2016年08月25日18時19分

マクセルが作った、ダイヤモンドより硬い“グラフェン”使用の振動板

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 日立マクセルは8月25日、可聴域を大きく超える70kHzの高域再生に対応したイヤフォン“Graphene ”(グラフェン)の販売を開始した。7月14日の発表後、ポタフェスなどのイベントでも展示されていた。また、8月28日(日)10:00~18:00には有楽町のビックカメラで店頭試聴会も実施する。

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Grapheneは同じドライバーを使用しつつ、筐体の異なる「MXH-GD200」と「MXH-GD100」の2機種で展開。GD100はホワイトとブラックの2モデルが選べる。
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河原健介氏。ライフソリューション事業本部のマーケティング事業部 事業企画部 企画課 副主管。開発経緯などについて紹介した。

 マクセルは同社の独自技術で開発した製品に「m」を冠している。その最新モデルとして、今回は業界初の素材Grapheneを採用した。素材名をそのままブランドネームにした。

 ヘッドフォン市場は前年比98%とほぼ横ばいだが、金額に関しては105%の伸長。「単価が上がり、よりいい音で聴きたいというニーズが見てとれる」(河原氏)という。

 一方でハイレゾ対応製品の構成比は2~3%程度。単価の高さで販売数は少ないが、金額で見ると15%を占めるという。特に8000~1万2000円のカナル型製品に絞ってみると、ハイレゾ商品の中で3割を占めている。7月については35%程度にまで伸びているとのこと。ハイレゾのすそ野が広がっている。

 そこで開発されたのが「MXH-GD200」(1万1800円)と「MXH-GD100」(8980円)だ。ダイヤモンドより硬いGrapheneでコートした振動板を使用する。1万円前後で購入できる価格帯を維持しつつ、素材の面で他社と差別化した。“ハイレゾエントリーユーザー”をメインターゲットとする。

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1万円前後のハイレゾ対応イヤフォンの販売が伸びている
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10mmのダイナミック型ドライバー

 GD200は制振性に優れたステンレス合金(リヤ部)と高剛性樹脂(フロント部、カーボン配合)。GD100はアルミ合金と樹脂を使用し、さらに黒と白のカラバリ展開をする。筐体にはディンプルをあしらった。バスポートは両機種とも2つ持つ。GD200のみグランドケーブルを独立させた4芯構造になっている。

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分解カット
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右がGD200、左がGD100
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外見上の差は少ないが、樹脂にカーボンを配合するかどうかといった違いもある。

 Grapheneは炭素で構成された薄い膜。ダイヤモンド以上に炭素同士の結合が強く、平面内ではダイヤモンドより硬く、引張強度、熱伝導率、電気伝導率の高さではトップクラスとのこと。振動時の変形(分割振動)を抑制できる硬さ、音の伝搬速度が速く高域の再現性に優れる点、振動板をレスポンスよく動かすための軽さなどが特徴となる。

 一般的なPETフィルムの上にコーティングしている。より強度の高い素材としてPENなどの使用も検討したが、コーティングのしやすさなどを考慮しての選択だという。素材に加え、コーティングの厚さについてもトライアンドエラーを重ねた。

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右がGrapheneコートを施した振動板。

 使用ユニットは直径10mmのダイナミック型で共通。素材の違いにより、GD200は高精細で艶のある表現、GD100はクリアで透明感のある傾向が得られるという。また前後2ヵ所のバスポートの調整により、低域の豊かな再現ができる点は共通だ。なお、イヤピースは2種類(ホワイトやブラック)が付属。密閉感や装着感に差を持たせている。

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 自然で広い音場を目指したRF550に対して、Grapheneは音像や解像度の高さを追求した傾向だという。

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2012年以降のドライバー開発の経緯
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開発担当の芝 仁史氏。ライフソリューション事業本部のマーケティング事業部 事業企画部 開発課 主任技師。

 日立マクセルでは2012年ごろから複合ドライバーの製品の開発に着手。市場には出ていないが、同軸ドライバーなども開発したという。ただし複合ドライバーはBAではレンジの狭さや、つながりといった問題があり、ドライバー自体の開発が必要だと考えていた。そこで、BDメディアの開発で培った蒸着技術を使い、金属コートを使った振動板の開発に2013年ごろから取り組んできた。しかし実際には差が出せず、高域も20kHz程度どまりで、蒸着の厚みやフィルム素材の変更を加えたが成果を上げにくかったとする。最終的にベリリウムで光明が出て、40kHzの高域再生が可能になった。

 欲が出てダイヤモンドを振動板に使用したいと考えた。しかしダイヤモンドをフィルムにつけることがいまの技術では不可能という結論を下した。そこで出会ったのがGrapheneという素材。ダイヤモンドを超える硬度を持ち、伝搬速度も速い。結果70kHzまで高域を伸ばせ、今までにないものができると感じたという。スペック的には70kHz対応をうたっているが、当然可聴帯域の音も優れており、自信作だとした。

 非常に優れた素材であり、今後はより大型のドライバーを採用したハイエンド機種などGraphene採用機種の横展開も検討しているそうだ。

 今回の2モデルは線材と素材のみの違いだが、実際の音はかなり差があった。フラットで整った印象を与え、余韻の表現など安定しているのはGD200。一方、GD100は低域が前に出てきて、元気で快活なサウンドで別のキャラクターを持った機種として選択する楽しみがある。

 価格的には3000円程度の差があるが、単純な上位・下位ではなく、ぜひ試聴して気に入ったほうを選びたい。そして両機種に共通するのは、上にすっと伸びる高域の抜けの良さだ。可聴域外ではあるが、倍音成分をより忠実に再現できるのか、音の輪郭が整いメリハリ感の良さを強く感じる。特にGD100は1万円以下の価格帯ということもあり、非常に価値のある製品と言える。

訂正とお詫び:グラフェンのつづりを修正しました。(2016年8月25日)

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