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4K/HDR/144Hzの最強ゲーミングディスプレー「ROG Swift PG27UQ」ついに登場!

2018年08月08日 11時00分更新

 近年のゲーミング向けディスプレーでは、なめらかな映像の動きを実現する“120~240Hzのハイリフレッシュレート”、GPUの描画速度と画面の書き換えを同期してテアリングや遅延を抑える“G-SYNC・FreeSyncなどのディスプレー同期技術”の搭載はもはや当たり前。4Kクラスの超高解像度や幅広い明暗を表現できるHDRへの対応、広色域といった付加価値を備える製品も増えてきており、今後もスペック競争が激化していくことは間違いない。

 そんな中、8月8日に発表されたASUSのゲーミングディスプレー「ROG Swift PG27UQ」は、27インチ液晶で4K解像度/G-SYNC HDR対応/IPSパネル採用/144Hz駆動など充実のスペックを実現した、ゲーミング用途では世界最強クラスのエンスージアスト向け製品だ。発売は8月24日で価格はオープン(実売価格28万円前後)となっているが、国内市場では同等以上のスペックを備える製品が販売されていないこともあり、4K/HDR/144Hz/G-SYNC環境でゲームを楽しみたいなら選択肢はこの製品のみとなる。

 要求されるPC性能の高さやHDR対応タイトルが一般化しているとは言えない都合上、現状では性能をフルに発揮できる状況がかなり限定されるものの、唯一無二の魅力を備えていることは確か。特に、画質と性能を常に追い求め続けるハイエンドPCゲームユーザーにとっては無視できない存在だろう。

「DisplayHDR 1000」認定を受けた最初のゲーミングディスプレー

「ROG Swift PG27UQ」。実売価格は28万円前後

ゲーミングらしい背面のデザインが強烈。なお、ROGロゴ部分は発光する

 「ROG Swift PG27UQ」は、384分割の直下型バックライトを採用した27インチの液晶ディスプレーだ。前述の通り解像度は4K(3840×2160ドット)で、HDR表示にも対応。なおHDRに関しては、米VESA(ビデオエレクトロニクス規格協会)が策定した品質基準「DisplayHDR version 1.0」のうち最高位である「DisplayHDR 1000(HDR 1000)」認定を取得した最初のゲーミングディスプレーとなる。

384分割の全面直下型バックライトを採用。HDR 1000の豊かな明暗表現を実現している

 同規格の認定を取得するためには、最大輝度1000nitの豊かな明暗表現が可能なことはもちろん、色域ではITU-RのBT.709を99%カバー、さらにUltra HD Blu-rayに採用される「HDR10」をサポートするなど、用途によらず極めて高い性能が求められる。本製品はゲーミングディスプレーというくくりではあるが、ほかのクリエイティブな用途でも活躍できるポテンシャルを備えていると言って差し支えない。実際に4K/HDR表示したゲーム画面を見てみると、その綺麗さに驚かされることは間違いないだろう。写真ではその魅力を十分に伝えることができないため、こればかりは実際に見ていただくほかない。

 最大リフレッシュレートは144Hzで、NVIDIAのディスプレー同期技術「G-SYNC HDR」に対応。「G-SYNC HDR」は、読んで字のごとくHDR表示でもG-SYNCを利用するための技術だが、こちらも本製品が国内初の対応製品となっており、4K/HDR/144Hz駆動のディスプレーはこれまでに類を見ない。「バイオハザード7 レジデント イービル」「Far Cry 5」などのHDR対応タイトルを高解像度かつ高フレームレートでプレイしたい場合、現状は本製品以外の選択肢が存在しないというわけだ。もちろんPCにも極めて高いスペックが求められるが、逆に言えば、PCスペックを存分に発揮させるためのディスプレーという意味では、本製品がもっとも有力な選択肢と言える。

画面のテアリングやスタッタリングを抑える「G-SYNC HDR」にも対応。なお、国内で「G-SYNC HDR」に対応したディスプレーは、2018年8月時点で本製品のみとなる

 画質の良さに加え、視線の角度による色変化が少ないIPSパネルを採用するのも注目ポイントだ。120Hz以上のハイリフレッシュレート液晶を採用したゲーミングディスプレーはTNパネルの製品がほとんどで、上下・左右に角度をつけた場合は画面の色味や輝度が大きく変わってしまう。競技シーンでの勝利を目指すためにゲームの画質を落とすような使い方をするのであればTN液晶でも大きな問題はないが、4K/HDRのようにリッチな環境でゲームの雰囲気を満喫したい場合はIPSパネルがベストだ。

