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3Dスキャン機能やAndroid 8.0最速導入のきっかけを聞く

「縦長ディスプレー」と「2眼カメラ」のXperiaを出さないワケは? Xperia XZ1開発者に直撃

2017年09月06日 15時10分更新

Motion Eyeカメラのこだわりと時代をリードする「3D Creator」

──今回、XZ1の裏面カメラ「Motion Eyeカメラ」がやや出っ張っています。この点が気になるユーザーもいると思いますが。

 XZ1 Compactは十分な厚みがあるので、ほぼフラットですが、XZ1はボディーを薄くすることで、カメラが出てしまったというのが正直なところです。

 Motion Eyeカメラ自体が十分な光学性能を得るための高さと、ボディーの薄さとのギャップが、残念ながら出てきているというところです。

XZ1ではボディーを薄くしたためにMotion Eyeカメラが出っ張っている

──合わせて、カメラ部分の直径がXZ1とXZ1 Compactでは大きさが違うように見えますが、これにも何か意図があるのでしょうか。

 XZ1 CompactでXZ1のカメラの直径にしてしまうと、大きすぎます。逆に、XZ1でXZ1 Compactの直径にすると、貧弱な感じに見えてしまいます。

 ですので、カメラのデザインとしてのハーモナイズを取るために、製品によってリングのサイズを調整しています。今回に関しては、XZ1が基本で、XZ1 Compactはやや小さくした感じです。そしてXZ1では、こういったデザインにすることで、カメラの強さを表現していると捉えていただいていいと思います。

XZ1とXZ1 Compactでカメラリングの直径が違うのは意図して製品によって調整した結果

──最近、競合製品では2眼カメラの採用がトレンドとなっていますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

 今年に関しては、Motion Eyeカメラをしっかり熟成させるというのがミッションでした。将来的には、複数のカメラを使ったときにどういったユニークな特徴を出せるのか、というところを引き続き検討しているという段階です。

 2眼カメラ自体を否定しているわけではないですが、2眼だから何かがすぐにできるというわけでもないと思っていますので。

──では、2眼カメラでどういったソニーらしさを示せるか、追求しているところという感じでしょうか。

 はい、そのように考えていただいてかまいません。

──今回のXZ1、XZ1 Compactで特徴的な機能が、Motion Eyeカメラを使った「3D Creator」だと思いますが、これはどういった意図で搭載されることになったのでしょうか。

 3D Creatorのコアとなっている技術やソフトウェアは、スウェーデンの開発拠点でつくっています。

 以前より3Dのスキャンができるという話はあったのですが、ユーザーが簡単に利用できるものとしてご提供できるのがこのタイミングになった、というのがひとつです。

 また、ARやVRなど、仮想現実に対してどういった表現をするのかという部分で、なかなか具体的な話がなかったところで、この3Dキャプチャーは相性が良さそうということで、今回ご提供することで、ARやVRの取り組みに対して提案したいと考えました。

3D Creatorは、提供できるタイミングが今になったのと、ARやVRとの相性が良さそうと考えて提供することに

 今後は、さまざまなコラボレーションも考えられますし、3Dキャプチャリングというところで業界内で少しでもリードして、Xperiaの特徴としてお届けできれば、ひとつのアドバンテージになるとも思います。

 そして、楽しい感じを出したいというのもあります。単純に3Dでキャプチャーするだけではなくて、それをどう活かすか、お客さんにどう楽しくお届けするか、が重要です。

 技術的には、ソフトウェア、アプリケーションでの技術です。カメラセンサーさえあればできることですので、多面的に展開できる技術となっています。

 ですので、XZ Premiumにもご提供する予定です。ただ、高度な演算が必要となる関係と、光学的な部分もあって、まずは対応機種を限定してクオリティーを担保させていただいて、来年以降の商品にどうやって活用していくか、考えていきたいと思います。

XZ1を手に説明する安達氏

業界最速で提供するAndroid 8.0 Oreoと背面に戻ってきたNFC

──今回、OSとしてAndroid 8.0を業界最速で採用されていますが、これについては、これまでのソニーとグーグルによるさまざまな場面での提携や共同開発が影響しているのでしょうか。

 ソニー全体としてのグーグルさんとの関わりが、より密になっているのはその通りだと思います。ただ、Androidをプラットフォームとして採用しているXperiaでは、モバイルとしてのAndroid OSへの深い関わりがあります。

 象徴的なのが、Android 8.0から「LDAC」が標準搭載になっていますが、我々ソニーが開発したソフトウェアがAndroidに貢献したりとか、やりとりが密になっていくことで、OSのアップデートによる差分が少なく開発できるような体制が整っています。

 だからこそ、ソフトウェアとしての開発スピードや、OSへの追従性が上がってきている、という部分がベースだと思っています。もちろん、ソニー全体の関わりも重要だと思いますが、グーグルのモバイルチームとの関わりが良好であるというところが大きいと思います。

グーグルとの関わりが密になっていることや、アップデートに迅速に対応できる体制が整っていることで、いち早くAndroid 8.0の採用を実現

──NFCが本体裏に戻っていますが、これはユーザーから使いづらいという声を受けてのものでしょうか。

 そういったこともなくはないです。こういったユーザビリティーの部分は、慣れでどうにかなる部分ではあります。XZ/XZsでは、結果としてNFCの一番感度のいいところが前面だったということでした。

 ただ、フィーチャーフォンの頃から、背面をかざすということが染みついているというユーザーさんが一般的なので、XZ1とXZ1 Compactでは、背面に置くことで本来必要のない注意喚起を回避できることになります。

NFCが背面に戻ったのは、ユーザーの声も少なからず影響しているようだ

──今回も、2月のMWCから約半年で、新たなフラグシップモデルが投入されることになりましたが、今後もまた半年サイクルでフラグシップモデルの投入が続くのでしょうか。

 業界の革新のスピードが意外とゆるんでいないな、というのがあります。我々としてご提供したい新しい機能や体験、競合さんと業界を盛り上げていく基礎体力の向上といったものは、1年に限って新モデルをご提供するのではなくて、よりよいXperiaを適宜ご提供するべきだと思います。

 その結果として、半年サイクルになっているように見える商品が出てくることはあり得ると思います。

 ソニーの独自テクノロジー、ディスプレーの画質やカメラの画質、音質などをしっかり磨き上げていくというところや、3D Creatorに代表される、楽しみを付加させた機能など、AV的な進化に加えてXperiaならではの楽しさみたいなものを、いかに付加させていくかというところを、今後も追い求めていきたいと思います。

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