週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

「北海道だからこそ挑戦できた」実験の背景や現状、将来のビジョンをカタクラフーズに聞いてみた

天然物に負けないAI・IoT活用サクラマス陸上養殖実験

2018年11月30日 09時00分更新

IoTによる可視化は従業員の負担軽減にも効果大

 実際にIoT化した部分としては、遠隔での水槽監視がそれにあたる。画像データから水の濁り具合、注水やエアレーションの状況を確認できるようになり、直接水槽に行かずともスマホから監視が可能となった。

 実際に水槽の管理に携わっている株式会社カタクラフーズ 営業課 主任 藤山 純氏にも話を聞いたところ、IoTによる可視化はメンタル面に好影響をもたらしているとのこと。

 「水槽が気になったら、スマホですぐに現在の状況を確認できます。スマホを通して水槽の様子を確認できるので、休日でも出勤しなければならなかった働き方が変わったのもいいですね」(藤山氏)

株式会社カタクラフーズ 営業課 主任 藤山 純氏

 ペットの犬猫とは違い、魚の養殖では一定量の餌を定時に投げ込めばいいというものではないそうだ。水温や水質の変化が、その日の食欲に大きな変動をもたらすのだという。餌が少なければ体の大きな魚が餌を独占してしまい、弱く小さな魚にまで餌が行き渡らない。逆に餌が多すぎれば水槽内に残った餌によって水質が悪化してしまう。その日の食いつきを見ながら給餌漁を調整する、それが将来スマホひとつでできるようになってくれればと期待しているのだという。

自動化など今後の展開に向けた準備も進む

 現在は人間が目で確認しながら給餌しているが、さらにこれを進めて自動化しようと取り組んでいるのが、日本オラクルとさくらインターネットのエンジニアだ。

 さくらインターネットが整備したネットワークを通じ、日本オラクルのエンジニアがリモートで水槽を監視、映像を収集している。機械学習を通じて、水槽の画像から適切な給餌量を判断して自動的に餌を与えるようにしたいとのこと。

東京からリモート操作できるよう整備された監視端末

 「実験開始当初は、日本オラクルからエンジニアの方が何度も足を運んでくださっていました。しかしNo Maps事務局を通してさくらインターネットの協力を得られて、今はリモートで頻繁に見てもらえるようになりました」(猪股氏)

 まだ1年目であり、学習データを蓄積している段階だが、次の一手に向けて着実に歩みを進めている。夏の水温を生き延びた魚同士を交配させることで、水温上昇に耐える強い魚種を育てることも考えていると、猪股氏は展望を語る。天然物に負けないサイズの養殖サクラマス、数年後には稚内の新名物になるかもしれない。

■関連サイト

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう