LINEが20日、自転車シェアリング事業への参入を発表した。
2018年上半期サービス開始予定。中国の自転車シェアリング最大手モバイク日本法人モバイク・ジャパンに出資し、業務提携を結ぶ。LINEアプリからモバイクの検索、鍵の解錠、支払いができるようなサービスを想定しているという。
モバイク・ジャパンはLINEとの提携以前から日本でサービスを提供している。今年8月には札幌市内でスタートしており、利用料金は30分間100円。札幌では導入後プロモーション料金として半額の30分間50円で提供していた。
LINE代表取締役 出澤剛社長CEOによれば、参入した理由は3点。
1点目は月間利用者数7100万人に及ぶ日本のLINE利用者に利便性を与えられる点。2点目は日本が1人あたりの自転車保有台数において中国を上回る有数の自転車大国という点。「若い方を中心にクルマの保有が減っている中、新しい形が提案できる」(出澤社長)。3点目は2020年東京オリンピックのインバウンド需要。「海外でシェアバイクを使っている人に受け入れられるはず」(同)
モバイクについては「非常に早いスピードで自転車そのものをアップデートするスピード感は相性が合うと思っている。サービスは改善が大事。ソフト面でもハード面でも世界でも改善が早くハイレベル」(同)と同社のスピード感を評価した。
LINEではアプリをポータルとみなし、利用者とモノやサービスの距離を縮める「クロージングディスタンス」を打ち出している。モバイク創業者フー・ウェイウェイ(Hu Weiwei)は「人と都市の距離、到着地との距離、ラストワンマイルを解決するためのソリューションだ」と同社理念に共感して提携を決めたという。
モバイクはQRコードをかざすことで使えるようになるスマートロックを使ったIoT自転車シェアリングの仕組みが特徴。「専用アプリによるどこでも乗り捨て」「スマホによる自動決済」「利用料金がバスや地下鉄の半額以下」などのメリットを実現したことで中国内の人気が上昇した。今年に入って中国当局からの規制が厳しくなり、駐輪が指定エリア限定になり乗り捨てができなくなっている。
エアレスタイヤを搭載するシェアリング専用自転車を、中国深セン自社工場で開発しているのも特徴。生産可能台数は1日10万台。自転車は細かな改良を重ねており現在のモデルはバージョン2.9。日本人デザイナー深沢直人とのコラボレーションモデルも制作している。現在稼働している自転車の台数は世界800万台以上。毎日3000万回の利用があり、走行データは毎日30TBという。
自転車シェアリングは中国を中心に2015年以降急成長している事業分野。日本でもドコモやソフトバンク、セブン-イレブン、メルカリ、DMMなど多くの事業者が参入あるいは参入を表明している。
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ、家事が趣味。0歳児の父をやっています。Facebookでおたより募集中。
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