週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

日本の官庁が本気で進める「空白の7年」を取り返すプロジェクトの背景を聞く

日本が空飛ぶクルマを進めるべき 経産省若手官僚が狙う産業革命

「空白の7年」を取り返す
世界的なルールづくりから貢献し、日本の存在感を示す

 官民協議会を開催するうえで、経産省として重視している点は2つあると海老原氏。

 ひとつは技術偏重にならないこと。これまでの「いい技術があれば売れる」という発想から、新しいエコシステムをどうつくっていくか、という考え方に切り替えなくてはならない。官民協議会では、空飛ぶクルマをつくる人たちだけではなく、サービスを提供する事業者にも参加してもらい、初期の段階からサービスモデルを考えて制度もつくっていくとのこと。

 もうひとつは、海外との連携。航空機の世界では、日本は戦後の7年間、GHQの指令で航空機の生産や研究が禁止され、設計図などもすべて廃棄した。その空白の7年のあいだに、ジェットエンジンなど最新の技術が開発され、航空機は、欧米先行でルールがつくられてきた。

 空飛ぶクルマは、新たにルールづくりの議論がなされ始めている段階だ。このタイミングで参入すれば、日本も下請けではなく、ルールづくりから貢献する余地がある。これが空飛ぶクルマに参入する大きな意義だ。

 その観点から、国内事業者だけが集まって話しても、世界のルールとそぐわなければ意味がない。ガラパゴス化した国内市場を作るのでなく、最初から世界の市場を見据えた戦略を考えてほしい。そこで、官民協議会では、エアバスやUberなど海外の事業者とも一緒に議論を進めている。

 日本の企業では、組織の中で新しいことにチャレンジするのは難しいが、官民協議会のこうした動きは、高い志や技術をもつ人が組織を説得するうえでの武器にもなる。事実、第1回の開催後、官民協議会へ入りたいという声が多数届いているそうだ。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう