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『アメリカン・スナイパー』『ハドソン川の奇跡』に続く6本目の快挙を達成

『運び屋』クリント・イーストウッド最新作 4つのポイント解説!

2019年03月09日 16時00分更新

2.監督&役者で立ち向かった初の実話作品

 『運び屋』は2014年6月に『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』に掲載された「シナロア・カルテルの90歳の運び屋」という記事をもとにしている。レオ・シャープ(今作ではアール・ストーンになっている)はデイリリーというユリの栽培で有名な人物だが、1度に13億円相当のドラッグを運んだこともある実在の運び屋だ。

 イーストウッドは『父親たちの星条旗』と『硫黄島からの手紙』の硫黄島2部作以降、実話にもとづく作品を多く手がけてきた。とくに渡辺謙と嵐の二宮和也が共演した『硫黄島からの手紙』は日本で興行収入51億円の大ヒットとなった。2006年の作品だが、覚えている人も多いのではないだろうか。

『硫黄島からの手紙』

 ここ最近では、イラク戦争に従軍した実在のスナイパーを描いた『アメリカン・スナイパー』、2009年に起きた「USエアウェイズ1549便不時着水事故」を題材にするトム・ハンクス主演『ハドソン川の奇跡』が大ヒットをした。

『アメリカン・スナイパー』

『ハドソン川の奇跡』

 どの作品も主演はブラッドリー・クーパーやトム・ハンクスなどの有名俳優で、決してイーストウッド自身が演じることはなかった。今作は硫黄島2部作以降に実話にこだわり続けてきた彼が、初めて監督だけではなく役者としても立ち向かった実話作品なのだ。この点からも、『運び屋』はイーストウッド映画の集大成にふさわしいと言えるだろう(※2)。

(※2)硫黄島2部作の以前、イーストウッドが関わった実話ものは『アルカトラズからの脱出』や『バード』ぐらいだろう。

(次ページでは「88歳なのにベッド・シーンを演じるワケ」)

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