週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

IoT縛りの勉強会レポ:littleBitsから海外ガジェットまで 遊べるハード16選

都内で毎月開催中のウェブエンジニアが中心になって企画した「IoT縛りの勉強会」。主催者の一人であるLIGのエンジニア菅原のびすけさんによるレポートをどうぞ。

 IoTという単語がバズワード化して、さまざまなデバイスやネットワークプロトコルの台頭が業界を騒がせています。IoTとはInternet of Thingsの略称で、"あらゆる(ネットワークデバイス以外の)ものがインターネットに接続されてさまざまなデータを扱えるようになる"といったハードウェアとウェブのインターフェイス領域とも呼ばれています。

 そんな盛り上がりを背景に、2015年2月から毎月開催しているのがIoT縛りの勉強会「IoTLT」です。

IoTLT
毎回場所を変えて実施しているIoTLT。前回Vol5はTECH LAB PAAKさんを利用させていただきました。

 IoTLTは毎月行われているIoTネタに限定したLT(ライトニングトーク)の会で、最近では毎回100名を超える参加者が集まるイベントになっています。ウェブエンジニア、ハードウェアエンジニアだけではなく、マーケターやマネージャー的なポジションの人の参加も多くなってきています。

 今回行われたIoTLT vol5だけでもたくさんのキーワードが持ち寄られました。以下、イベントでの発表内容と関連してトピックに挙がったデバイスの紹介を行いたいと思います。

Qrio Smart Lock

IoTLT
画像元

 家の玄関などの鍵に取り付けることで、今ある鍵を取り替えることなく、スマートフォンなどと連動してスマート化してくれるデバイスです。スマートフォン側で鍵を設定できるので、LINEやfacebookなどのメッセージ経由で鍵を友人に貸し出したりできます。ルームシェアや来客といったいろいろなシーンで活躍しそうです。まだ販売前ということでしたが、IoTLT当日はQrio佐藤氏が実物を持ってきて紹介してくれました。

購入: 現在、Amazonアスキーストアで予約販売中となっていて価格は1万9440円です。(以下、全て2015年8月時点の価格です)
関連発表: Qrioの佐藤氏の発表(資料非公開)

Filimin

IoTLT
画像元

 以下、FiliminからTrakkiesまではOuma氏によるLTで紹介していただいた事例です。

 Filiminは、人とつながるタッチライトという紹介。どういうことかというと、遠隔地で誰かがペアリングしたFiliminに触ることで、自分の部屋に置いているFiliminが光るらしいです。Yoというただ単に誰かにYoと呼びかけるだけのシンプルなウェブサービスが流行ったときがありましたが、Yoの実世界版という認識でもいいかもしれません。

購入: Filiminのサイトから$60でプレオーダーができます。

Ring

IoTLT
画像元

 "魔法の指輪"とメディアで話題になっているプロダクトです。指輪型のデバイスを指にはめて、あらかじめ登録したジェスチャーを行うとBluetoothでスマートデバイスと接続したり、装置を介して赤外線リモコンを操作したりと、登録されたアクションを行うことができます。

購入: Amazonにて販売中です。価格は1万6900円となってます。

The WiPy

IoTLT
画像元

 WiFi搭載のPythonマイコンボードです。とにかく小さい。telnet経由やFTP経由でファイル転送や操作が可能なのでWebの人でもとっつきやすいのでは無いでしょうか。$29と比較的購入しやすい値段ですね。

購入: €29でプレオーダー中です。現時点の日本円だと4000円強くらいです。

MakeyMakey

IoTLT
画像元

 電極を触ることで電気を通電させ、キーボードを操作することができる基盤です。プログラミングが一切不要でバナナをキーボードにしたり、人間をキーボードにしたりすることができます。キーボードとしてパソコンを操作できるのでPC上で動作するピアノなどを組み合わせればバナナピアノなんかが簡単にできてしまいます。IoTLT vol4でデモがありました。

購入: スイッチサイエンスのサイトから6243円で購入できます。
関連: MakeyMakeyで○○と○○をつなげてみた話(vol4での発表) 

Twine

IoTLT
画像元

 正方形で手の平サイズの小型のセンサーデバイスです。温度、加速度、湿度センサーや磁気スイッチ、WiFiを搭載していてネットワークとも簡単に接続できます。アウトプットとしてメール通知やツイッター、HTTPリクエストなどを標準サポートしているためIFTTTみたいなサービスと繋げると、更に様々なWebサービスと連携できる可能性が広がるデバイスです。

購入: まだプレオーダー中みたいですが、こちらのサイトで$149.95という記載があります。詳細は情報開示を待ちましょう。

Trakkies

IoTLT
画像元

 後述するMamorioのようにBluetoothタグを大事なものにつけておき、スマートフォンで通知するという仕組みが完成しつつありますが、Trakkiesはスマートフォンを忘れてしまった場合でも忘れ物を発見することができる仕組みを持ったセンサータグです。よく忘れ物をする筆者は待ち遠しいです。(笑)

購入: Trakkiesのサイトでもまだ情報が出ていないみたいため、購入は先のようです。

Mamorio

IoTLT
画像元

 Mamorioは”失せモノ”をなくすIoTデバイス。大事なモノに小型のセンサータグを付けておき、スマートフォンと連携させることで、一定距離が離れた際に知らせてくれます。Trakkiesとの違いとして、目玉機能のひとつにクラウドトラッキング機能があります。

 iPhoneアプリが近くにある他人のタグからも情報を取得してクラウドに送り、落し物のトラッキングを行います。MAMORIOユーザーが増えることで、モノをなくした場合の発見率が上がります。会場では落し物ドットコムの社長である増木氏がデモ動画で紹介してくれました。

購入:3500円でプレオーダー中です。専用サイトで注文できます。
関連:iPhoneで落とし物すぐ見つかる 1年使える追跡タグMAMORIO 落とし物ドットコムが開発=モーニングピッチ

THINGSEE ONE

IoTLT
画像元

 こちらもセンサーデバイス。WiFiやBluetooth、GSM(日本では使えません)などの通信機能を持っていて、センサーをトリガーにしてWeb上のツールに通知させる、といったことが簡単にできるようになります。

購入: 専用サイトから$299で購入できます

Felica リーダー RC-S380

IoTLT
画像元

 こちらはIoTデバイスと言っていいのかわからないですが、今回の勉強会でバニーホップ社の山本さんが利用していたので紹介します。

 Felicaリーダーは、Suicaやnanacoなどの電子マネーICカードの残高チェックができるデバイスです。情報が少なさそうな印象でしたが、Pythonから値を取得するライブラリがあるとのことで、Raspberry Piなどと連携できるとのことでした。当日は山本氏がRaspberry Piと連携したデモシステムを紹介して、盛り上がりました。

購入: Amazonなら2575円で購入できます

Raspberry Pi

IoTLT
画像元

 ここからは、IoTデバイスのベースとなる基板をご紹介します。まずはRaspberry Piから。

 マイコンボードではかなり昔からWeb界隈の人にも使われて、日本語の情報も大変多いです。Raspberry PiはEdisonなどと同様にLinuxが動くので、小型のPCとしても利用されるシーンがあります。他のマイコンボードに比べて挙動が安定していて汎用的に使われているイメージです。

購入: 今買うならRaspberry Pi 2を買うことをおススメします。単体だと5940円ですが、周辺機器なども揃える必要があるので初めて買う場合はスターターキット(1万1556円)を買うのも良いと思います。

littleBits

IoTLT
画像元

 スイッチ、LED、センサーといった独立した細かなブロックを磁石でくっつけることで簡単に回路を作ることが出来るプロトタイピングデバイス。直感的に作ることができるので子供の教育向けなどにも利用されているみたいです。

