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アメリカでライドシェアを使ったら、ご近所連絡ツールの売り込みを受けた

2018年10月04日 10時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

アパートにまつわること全部

 火災などの緊急通報の際は、アパートの誰かがまず管理人に連絡し、管理人がテナントである住人に連絡する、という手順になるかと思います。しかしBuilding.chatはそのタイムラグなく、テナントがテナントに直接連絡できるようになります。

 また、管理人とテナントの間のやりとりも円滑になります。こちらでは、家賃の支払いは、現状では多くの場合で「小切手の郵送」なのが現実的ですが、Building.chatを介して銀行間送金が可能になり、かなり手間が軽減されます。

 水漏れや設備の不具合などをすぐに知らせてもらえるようになり、もし周辺の部屋に影響がありそうな工事であれば、すぐにチャットでアレンジもできるでしょう。

 もっとカジュアルに、不要になった家具などの交換やガレージセール、ピザパーティーなど、ちょっとしたイベントにも活用できるようになるでしょう。

 管理人とテナント双方の利便性とコミュニケーションに取り組むBuilding.chatですが、発展性は非常に豊かです。チャットの相手は必ずしも人だけでなく、ビルに張り巡らしたセンサーやIoTデバイスでもいいわけです。

 たとえば気象センサーが設置されていれば、天気予報よりもより正確なそのビルの状況をリアルタイムで把握し、暴風や大雨の対策などを管理人と住人に自動的に通報できるようになります。地震計を設置していても同様でしょう。

 また、テナントごとに電気料金を支払っているとは思いますが、ビル全体の電気使用量の統計を出し、節電をビル全体のチームで取り組んでも面白いのではないでしょうか。

 個人間、友達グループ、職場、クラスなど、人が活動するさまざまな単位に対してチャットサービスが用意される昨今、ビルに対してチャットサービスが用意されることは自然な流れかもしれません。そして、コミュニケーションに留まらない、問題解決のプラットホームになっていくこともまた期待できるのです。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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