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スーパードライ「おじさんのビール」イメージ払拭なるか

アサヒ若者ねらった「瞬冷辛口」がヒット なぜ?

2018年03月31日 17時00分更新

3月13日から発売中の「アサヒスーパードライ 瞬冷辛口」

 ごきげんよう、アスキーのお酒好き記者ナベコです。最近、コンビニ、スーパーなどで青色のロゴが特徴の「アサヒスーパードライ 瞬冷辛口」を見かけませんか? ビール好きとしてはおなじみアサヒビールの新製品で、3月13日から登場しています。

 アサヒスーパードライ 瞬冷辛口の初登場は2017年5月。当時は期間限定商品でしたが、好評のため通年商品として復活しました。

 ちょっとびっくりしたのは、第1弾登場の際に20代、30代の若者層からの人気がとても高かったそう

 私にとってアサヒスーパードライというとビールのド定番で大好きなのですが、言ってしまえば「おじさんのビール」の印象があり……。

 なんとなく、若い世代やお酒を日常的に飲まない人から敬遠されがちというイメージがありました。そんなスーパードライが若者ウケとは!

「スーパードライ」新製品
アサヒの担当者インタビュー

 これまでのスーパードライとはなにが違うのでしょうか? 気になったので、アサヒビールの浅草にある本社に突撃して、マーケティング担当の方にお話を聞いてきました

酒好きのナベコがアサヒビール本社に突撃してきた。

 質問に答えて下さったのは、アサヒビール株式会社 マーケティング第一部の松橋裕介さんです。ビールのことを話すと、とても幸せそうに顏がほぐれるのが印象的でした。やはりお酒を好きな方の顔ってステキだな。

アサヒビール株式会社 マーケティング第一部の松橋裕介さん。笑顔がほがらか。

500mlのロング缶から売れる!

――さっそくですが、アサヒスーパードライ 瞬冷辛口を私も飲んでみました! 普通のスーパードライより後味が残らず、すっきり。飲みやすくておいしいですが、若い世代に人気というのは本当ですか?

松橋さん:そういうナベコさんも若い世代ですよね(笑)。本当です。20代、30代の層の売上構成が、例えば「アサヒスーパードライ」などよりずっと高いです。

――へえ。飲みやすいからですかね。

松橋さん:それもひとつの要因だと思っています。おもしろいことに、通常のビール製品は350ml缶と500ml缶があったら350ml缶から売れるのですが、瞬冷辛口は500ml缶の方が売れているというデータがありました。飲みやすい味を楽しんでいただいているものと見ています。

2017年に登場した第1弾の瞬冷辛口。2018年版は味とともにパッケージを若干リニューアルしています。

――若者ウケというのは、狙ってのことなのでしょうか。

松橋さん:はい、ビール離れと言われる若い世代に対して、「ビールのキレが良い」「コクがある」など、いわゆる「ビール文脈」で語っても、反応が薄かったのです。

――――う~ん。もともとビールが好きではないと「キレ」や「コク」は興味がないかもしれませんね。

「冷涼感」が今までにない価値

――若い人だと「苦み」が苦手というのもありますよね。

松橋さん:そうなんですよね。そこで若い世代が反応する「新しい価値」というのは何かと模索しました。私自身アサヒビールのマーケティングをやる前にアサヒ飲料のマーケティングを経験していましたので、ビールと清涼飲料の両面から。

――ビールだけではなく、清涼飲料の視点も。

松橋さん:はい。清涼飲料では、刺激や止渇(しかつ)のニーズを満たすために、クーリングフレーバーなど冷涼感があるフレーバーが人気です。そこで、冷涼感や冷たい味をビールで表現することが「新しい価値」になると考え、開発したのが瞬冷辛口です。

――「冷涼感」がポイントなのですね。確かに、ビールで聞いたことがないです。

松橋さん:はい、ビール文脈とは違う部分で新しい価値を出すことで、「新しいな」「なんだろうな」と手にとってもらうことが大事だと思ったのです。結果、飲んでみてもらって「苦くない」「飲みやすい」と気づいてもらい高いリピート率につながっています。

――ちょっと意外だったのは、ここ数年クラフトビールが話題になって若い人にもウケたようですが、瞬冷辛口はまた違った方向性ですよね。クラフトビールってちょっとクセがあったり独特な味だったりするので。

松橋さん:クラフトビールは独特の味わいや造り手のストーリーも含めて若い世代が共感しているようです。ですが、毎日飲むビールは飲みやすいものがいいという志向は継続的に行なっている調査でも明らかでした。

――そうか、クラフトビールはたまにだったらいいけど、毎日は飲まないかもしれません。

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