060の1.4倍高い。つまり、ワットパフォーマンスも上がったよ、という意味のグラフとなる。ちなみに、GTX 1660 TiはTDP120WだがOCすると140Wをやや超えることもある、とも読み取れる。

 もうひとつつ言及しておきたいのはGTX 1660 Tiが置き換えを狙うx60番台のGPUとの差異だ。先程述べた浮動小数点演算と整数演算の同時実行など、Turingが得意とする処理は新しいシェーダーを利用するゲームで使われている。逆に言えば、古いシェーダーを使ったゲームでは大きなパフォーマンスゲインが得られないことを示唆している。

NVIDIAの資料によれば新しいゲーム(NVIDIAの肝入りタイトルばかりではあるが)ほど、GTX 1660 TiとGTX 1060の差は大きくなるとしている。

 ただし、RTX 20シリーズから追加されたVirtualLink対応のUSB Type-C出力は、GTX 1660 Tiではコストダウンのために搭載されないだろう。事実、RTX 2060もVirtualLinkを搭載したのはFE以外だとGIGABYTEのアッパーグレード製品程度しかなかったことを考えると、ある意味当然と言える。

 とはいえ、デバイスマネージャーを見るとGPU内にUSB 3.1コントローラーは残っているので、メーカーがコストをかければ追加できるといったところか。

デバイスマネージャーを見ると、GTX 1660 Tiと同列にNVIDIAのUSB3.1コントローラーが列挙されている。物理的に回路を繋げばGTX 1660 TiでもVirtualLink対応は可能ということだ。

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