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『アメリカン・スナイパー』『ハドソン川の奇跡』に続く6本目の快挙を達成

『運び屋』クリント・イーストウッド最新作 4つのポイント解説!

2019年03月09日 16時00分更新

4.ふたりの親友に捧げた映画

 今作はイーストウッドがフランス人で映画監督のピエール・リシアン氏と、アメリカ人の映画史家リチャード・シッケル氏に捧げた映画だ。

 リシアン氏はフランスで彼の映画をいち早く評価した人物だ。一方で、シッケル氏は彼のドキュメンタリー映画『クリント・イーストウッドの真実』や、彼公認の自伝『クリント・イーストウッド:レトロスペクティヴ』などで知られる人物である。

Image from Amazon.co.jp
クリント・イーストウッド:レトロスペクティヴ

 思えば、西部劇『許させざる者』も、彼が師と仰ぐイタリア人の映画監督のセルジオ・レオーネ氏と、アメリカ人の映画監督のドン・シーゲル氏に捧げた作品だった。

 レオーネ監督は「スパゲティ・ウェスタン」や「マカロニ・ウェスタン」と呼ばれるイタリア製の西部劇『荒野の用心棒』で、イーストウッドを主演映画デビューさせた人物だ。レオーネ監督と出会いがなければ、彼は単なるテレビ俳優で終わっていた可能性も否めないのではないか。彼の無口で孤独なガンマンというイメージはレオーネ監督とともに始まったのだ。

 一方で、シーゲル監督は『ダーティハリー』の原型となった『マンハッタン無宿』や、『ダーティハリー』の監督を務めた人物である。単なる西部劇の俳優だったイーストウッドはシーゲル監督の力で、アメリカを代表する俳優になることができた。

 今作でもイーストウッドはお世話になった人への感謝は忘れない。ピエール・リシアン氏とリチャード・シッケル氏と言われて、ピンと来る人は少ないかもしれない。しかし、2人ともイーストウッドの親友だった。

 まだまだ語るべきことがあるイーストウッドの集大成『運び屋』。残り3つのポイントは後日公開する。

●公開情報
・『運び屋』原題:THE MULE
・2019年3月8日全国公開
・監督&出演:クリント・イーストウッド(『許されざる者』『ミリオンダラー・ベイビー』)
・脚本:ニック・シェンク(『グラン・トリノ』)
・出演:ブラッドリー・クーパー、ローレンス・フィッシュバーン、アンディ・ガルシア、マイケル・ペーニャ、ダイアン・ウィ―スト、アリソン・イーストウッド、タイッサ・ファーミガ
・配給:ワーナー・ブラザース映画
・レイティング:G
・上映時間:1時間56分
公式サイト

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