週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

15型超挟額縁で6コアでGTX1070なのに16ミリのスーパーカーなのであ~る

Razer Blade 15 試用レポート = モノリス・デザインなのに暴速だったっ!!

2018年07月25日 10時00分更新



 Razerは米国で5月22日に世界最小の15型ゲーミングノート「Razer Blade」を発表した.2013年に発売となったスリム・ゲーミングノートの元祖ともいえるBladeシリーズの最新モデルで、同サイズのボディに15.6型液晶を搭載した、フルモデルチェンジである.

 日本版サンプルモデルが到着したので、さっそく試用してみたでござ~る.

スリムノート界のスーパーカーが
フルモデルチェンジだっ

 RazerのPC製品をおさらいしておくと、激薄軽量の「Blade Stealth」が13.3型3200×1800ドットにi7-8550U搭載で約1.4キロ、超級の「Blade Pro」は17.3型でFHDまたは4K液晶に、コアi7-7820HK+GTX1080を選択すると約3.5キロである.

 今回フルモデルチェンジした「Blade」は、この2機種の間のサイズとなるフラッグシップ機で、2017年モデルは14型でFHDまたは4Kに、コアi7-7700HQ+GTX1060を搭載して約1.9キロだった.

左からStealth、Blade、Proの3兄弟

 Blade 2018の最大の特徴は、シャープな新ボディと、狭額縁の15.6型液晶を搭載したことだ.ボディサイズは355×235×16.8ミリで、前14型モデルの345×235×17.9ミリと比べると、横幅は10ミリ長くなっているが、奥行きは同じで、厚みは1.1ミリ薄くなっている.

 他社の15型ノートと比べると、狭額縁の元祖デルのXPS15は357×235×17ミリ、ASUSのZenBook Pro15は365×242×18.9ミリ、MSIのGS65 Stealth Thinは358×245×17.9ミリで、新Bladeは3サイズすべてで最小となっている.メーカーが「世界最小」という由縁だ.

 前14型モデルは、いまとなっては「広額縁」なデザインだったので、今回、4.9ミリ(液晶の左右)という狭額縁化によって、ほぼ同じサイズのボディに15.6型の液晶を搭載できているわけだ.液晶上部も約9ミリと狭いが、WEBカメラとマイクを搭載している.

左が旧モデルでとても「広額縁」だったが、右の新モデルはほぼ同寸ながら「狭額縁」によって15型になっている.

 ボディ形状はよりシャープなソリッドデザインで、前も後ろも横も直線である.天板の膨らみやボンネットラインはなくなり、完全なフラットで、まさにモノリスなデザインとなった.

黒くて直角でフラットになって、まさにモノリスなデザインなのだっ.

 すべての「角」も超鋭角で手が切れそうな形状.もちろん天板からキーボード面、底面にいたるまで金属=アルミの削り出しである.

このカドっこのシャープさがすべてなのである.

スリムボディに6コアCPUと
GTX1070も!!

 新Razerの搭載CPUは8Gコアのi7-8750Hでベース周波数2.2GHz、ターボブーストで4.1GHz駆動する.メインメモリーは16GBのDDR4で、前モデルまではメインボードに直付けだったものが、デュアルチャネルのソケット型に変更となり、最高32GBまで増設できる.

 GPUはもちろんGeForce様で、「GTX1060+6GBVRAM」か「GTX1070+8GBVRAM」の2種類.で、ともにMAX-Qデザインである.前モデルはGTX1060のみだったので、MAX-Qのおかげで1070まで搭載できるようになったわけだ.

 ちなみに、さきほどのボディサイズはGTX1060を搭載したモデルで、1070モデルはちょっと分厚い17.3ミリある.とはいえ、1070でも前モデルからは0.5ミリ薄くなっているのだ.

左右にタイプAが配置された親切設計なのだ.

 重量は、フルHDの1060モデルが2.07キロ、1070モデルが2.10キロ、4Kモデルが2.15キロである.前モデルは1.86/1.95キロだったので、全体として約200グラム重くなっている.試用したサンプル機はフルHDの1070モデルだが、実測では2068グラムだった.

