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電動化時代を先取りしていた三菱アウトランダーPHEVが進化! さらに電気自動車に近づいた!

2017年03月18日 12時00分更新

名門「ビルシュタイン」のサスペンションは
ランエボ譲りだった?!

 というわけで事前の情報を整理して、ようやく運転席に腰を下ろす。システムを起動(エンジン始動ではない!)して最初に気付くのはナビゲーションシステムが一新されていること。ロックフォード・フォズゲートというアメリカ生まれのオーディオブランドが手掛けたオプションのプレミアムサウンドシステムが装着されているのはこれまで同様だが、新しいナビシステムはApple CarPlayとAndroid Autoの両方に対応したスマートフォン連携ディスプレイオーディオとなっている。

「EVプライオリティモード」を選ぶと、メーター中央のディスプレイに大きく“EV”の文字が現れる。可能な限りエンジンをかけずに走る様は、まだまだ未来感に満ちている

パドルシフトによって回生ブレーキ(モーターの発電によるブレーキ)の強さを6段階で調整できる。左のパドルを操作すれば回生ブレーキが強まり、右を操作すると弱まるといった具合

 今回、Androidのスマートフォンが接続された状態で貸し出されていたおかげで、「OKグーグル」と呼びかけることで目的地設定ができた。もちろん、地図は常に最新版といえるGoogleマップなのはうれしいポイント。このコネクティビティー感は、PHEVという新しいメカニズムの走行フィールとの感覚的なマッチングも良いのは発見だった。

 そう、アウトランダーPHEVは4年前に誕生したクルマだが、そのパワートレインはいまだ最先端。ハイブリッドではあるが、市街地を走行している限りは、ほぼ100%モーターだけで走行している。つまり、2016年秋に日産がローンチした新しい電動駆動システム「e-POWER」と走行感は同じなのだ。さらにいえば、アウトランダーPHEVは前後独立したモーターによる4WDなのも魅力。マニアックな話になるが、前後の駆動力をコントロールすることで直進安定性を高めたり、コーナリング性能につなげたりといったことができる。

フロントフードを開けると、2.0リッター4気筒エンジン、発電用モーター、駆動用モーター、インバーターなどがぎっしりと詰まったパワートレインが確認できる。エンジンは最高出力・最大トルクとも同じ4500rpmで発生する発電時の効率を優先したセッティングだ

基本的にはハイブリッドカーのため、ガソリンを給油することでどこまでも走っていくことができる。長距離ツーリング時も安心だ

 今回のマイナーチェンジでは、おもに悪路を走るときに用いる4WDロックモードにおいて、前後モーターの駆動力制御を最適化するなどの進化をさせているという。舗装路では駆動力制御に変化はないということだが、こうした進化は改良ポイントのひとつであるシャシー性能の強化が効いているはずだ。

 というのも、今回試乗したのは新設された「Sエディション」なるグレード。工場に専用ラインを用意して組み上げているというボディーは、ボディー後部を中心に全長4メートルも構造用接着剤を塗布することで剛性を高めているという。さらに黄色い筐体が印象的な世界の名品「ビルシュタイン」のショックアブソーバーを採用しているのだ。こうしたスポーティーなサスペンションといえばカッチリとした走りの反面、乗り心地が悪化するという先入観もあるが、アウトランダーPHEV Sエディションについていえば、「ビルシュタインらしいカッチリ感がありながら、チューニングサスペンションとしてはマイルド」というのが第一印象。今回、長距離ツーリングをする機会はなかったので、あくまで一時間ほど市街地を走行したのみだが、乗り心地が悪いという印象は受けなかった。

Sエディションには、ハンドリングを引き締める倒立タイプのビルシュタイン製ショックアブソーバーを標準装備。アッパーマウントなどのパーツがランサーエボリューションと共通しているのも、走りへの期待値を高める

ダーククローム塗装のSエディション専用ホイールを履く。タイヤはSUVらしいマッド&スノー、季節を問わない安心感とマイルドな乗り味に貢献している

 純正状態でビルシュタインのサスペンションを装備している三菱車といえば、ランサーエボリューションが思い浮かぶ。電子制御された駆動力で曲がるという点でもアウトランダーPHEVの先輩格だ。そう考えると、新設された「S エディション」というのは“アウトランダーPHEVエボリューション”にまであと一歩といえるのかもしれない。

 そうした思いを強くしたのは、アウトランダーのプロジェクトマネージャーが松井孝夫さんと知ったから。古くからの三菱ファンなら、この名前に見覚えがあるだろう。全日本ラリーなどで活躍するレーシングドライバーであり、ランサーエボリューションのフットワークを仕上げてきた人物だ。その松井さんがアウトランダーの走りを磨き上げていると知れば、アウトランダーPHEVは単なるエコカーにとどまらず、ハイテク4WDマシンとして進化していくことに期待できそうだ。

プラグインハイブリッドEVというロゴは左右フェンダー部分とリアゲートに入る。PHEVという名前にはEV的な走りを楽しめるプラグインハイブリッドという意図が込められている

ブレーキペダルとアクセルペダルはスポーティーなメタルタイプ。すべり止めのデザインで電動車両らしい未来感を演出しているようだ

最上級グレードらしく、エレクトリックテールゲートを標準装備。運転席のスイッチやリモコンでも開閉できる

本革ステアリングとシルバーアクセントのコンビネーションが未来感をアピール。Sエディションのインテリアは専用のシルバージオメトリック調となっている

今回の一部改良では、三菱がFCMと名付けた衝突被害軽減ブレーキをレベルアップ。赤外線センサーと単眼カメラを組み合わせたセンサーと使うことで歩行者を検知できるようになった。30km/hの実験では余裕で止まることができた(車両はガソリン車のアウトランダー)

「三菱アウトランダーPHEV Sエディション」の主なスペック
メーカー 三菱自動車
車両型式 DLA-GG2W
全長×全幅×全高 4695×1800×1710mm
ホイールベース 2670mm
車両重量 約1900kg
乗車定員 5名
エンジン形式 直列4気筒DOHC
総排気量 1998cc
最高出力 87kW/4500rpm
最大トルク 186Nm/4500rpm
駆動モーター定格出力 前25kW/後25kW
駆動モーター最高出力 前60kW/後60kW
駆動モーター最大トルク 前137Nm/後195Nm
駆動バッテリー リチウムイオン電池
総電圧 300V
総電力量 12kWh
燃料消費率 19.2km/L (JC08モード)
タイヤサイズ 225/55R18
メーカー希望小売価格(税込) 478万9260円
クリーンエネルギー自動車導入促進対策費補助金 13万2000円

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