米国でもApple Watchを決済に使ってきたが、
日本ではやはりSuicaがとても便利
筆者はiPhoneと紐付けて使うウェアラブルデバイス、Apple Watchを使っています。アクティビティ計測や通知を手首だけで受け取る用途からスタートしましたが、個人的にはモバイル決済のApple Payが非常に気に入っています。
米国でも、買い物でのクレジットカード決済や銀行ATM利用、そしてスターバックスなどのプリペイドカードが利用できる点が便利でした。しかし日本ではSuicaが利用でき、ほとんどの鉄道やバス、タクシー、コンビニといったお店を手首だけで利用することができるようになります。
最近便利だと気づいたのは、東京などで普及しているドコモのシェアサイクル「ドコモ・バイクシェア」。自分のApple WatchのSuicaを登録すると、Apple Watchをタッチするだけで、事前の予約なしで自転車をすぐに利用できます。
そもそもドコモ・バイクシェアで事前予約をする場合、バッテリ残量が少なかったりパンクしている自転車をつかまされる可能性もあるため、その場で自転車の状態をチェックしてから借りる方がいいと言えます。その手軽さを確保する意味でも、Suicaを会場キーにできる仕組みは非常に便利なのです。
ということで、日本では米国以上に便利さを享受できるApple WatchのSuica対応。筆者は右利きですが、日本ではApple Watchを右手首に付け替えて利用するようになりました。その方が、リーダーが右側にある改札を通過する際、よりスムーズになるからです。もっとも、キーボード仕事が多いため、右だろうが左だろうが、あまり関係ないということもあるのですが。
明治神宮前駅の改札にて
駅の窓口で変な体勢になることに
便利なApple WatchでのSuica利用ですが、先日ちょっと困ったことが起きました。Suicaで改札を通り、途中PASMOの定期券を持っている区間を通過し、さらに乗り越して降りようとした時のことです。
ちょっと込み入った話になるのですが、この場合、そのままSuicaで改札を通ると、定期を持っている区間も含めて全額を徴収されてしまうので精算しなければならないのですが、定期区間前と定期区間以降を別々に精算しなければならず、機械での処理ができません。そもそも精算機にApple Watchを挿入できませんし……。
そこで駅の有人窓口で精算しようとしたのですが、精算中はカードをリーダーに乗せっぱなしにしておかなければなりません。ところがそのリーダーが改札の窓口の奥の方に置かれていたため、なんとか手を伸ばして手首のApple Watchをリーダーの上に固定する体勢を取ることになりました。
まあ、右の体側の筋が伸びてピリピリするし、改札の窓に挟まっている人みたいになってしまう恥ずかしさもあり、普段なかなか体験できない状態に陥ってしまいました。
ちなみに正解は定期券が入ったPASMOカードに1000円でも2000円でも、乗り越し精算のためにチャージしておくことです。メインはApple WatchのSuicaで良いのですが、急いでいるときに精算しなければならないことも考慮しておくべきかと思います。
まあ、あまりに現金を持ち歩かなさすぎて、まだ定期券にチャージしていないのですが。
体に情報を書き込まれる感覚
Apple Watchを精算しているとき、少し感じた不思議な体験をメモしておきます。届くかどうかギリギリのところに手を伸ばしながらApple WatchのSuicaの処理をしていたときのことです。
Suicaに対しては、最初に入った駅の入場記録があるので、定期区間が始まる駅での出場処理をして精算をし、定期区間の終わりの駅で入場して、今いる駅で出場して精算するという処理をしなければなりません。
つまり、かざしている間に3回、Apple Payの「コキーン」という音と、Apple Watchを通じて手首に伝わってくる振動フィードバックを体験することになりました。
情報が書き込まれているのは手首にあるApple Watchなのですが、若干囚われのみのような体勢と、同じタイミングで振動のフィードバックから、なんとなく自分に情報が書き込まれているような感覚を覚えました。
自分自身は変わっていないかもしれないけれど、駅員さんからすれば、「きちんと精算が済んで出られる状態になった人」に変化しているわけです。
たとえば、チップが埋め込まれていて、情報的に人が処理される感覚というのはこういうことなのかな、と思うと、少し未来を先取りした感覚すら覚えます。もっとも、埋め込んだチップが書き込みに反応して振動すると、とても痛そうな気がしますが。
もちろん、想像上の話ではありますが、テクノロジーによって今後もたらされる、新しいサービスを創造するとき、既存の体験から想像を膨らませたり、予想して見ることは非常に大切だと思います。
もし皆さんの身近で、そうした近未来体験のヒントになりそうなことがあったら、ぜひ教えてください。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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