2019年07月11日06時00分

JリーグID活用によるデジタルマーケティグ戦略

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 アプリが軌道に乗り始めているのと同時に、パートナーとの連携も進んでいる。その1つが、NTTドコモだ。

 NTTドコモは2017年6月にJリーグとパートナー契約を締結、以来協業を進めている。NTTドコモの馬場氏によると、そこでの狙いは2つーーデジタルマーケティングとスタジアムの体験価値だ。

 デジタルマーケティングでは、女性ファンをどうやって増やすかなどのJリーグ側の課題を支援できるとみる。「ドコモは契約者情報などの顧客の属性に関するデータ、そして位置情報やdカード決済履歴などのリアル行動に関するデータ、dマーケットの利用履歴やアプリ利用ログなどのネット行動に関するデータがある。お客様の許諾を受けてこれらを加工して、様々な分析を手伝うことができる」と馬場氏はいう。

 たとえばスタジアムの来場についてのデータ、Jリーグが現地で集計したデータではコアファンが多くてライトファンが少ないという結果が出たが、ドコモが位置情報からスタジアムにいると推測されるユーザーに対して行った調査では、ライトファンがそれなりに来場しているという反対の結果がでた。

 そうなると、”ライトファンをいかに増やすか”という当初の課題から、”継続して来場してもらうにはどうすればいいか”という課題に広げることができる。

「そういったことができるのも、Jリーグ側で手間をかけて顧客データのデジタル化と共通基盤化を進めているから。土台があれば、我々のデータを掛け合わせて、何らかの仮説を立ててPDC(計画ー実行ー検証)サイクルを回すことができる」と馬場氏。

JリーグID

 ドコモの位置情報、契約者の属性情報などを組み合わせることで、位置、男女構成比などこれまでなかなか可視化できなかったところがわかるようになり、ファンの見える化が進んでいるようだ。

 このように両者のデータを組み合わせたデジタルマーケティングの成果の1つとして、馬場氏はチケット販売を紹介した。配信セグメントを設定し、チケット購入ではd払いの対応とdポイントが最大10倍たまるなどのキャンペーンを打った。この結果、Jリーグチケットの売り上げは、「月変動はあるが前年同月比で1.5倍程度のびた」(馬場氏)。d払いを選択した比率も増え、「それまで3%程度だったのが10%にーー約3倍になった」(馬場氏)という。

 この施策は3回行ったが、1回目、2回目、3回目と回を重ねるごとに数が増えた。馬場氏は、「Jリーグが持っているデジタルアセットとドコモがうまく噛み合った結果」と分析する。

 Jリーグとドコモは2月より、Club.J.Leagueでのdポイントサービスの連携をさらに進め、ポイントカード機能、dポイントが当たるアプリガチャなどが利用できる。社全体で 進めるdポイントのエコシステム拡大という点で、インパクトがある施策と位置付けている。

JリーグID

 今後もいくつかの取り組みを予定しているが、注目されるのは秋にプレ商用サービスが開始予定の5Gだ。5Gの性能や進化を訴求するにあたって、スポーツ観戦は格好の事例になる。例えば、大画面を使ったパブリックビューイング。トライアルでは、選手が入場すると会場から自然と拍手が起こり、高い臨場感を味わえていることがわかった。

「デジタルマーケティング」に並ぶ協賛の狙いである「スタジアム体験」については、5Gの大容量という特徴を利用して、ハーフタイム中にAIを利用して前半のハイライトを生成・配信するというトライアルを行っているという。「通常ハイライト生成は1~2時間かかるが、AIにより10~20分で自動抽出できる」と馬場氏。このほか、VIPルームでの新しいAR体験なども計画しているという。

 5Gについては、スタジアムWiFiの有無など現在バラバラのインフラ整備の1つの解決策になることも期待できそうだ。

 JリーグはNTTドコモのほか、明治安田生命、イオン、totoの日本スポーツ振興センターとアプリ上での協業を進めており、ファン、スポンサー企業、Jリーグそれぞれにメリットをもたらす「三方よし」を進めていく。杉本氏は「スタジアムにお客さまが来ると、他にもシャワー効果のようにメリットが出てくる」と目指す世界を描いた。

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