2019年03月01日07時00分

勝てる特許取得こそゴール メトセラを強化した知財アクセラレーション

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勝てる特許を取ることが知財活用のゴール

 このほかにもメトセラは、さまざまな団体による知財のサポートを活用している。創業した年に派遣プログラムで米国へ赴き、現地の知財法について学ぶ機会や現地VCと会う機会も得た。海外では知財の法律や文化背景が異なるため、こうした支援を利用して、知識を深めたうえで知財戦略に役立てるのも一手となる。

 「米国では基本的に出願前の特許調査はしない、と強く言われました。というのも、調査を実施したことで、仮にインフリンジメント(既存の特許への抵触)に気づく示唆が含まれていたとすると、意図的に他社の権利を侵害したとみなされ、賠償金が3倍になってしまうおそれがある。もちろん、専門家によっては先願調査をしておいたほうがいいという意見もあり、いろいろな考え方があることを知るいい経験になりました」

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特許庁の「知財アクセラレーションプログラム」(IPAS)

 直近では、2018年10月から特許庁の「知財アクセラレーションプログラム」(IPAS:IP Acceralation program for Startups)での支援も受けている。IPASでは、ビジネスと知財の専門家がスタートアップに対して知財戦略を立案し、その戦略に基づき事業を進めるためのサポートを行なっている。

 メトセラもIPASの第1期生として支援を受け、大手製薬メーカーでの経験もある知財専門家から、定期的にメンタリングを受けていたという。

 「まず特許は、取得することがゴールではなくて、勝てる特許を取ることがゴール。権利の有効期間をきちんと確保しないといけない、と言われました。その観点で改めてレビューしていただき、複数の特許権を組み合わせて、技術・製品の寿命を延ばしていくイメージを持っています」

 バイオに限らず、研究と事業のステージが進んでいくと、基礎技術以外でも、いろいろな特許が取れる可能性がある。また、国が変わると特許制度も変わるので、多様な観点で技術に光を当てていくと、取得可能性が強まる。複数の特許を組み合わせてポートフォリオ化していく中で、事業を守る権利の寿命も長くなる。IPASでは、新たに出てきた研究成果をどのように知財にからめていくか、その戦略を学んだそうだ。

 「バイオ関連の知財に精通した弁理士を探すのは簡単ではないし、またスタートアップが効果的な依頼をするのはさらに難しい。特許の草案をまとめるにもスタートアップだけでは非常に時間がかかる。IPASでこうしたハードルを省略できたのは大きな成果です」

 IPASは2019年度も規模を拡大して実施予定だ。最新情報はIP KNOWLEDGE BASE for Startupに掲載される。来年度公募は4~5月を予定しているので、興味があるスタートアップはぜひチェックを。

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 現在、再生医療の分野で日本は世界から注目を浴びているが、「とはいえ、当社も含め、知財には万全の注意を払う必要がある」と野上氏は危惧する。

 「国によって制度も違う。日本で特許が取れたからといって、世界でも通るとは限らないことを痛感しています。たとえば米国は、Continuation Application(継続出願)をうまく使う。日本の制度をもとにした分割前提の出願では追加のデータを出しづらいが、継続出願なら後から補強できるのは有利。特許担当者は、どこの国の制度をもとに発想するかも大事になってくる。より海外の制度に理解のある方にアドバイスが受けられると、視野が広がるかもしれません」

 これまで情報を秘匿するために情報発信は最小限に留めていたメトセラだが、早期の国内での治験開始を目指しており、外の企業や病院ともより深く関わるようになる予定だ。すると、これからはステークホルダーをはじめとする外部への情報発信もしていかなくてはいけない。公開する情報が増えれば、知財で権利を守る重要性は増してくる。今まで以上に知財体制を整えて、しっかりと固めていきたいと野上氏は語ってくれた。

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