 液晶サイズは15.6型に変わったが、解像度はフルHDまたは4Kと同じで、フルHD解像度ではリフレッシュレート60Hzに加え、144Hz駆動の液晶も用意されている.ともにノンタッチでノングレアのゲーマー仕様で好感が持てる.

 ただし、4K液晶のほうは60Hzのみで、タッチセンサー付きで、残念ながら光沢のみとなる.両解像度ともにIPSで、AdobeRGBの色域を100%カバーし、視野角は170度と広い.

 キーボードは横幅が282ミリとコンパクトながら、日本語の独自キーも幅寄せされず、きちんと配置され、リターンキーも大きい.

左は旧モデルの英語キーボードで、右は新モデルの日本語キーボード.きゅうくつな部分はない.

 キートップにはカナの印字はなく、とてもスッキリしている.ストロークは長くはないが、しっかりしたクリック感があり、キモチがいい.

 キーボードバックライトはおなじみのRazer Chromaで1キーごとにフルカラーを指定でき、ウェーブや星空といった光りかたの変化も指定できる.ちなみに、各キーはメインの文字だけが光るようになっている.たとえば「1」のキーは、1は光るが、!は光らない.これもちょっと上質な感じを与えるのだ.

キーボードバックライトはユーザーが任意の色を割り当てることもできる.タッチパッドは広大でキモチがいい.

 キーボードの手前のタッチパッドは大きくなった.ちょうど130×80ミリで、ガラス素材を使用しており、タワミなく確実にクリックできる.クリック音も静かで高級感がある.

 いつものことだが、オレ的にはタッチパッドとボタンは別にしてほしいところだが、素早いゲーミングには、どこでも押せるこちらに軍配が上がるのかもしれない.あと、おじさんはやはりUS配列キーホードも選べるようにしてほしかったりもするのだった.

 マシンのコントロールは付属ソフト「Synapse3」で指定できる.さきほどのキーボードの発光はもちろん、キーの有効・無効や、グラフィック能力のUP、ファンの回転数も指定可能.マシン独自のこうした設定がひとつのソフトにまとまっているのは便利でござる.

「Synapse3」のメインメニュー.設定ものはすべて集合しているのが便利なのである.

キーボードのバックライトは各種の「動き」を選ぶことができる.

パフォーマンスの設定(左側)では、バランスとゲーミングの切り換えと、ファンの回転速度も指定できる(最高は5000RPM).

 インターフェイスは本体の左側に電源、USB3.1のタイプA×2とヘッドセット端子が、右側にはケンジントンロックにミニディスプレイポート1.4、HDMI2.0bのフル端子、USB3.1のタイプA×1にThunderbolt3のタイプC×1とそろっている.我々取材班としてはSDカードスロットが欲しいところだがUSBにリーダーを挿してガマンしよう.

HDMIとミニディスプレーポートが両方あるのがウレシイのでござ~る.

液冷システム「ベイパー・チャンバー」で
強力放熱を実現

 これまで搭載していた7Gの4コアCPUも、今回から採用となった8Gの6コアも、TDPは45WのHシリーズである.さらに今モデルでは、MAX-Qとはいえ、ひとつ上位のGTX1070を搭載している.こちらはCudaコア数が1280から2048個へと1.6倍増えたことになる.ほぼ同じサイズのボディでより高速のチップを搭載しているのだから、放熱機構はより強化しないとホットすぎるマシンになってしまう.

 従来のBladeは、他社のゲーミングノートと同様に、CPU/GPUの発熱をヒートパイプで運び、ファンを使って放熱していた.しかし今回の新Bladeは「ベイパー・チャンバー」という液冷方式を採用.フラットな中空の板に液体を満たして、CPU/GPUとフィンの間を対流させて、熱交換をおこなう.フィンは0.1ミリ厚で68枚設置しており、44枚羽根の新型ファンで放熱する.

ベイパー・チャンバーとフィン、ファンの裏表はこんな状態.銅色の板のような部分の中を液体が移動しつつ排熱する.

 さらに、新採用の断熱シート「Nanoparticle Thermal Blocker」をCPU/GPUの上面と下面に設置し、ボディに伝わることを防止している.