購入: 販売サイトから購入できます。いろいろな購入タイプがあり、BASE KITという基本的なセットだと1万3500円からになります。

Tessel

IoTLT
画像元

 Javascriptでプログラムを書くことができるマイコンボードです。拡張モジュールが特長的で、ブロックを差し込むだけでセンサーが使えます。導線をつないだりする必要がないので、回路図などの知識がなくてもセンサーを使え、JavaScriptで細かな制御もできるのでウェブエンジニアの人にはオススメです。

購入: スイッチサイエンスの販売サイトで1万530円で購入できます。今だとTessel2のプレオーダーも$35でTesselのサイトから出来ます。

Intel Edison

IoTLT
画像元

 Intel EdisonはIntelが販売しているマイコンボードです。Intel Galileoというマイコンボードもありますが、その後続版であるEdisonの特徴はサイズだと思います。本体は切手サイズでかなり小さく、さまざまな活用シーンが考えられます。

購入: スイッチサイエンスのサイトから購入できます。Edisonの場合は拡張ボードと一緒に買わないと開発が難しいので、Intel Edison Breakout Board Kit (8640円)Intel Edison Kit for Arduino(1万2150円)のどちらかの購入をお勧めします。当日のプレゼンではRaspberryPi、Tessel、Edisonの概要紹介という形で触れました。
関連: IoTのIで氏んだ話

Arduino

IoTLT
画像元

 初心者でも簡単に扱えるマイコンボードとして、IoTという言葉が流行りだすよりもずっと前に話題になっていました。Arduino言語という専用の言語を利用してプログラムを書き込みますが、初心者でも扱えるくらいシンプルな書き方ができます。日本語の情報も多いですし、今でも多くの人に使われています。会場ではまろC氏がLEDを光らせるLチカのデモをしてくれました。

購入: さまざまな種類やセット販売がありますが、Arduino Uno R3(3,240円)がよく使われる基本的なものです。

konashi

IoTLT
画像元

 マクニカとユカイ工学が共同開発したマイコンボードです。カヤックが運営するJavascriptのホスティングサービスであるjsdo.itと連携して、Javascript開発だけでiPhoneとBluetoothなどを行える仕組みを持っていて、Webエンジニアがハードウェアに触れる敷居をグッと下げてくれています。当日は落合氏がiPhoneと接続するデモを見せてくださいました。

購入: ユカイ工学のサイトから1万260円で購入できます。

Felicaリーダーを使ったデモが注目を集める

 2時間弱のLT会で、こんなに多くのトピックが持ち寄られました。今後もさまざまなデバイスが現れてくるなかで、何が生き残っていくのか、動向に注目していきたいです。

 会場では開発デモを行った発表が盛り上がっていて、Felicaリーダーを使ったデモは特に人気を集めていた印象です。 このFelicaリーダーは筆者も昔買ったままで眠らせているので、掘り起こしてみようかと思いました。

 また個人的には同じくデモがあったTesselに注目していて、Tessel2のプレオーダーもしています。デフォルトでJavaScript開発を想定して作られてる点と、拡張モジュールがものすごく簡単に扱えるので、ウェブエンジニアに対する敷居が低く使いやすそうです。

 こんな感じで実物が見れて、デモで開発事例まで見れると購入のきっかけにもなりますね。

 IoTLT勉強会は毎月行っていて、次回は8月19日にオープンしたばかりのdots.イベントスペースで開催します。本記事ではデバイスに着目したため、紹介できなかったトピックもまだまだあります。実際に参加して情報を集めていただければと思います。

IoTLT

菅原のびすけ
株式会社LIG エンジニア。1989年生まれ。 岩手県立大学在籍時にITベンチャー企業の役員を務める。同大学院を卒業後、株式会社LIGにWebエンジニアとして入社し、Web制作に携わる。最近は特にIoT領域、インタラクティブな企画実装などに従事している。

■関連サイト
IoTLT

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう