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電動化時代を先取りしていた三菱アウトランダーPHEVが進化! さらに電気自動車に近づいた!

2017年03月18日 12時00分更新

「EVプライオリティモード」を設定
エンジンを回さずに走る領域を拡大

 2016年は三菱自動車の問題が日本の自動車業界に影を落とした。いわゆる燃費偽装問題はすべて解決したわけではないが、2017年3月9日に国土交通省へ提出した再発防止策実施状況において、当初の再発防止策31項目の実施を2017年4月1日までに順次対策を実施することを報告している。これにより禊(みそぎ)を済ませたことになるとは言えず、今後も、真摯な「ものづくり」をしているか市場からは厳しい視線にさらされることになるだろう。だからこそ、これから三菱自動車が生み出すクルマの仕上がりというのは気になる。汚名返上をかけてエンジニアが心血注いだ製品だからこそ、厳しい目でチェックしたいとも思うし、それだけ期待もできると感じる昨今だ。

 今回、紹介するのは三菱自動車のラインナップを象徴するモデルといえる「アウトランダーPHEV」だ。PHEVとはプラグイン・ハイブリッド・エレクトリック・ビークルの略称で、一般名式的にはプラグインハイブリッドと呼ばれているクルマを示す。つまり外部充電の可能なハイブリッド(エンジンとモーターで走る)カーというわけだ。

ホワイトパール×ブラックマイカの2トーンスタイル(+8万6400円)、ルーフレール(+3万2400円)を装備した試乗車「アウトランダーPHEV Sエディション」の外観。グッと踏ん張ったシルエットに見えるが、最低地上高は190mmと余裕があり、SUVらしい走破性も期待できる

 いまや流行のど真ん中といえるSUVスタイルのボディー床下には12kWhの総電力量を誇るリチウムイオンバッテリーが敷き詰められ、CHAdeMO(日本生まれの急速充電規格)と200Vコンセントからという2種類の外部充電に対応。スタイルにふさわしく、前後に定格出力が同スペックの駆動モーターを配した4WD(四輪駆動)となっていて、カタログスペックでは60km以上もバッテリーに溜めた電気だけで走ることができる。

 一方、フロントには総排気量2.0リッターのガソリンエンジンが搭載され、バッテリーの電気を使いはたした後にはエンジンで発電機を回して充電しながら走ることが可能となるし、急加速や高速域ではエンジンの力をダイレクトにタイヤに伝えて走ることもできる。このあたりの制御は自動的に行なわれるため、ユーザーは難しいことは考えずに、アクセルペダルを踏んでいるだけでモーター駆動によるスムーズな走りを味わうことができるのだ。

 三菱のアウトランダーPHEVは最近出たクルマというわけではない。そのデビューは2013年1月とちょっと前。しかし自動車というのはマイナーチェンジによって性能を磨き上げていくもの。今回、試乗することができたのは2017年2月に一部改良と新グレードを追加した最新モデルである。その改良における主な変更点は、バッテリーマネージメントとシャシー性能(サスペンション)の強化だ。

今回の改良で印象が変わったのがセンターコンソール。4WDモードの切り替えボタンの下には新設「EVプライオリティモード」のスイッチが備わる。その右側にオートホールド機能付きEPB(電動パーキングブレーキ)も新たに装備されたもの。未来的なシフト操作系は従来通りだ

 前者についてはバッテリーからの出し入れ両面でブラッシュアップしている。まずバッテリーからの出力は、従来比で10%ほど多く電力を引き出せるようにしているのがトピックス。4年間の経験で、バッテリーの寿命に影響を及ぼさない範囲で、電気のみで走れるシーンを増やしている。

 充電では制御の改良がポイント。CHAdeMOを用いた80%までの充電において、これまでは30分かかっていたところが、25分で済むようになった。充電器が使い放題の契約であれば5分短縮しただけの話に見えるが、時間による従量課金制の充電器では少しでも充電時間が短いほうが経済的。リアルにプラグインハイブリッドを運用しているユーザーほど、このメリットは理解できるだろう。

Sエディションに標準装備されるSDA(スマートフォン連携ディスプレイオーディオ)はiPhoneやAndroidのスマートフォンとつなぐことが前提。慣れ親しんだグーグルマップで道案内をしてくれるのは親近感がわく

Sエディション専用の本革シート。サイドサポートは人工皮革としたコンビネーションタイプで、ゴージャスな雰囲気を醸し出す。後席中央にはドリンクホルダー付きアームレストを備える

Sエディションには1500Wの100V AC電源が標準装備。コンセントはフロアコンソール背面とラゲッジルームの向かって右側に配置。いずれも3極コンセントとなっている

 また、プラグインハイブリッドを選ぶような環境意識の高いユーザーから「エンジンをできるだけ使わずに走りたい」という声がある。そのリクエストに応えるべく、今回の一部改良では可能な限りエンジンを(発電のために)始動させず、EV走行を優先させる「EVプライオリティモード」が新設定された。これまで設定されていなかったことも意外だが、エンジンをかけないということは、特に暖房がほとんど効かないために難しい面もあったのだという。現在は、電気温水ヒーターをオプション設定しているので、EVプライオリティモードを多用したいと考えているユーザーには、ぜひ装着してほしいとのこと。

100V AC電源のオン・オフは運転席のスイッチで行なう。寒い時期に効率よく暖める機能としてステアリングヒーターも備わっている

充電ポートは車両右側に配置。手前が普通充電、奥が急速充電(CHAdeMO)だ

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