 一方で、IPSパネルには応答速度を速めることが難しいというデメリットもある。本製品もその例に漏れず、応答速度は4ms(GtG)と特別速いわけではない。スペックシート上ではほとんど唯一のウィークポイントとも言えるが、ここは画質面とトレードオフでもあるので、個人的にはあまり気にしすぎる必要はないと感じる。「中間色応答速度4msと1msの違いを明確に感じられるか」という問題はともかくとして、あくまでも本製品は「極めて高い画質かつなめらかな映像でゲームをプレイすること」が主に考えられる用途だ。競技シーンでの利用にも耐えうるスペックだとは思うが、実際にFPSやMOBAタイトルでの勝利を目指すためだけに購入するのは(主に価格的な問題で)現実的ではないだろう。

 むしろ、クリエイティブ向けディスプレーとしても活用できる汎用性の高さが本製品の隠れた魅力と言えるかもしれない。先に述べた通り、HDR 1000認定を受けた本製品の色域は非常に広く、ITU-RのBT.709を99%、DCI-P3を97%、Adobe RGBを99%カバーし、色精度は⊿E(デルタイー)値3.0以下にキャリブレーションされた状態で出荷される。4K/HDR対応も相まって、写真・動画編集などのクリエイティブな現場でも活用できる高い性能を備えており、ゲーミングディスプレーとクリエイティブ向けディスプレーを1枚にまとめるならこれ以上ない選択肢となるだろう。

ROGロゴを背面に投影? ASUS ROGならではの遊び心も

 外観はこれまでのROGシリーズ製品を踏襲したゲーミングらしいデザインを採用。パネル部分は0~120mmの高さ調整、90度回転、+35~-35°の左右角度調整、+20°~-5°の前後角度調整に対応する。また、パネル天面に環境光センサーを備え、暗い場所ではディスプレーの輝度を下げ、明るい場所では輝度を上げるといった自動制御が可能だ。

本体上部には環境光センサーを備え、ディスプレーの輝度を自動で制御してくれる

 映像入力端子はDisplayPort 1.4×1、HDMI 2.0×1。そのほか、USB 3.0端子×2、、オーディオコンボジャックを備える。そのほか側面部分にある設定ボタンを使えば、画質プリセット(Racing、Cinema、RTS/RPG、FPS、sRGB、Scenery)の切り替えや、画面にクロスヘアやタイマーをオーバーレイ表示する「GamePlus」機能、フリッカーフリーやブルーライトカットといった機能を利用できる。

映像入力端子はDisplayPort 1.4×1、HDMI 2.0×1。

入力切替や各種設定は本体側面のボタン類から

 本製品の外観上の最大の特徴は、液晶背面部分の巨大なROGロゴおよび発光機能だろう。設定ボタンからオン/オフやある程度の発光カラー変更が可能だが、PCとUSB接続することにより、ASUSのLED同期機能「Aura Sync」によるカラー・パターン同期にも対応する。いかんせん背面なので、壁を背にして本製品を設置するような場合は見えなくなってしまうのが難点だが、これだけ凝ったディスプレーを設置するなら部屋のレイアウトを工夫してみるのも一興だろう。また、従来製品と同じくスタンド下のROGロゴライトも健在だが、こちらは赤一色で、輝度のみを段階的に変更できる。

とにかく発光部が多い本製品。背面ROGロゴ、スタンド上部、下部が発光する。なお、Aura Syncに対応しているのはROGロゴ部分のみだ

 もう一つ特徴的なのが、前代未聞の「壁面にROGロゴを投影する」LEDの存在だ。「ROG Light Signal」と名付けられた同LEDは、スタンド上部に用意されており、ある程度の角度調節が可能な赤色のROGロゴを天井や壁面に投射できる。簡易版「ROG Spotlight」とも言うべき機能で、インパクトは凄いものの、実際に使用するかどうかは部屋の環境や個人の嗜好によりけりだろう。公式サイトによれば、「ゲーマーはROGのロゴを壁に投影してゲーミングスピリットを表現することができます」とのことだが、こうした遊び心もROGブランドの魅力と言えるのではないだろうか。

スタンド上部のLED(ロゴの下部分)は、壁面や天井にROGロゴを投影するためのもの。下のダイヤルで角度を調整できる

実際に写すとこんな感じ。あらゆるデバイスをROGで揃えるようなコアファンにはたまらない機能だろう

唯一無二の液晶ディスプレー、ハイエンドユーザーなら“買い”

 実売価格は28万円前後となる見込みで、個人向けのディスプレーとしては非常に高価。とは言え、一般的なゲーミングPCでは使いきれないほどの性能・機能を備え、換えが効かない製品であることを考えれば、購入する価値は十分にあると言えるだろう。新CPU・GPU登場の噂もぽつぽつと聞こえてきている今、PCのスペックアップに備えて投資しておくのも悪くない選択ではないだろうか。

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