底面はファンの部分に吸い込みのためのスリットが、後部には排出口がみえる.液晶の角度によって後部または液晶にそって冷却風が流れる.

底面の内側には、断熱のためのシートが張られている.

 実際に3D系のベンチマークテストを連続動作させると、ファンが回り、熱風がマシンの後方に排出される.最高回転になるとさすがに風の音が大きくなるが、本体底面とキーボード面は従来モデルほど「熱く」はならない.ベイパー・チャンバーの威力である.

本体の後部はこんな感じで液晶を閉めると排気スリットが見える.

こちらサンプル機の内部ですので、製品版とは異なる部分がある可能性がありますが、メインメモリ(中央やや右)とSSD(左)ともにスロットになっているので、ユーザーが交換できそうだ(ただし保証を受けられなくなる場合があります).

ベンチマークテストは期待以上
激薄モデルながらよく回るマシンなのである

 おなじみのベンチマークテストは、もちろん「最高パフォーマンス」に設定して、Synapse3のパフォーマンス設定では「ゲーミングモード」にして計測した.

 CPU速度をみるCinebenchではCPUが1157、OpenGLが116となった.i7-8750Hを搭載した他社モデルより数%高速である.前モデルはi7-7700HQ+GTX1060だったが、736と95という数値で、CPU速度は1.5倍高くなっている.

 3DmarkのFireStrikeは14130が出た.これも、同じCPU/GPUを搭載したゲーミングノートより速い.前モデルでは9279だったので、こちらも約1.5倍速くなっている.

 SSDの速度はCrystalDiskmarkで計測したが、シーケンシャルのマルチでリードが2827、ライトが1982で、全体としてきちんとPCIeの速度が出ており、特に書き込み速度が速かった.試用機のSSDはSamsungのPM981(MZVLB512)である.

 新Bladeはバッテリー容量も増えて、前モデルの70Whから80Whへと強化されている.BBenchで「最も高いパフォーマンス」にし、液晶輝度最高で実行したが、3時間20分稼働した.前モデルの4時間からは落ちているが、液晶サイズが大きくなり、CPU/GPUも高速化しているぶんと考えると3時間を超えているのはエラいのだ.

 今回、付属のACアダプターも新しく(大きく)なっている.従来は出力165Wだったが、新モデルではGTX1060搭載モデルには200Wのものが、GTX1070搭載モデルには、なんと19.5V×11.8Aの出力230Wのものが付属している.サイズは170×70×25ミリで、重量はACケーブル込みで784グラム(!)である.

 そのぶんというか、充電時間はとても成績がよく、上記の放電と同じ最速状態で計測したところ、PCを稼働しながらで、バッテリー50%まで34分、70%まで50分、90%まで67分で、高速充電といえる速度で、使っていてストレスはない.

小型ながら出力は230Wという強力なACアダプターが付属する.接続端子は新しい3ピンのものになり、DC側のケーブルも太くてたのもしい.

デザインと速度と放熱
3拍子そろったスーパーカーなのである

 「デザインは好みが分かれる」などという評価がよくあるが、この新Bladeはとにかくカッコイイ.直線のモノリスデザインと薄さによる印象が強烈なのである.編集部のウルサガタのみなさんも、このカタチだけは納得なので、みなさんもぜひ店頭に出向いて手にとって欲しいのである.

 クリアなデザインに加えて世界最小なうえ、CPU+GPUパワーに光るキーボードに広い画面で、ちょっと無敵である.ゲーマーのみなさんだけではなく、シビアな写真・動画編集をする人にも、お勧めしたいプレミアム・モバイルノートなのであ~~る.



追加情報
日本版が正式発表になりました~~!!

この記事が上がったあと、公式発表があり、日本での発売は8月3日(金曜日)で、まずはフルHDのみで4K液晶はお預けのようです.

お値段は税込みで22万6600円からとなっております.ここで紹介したFHD+i7-8750H+GTX1070のモデルはSSD256GBで28万6000円、512GBで31万3000円ですね.品薄になる前に買いましょう!!

今回日本で発表となった4モデルはすべてフルHDでござる~~

  • ついに発表となった日本版Bladeの公式ページはこちら


  • この記事をシェアしよう

    週刊アスキーの最新情報を購読しよう