すでに700以上のスキルが公開!数だけでなく、クオリティも上がっている
ユーザーの声を取り込み、ますます進化するAlexaスキルの現状
2018年5月30日からスタートした「AWS Summit 2018」では注目の音声認識技術であるAlexaに関するセッションもいくつか行なわれた。「Amazon Alexa~ボイスファーストから始まる新しいライフスタイル~」と題したセッションでは、アマゾンジャパンのAlexa担当から日本での発売から約半年を経たAmazon Echoや進化を続けるAlexaスキルについてわかりやすく説明された。
すべては「スタートレックの世界を実現したい」から始まった
Alexaの概要について説明したアマゾンジャパンのカレン・ルービン氏は、AmazonがAlexaを開発しようとしたきっかけとして宇宙船の中でコンピューターと言語でやりとりできるスタートレックの世界があったと説明する。
AmazonがVUI(Voice UI)にこだわるのも、人間にとって言語がもっとも自然なコミュニケーションだから。1970年代、文字表示だったコンピューターとのインターフェイスは、1980年代にGUIになり、さらにWebへ、モバイルへと進化を続け、今まさにVUIの時代が訪れつつある。コンピューターの能力の飛躍的な向上で、音声認識を実現するために重要な単語数も増え、今やレストランの予約まで可能なレベルに成長した。
こうしたVUIを実現するのがAmazonのAlexaになる。「Alexa!」といったウェイクワードを聞き取ると、音声はテキストに変換され、自然言語処理でユーザーの意図を読み取り、必要なサービスを起動。そこから音声で反応したり、曲をかけるといった処理が戻される。一連の処理はAWSクラウド上に実現されており、日々膨大なデータインプットと機械学習を経て、どんどん進化しているという。
Alexaに対応したAmazonのスマートスピーカーであるAmazon Echoは米国ではすでに発売されてからすでに3年半が経ち、日本でもようやく昨年発売が開始。「あめ」と「雨」のような同音異義語、「ドリカム」「ミスチル」のような一般表現などを日々学習して、日本語できちんと使えるプロダクトにまで育っているという。
デモと動画でAlexaスキルの進化をアピール
続いて登壇したアマゾンジャパン アレクサビジネス本部長 柳田 晃嗣氏は、Alexaがオープンなプラットフォームであることを強調。Alexa Voice Serviceを使うことで、容易にAlexaに機能を追加できるとアピールした。こうして作られたAlexaのアプリがご存じ「Alexaスキル」だ。
昨年12月の発表当初、265だったスキルはすでに700以上にのぼっている。ユーザーとのタッチポイントを増やしたり、マーケティング目的で利用するといったモチベーションで、日本語のスキルが日本で次々生みだされている状態だ。
続いて柳田氏は、さまざまなAlexaスキルを紹介する。まず利用者No.1なのは今いるエリアで放送しているラジオ局の番組を聴ける「radiko.jp」。音楽や声の配信ということで、ユーザーも利用イメージが沸きやすいのが人気の秘訣だ。
既存のスキルも進化している。たとえばクリプトン・フューチャー・メディアの「Hey Miku!」は当初、初音ミクとの会話だけだったが、AIが作詞した短い歌詞をさまざまなアレンジで歌ってくれるという機能が追加されている。「やはり歌って欲しいという要望が多く寄せられたようで、リクエストに応えて即興で曲を作ってくれる機能が追加されている」(柳田氏)。
その他、柳田氏は近所の店で牛丼を頼める「すき家のお弁当注文」やプッシュ通知で注文したタクシーの到着を知らせてくれる「全国タクシー」、高い評価でレーティングを得ている「和風JAZZ」、店内放送を家で楽しめる「ローソンラジオ」などをビデオとデモで紹介し、ユーザーの声にあわせてスキルが進化していることをアピール。また、心地よい睡眠をうながすスキルが人気を博しているほか、「放課後、わたしと化学の1問1答」(ベネッセ)や「日本史年表」など教育系スキルも増えている。単に数が増えただけではなく、クオリティも上がっているのが、Alexaスキルの現状と言える。
課金対応も強化!VUIの世界をみなさんと作りたい
続いて、柳田氏は「朝は天気とニュース」「昼から音楽やラジオ」「夜はトリビアやゲーム」「就寝前は睡眠スキル」といった利用動向を披露。土日は1時間後ろにずれるといったグラフを披露しながら、「実際の消費者の生活が見えることで、エンゲージメントを高めることができる」とアピールした。
マネタイズに関しては、Alexa以外で流しているものと同じオーディオ広告もであればOK。課金に関しては、全国タクシーのような都度課金、クックパッドやNAVITIME、dヒッツなどのサブスクリプションサービスなど、Alexa外での課金は可能だという。さらに米国ではAmazon Payの決済サービスが利用できるようになっているほか、In Skill purchasingと呼ばれるスキル内課金も始まっており、コマースプラットフォームとしても進化を続けている。
柳田氏はAlexaスキルの開発を支援すべく、ハンズオンなどを随時開催しているほか、オンラインセミナーやポータルのリニューアルも行なったとアピール。「24世紀を待たず、スタートレックの世界に近づいている。みなさまとVUIの世界を作っていきたい」と語り、セッションを締めた。
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