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いま量販店で店員の言いなりになると買うことになるPCは?:週間リスキー

2015年02月17日 13時15分更新

文● 林佑樹 編集●ACCN

※週間リスキーはアックン・オッペンハイマーとその同志たちが地下の倉庫の隣の部屋からお届けする、できれば週アスとはカンケーないことにしたい情報を扱うコーナーです。

 何かしらのお買い物で量販店へ行く人は多いハズ。そのとき、なんとなくメーカー製PCを眺めていると「何かお探しですかっ!?」「このPCはうんたらかんたら」と、店員さんもしくは各メーカーからの派遣さんが寄ってくる。知識がないのであれば「そうなんだー」と聞くかもしれないが、一応、筆者はこの分野専門のライターであり、失礼ながらスルーすることが多い。

 少し昔話をしよう。私は上京したてのころ、生活費稼ぎにメーカー派遣として、某大手量販店でPC販売のサポート要員をしていた。まんま上記の「何かお探しですかっ!?」系だ。厳密には「何かお探しですかっ!?」はウザいと思っていたので、操作に詰まったところでススっとフット・イン・ザ・ドアを炸裂させていたのだが、販売スタイルとしては某T社さんのご意向を20%くみ取りつつ、そのお客さんにマッチするものを選ぶ傾向にあった。

 話を戻すと、いまはどうなのだろう? PCはすっかり家電化が進んだ。ゲーミングやクリエイティブ方面では、まだ自作PC熱が強かったりするが、Officeアプリを使うとか、ちょこっとインターネットくらいならばロースペックのモノで済む。というわけで、ACCN局長のふんわりとしたオーダー、つまり「ちょっと、店員さんにオススメされるがままに、買う直前までいってみてくださいよー」を実行してみた。

 まず店舗選び。古巣の量販店へ行くと顔バレしてしまうのでマズイ。次にけっこうデカい店舗で、興味がある演技をしつつ「あーコレ、この前の特集でずーっとベタベタ触ってたわ……」などと思っていたところ、まったくターゲットされない。金髪のおっさんがぼっちでPCを見ているのは、購入しないと見えるのだろうか……。

量販店で店員に勧められるがままにすると買うことになるPCは?:週間リスキー
↑こんなおっさんがぼっちだと、店員すらも寄ってこないわけですよ……。

 さらに店舗を変更してもターゲットされずじまいだったので、設定をつくって質問することにした。以下である。

 「会社のPCを変更しなくちゃならないけど、PCに詳しくない。たまに持ち歩くかもしれない」

 少し心が痛みつつも、このふんわりした質問をぶつけてみたところ、バリバリ答えてくれた。

量販店で店員に勧められるがままにすると買うことになるPCは?:週間リスキー
↑完全アウェイの地にある量販店なら大丈夫じゃなかろうかと、訪れたのがココ。シャレオツなイメージのようで、やたらアニメ広告ジャックが起こる不思議な地。なぜ、アニメ関係はこの地を目指すのか。

店員さんA「いまのノートPCは、どれも薄くて軽いです。とくにビジネス向けの13.3インチのパソコンは、パワーもあって軽くて、バッテリーで動く時間も長いです。ただ犠牲にしてることもあって……dynabook KIRA V83はすごく薄いんですけど、有線LANもないし、DVDドライブもないんです」

(うん、そうだよね、うん)

量販店で店員に勧められるがままにすると買うことになるPCは?:週間リスキー
↑dynabook KIRA V83。超要約すると、薄くて軽くて画面がキレイ。キーボードはだいぶ好みが分かれるが、昨年のモデルよりも打鍵感は向上している。

店員さんA「しかもプロジェクターに接続できるアナログ出力もないので、まずこういったものはオススメできません」

(やだ///かっこいい! ディスプレーの色がキレイとか言わない!)

店員さんA「ビジネス向けであれば、こっちのdynabook R83かR73が東芝さんだとオススメです。ちょっと分厚くて、約1.5kgなんですが、ビジネス向けの要件は満たしてます。キーボードがすごく打ちやすいんですよ」

(わーホントだースルーしててゴメン、コレいいわ……)
※編註:ここでdynabook R83の存在を認識したそうです。

店員さんA「あとですね、バッテリーでカタログだと10時間ほど動くのもいいところですね。お客様はたまに持ち出すとのことなので、問題ないかと」

 というわけで、まずオススメされたのがdynabook R83かR73。型番による違いは、dynabook R83は1TBハイブリッドドライブとBlu-rayドライブ搭載、dynabook R73は1TB HDDとDVDドライブで、あとは同じだ。キーストロークがいまどきめずらしい1.6mmである点がとてもよかった。厚さ18.3~26.5mmでUltrabookには属さないが、おうち用やオフィス用としてはいい仕上がり。また、ハニカムリブ構造を採用しており、見た目通りに頑丈である点も、たまに持ち運ぶにしても安心感は高い。

量販店で店員に勧められるがままにすると買うことになるPCは?:週間リスキー
↑dynabook R73。ベタベタな13.3型スタンダードノートPC。閉店間際だったわりにキーボード面にあまり熱をもってなかったのも◎。
量販店で店員に勧められるがままにすると買うことになるPCは?:週間リスキー
↑ご案内中の様子。盗み撮りしてスミマセン、局長に逆らえず……。バーストモードのシャッター音だとわかりにくいので、なんとかなった(スピーカー部分を指でふさいでおくとなおよい)。

店員さんA「ほかのメーカーさんだと……軽さでいくとLaVie Hybrid ZERO HZ550/Aです。すごく薄くて、HDDは搭載していません。SSDというUSBメモリーみたいなモノが搭載されています。128GBしかないので、仕事で使う場合は外付けのHDDは必須ですね」

(あ、大丈夫大丈夫! OneDriveがあるんで大丈夫ですとか言わないんだ)

店員さんA「軽すぎるでしょう?(ドヤ顔)。頑丈なんですけど、満員電車の中で安全とはいえないので、ちょっと意識する必要がありますね」

量販店で店員に勧められるがままにすると買うことになるPCは?:週間リスキー
↑LaVie Hybrid ZERO HZ550/A。約779gと軽く、うっかり持つとクセになって危ないノート。軽さで犠牲にしている部分は多いため、割り切り運用前提。

筆者「満員電車の中はダメなんですか?」

店員さんA「LaVie Hybrid ZEROの前のモデル、私使っていたんですけど、通勤中に液晶が割れちゃったんですよ……(遠い目)。前よりも頑丈になってるようなんですけど、自分の体験もあるので」

筆者「ああ……」

 などという身の上話をしてもらったわけだが、セオリーでいくともう1製品を提示してdynabook R83かR73に持ち込むのかなぁと思っていたら、Let's noteコーナーに案内された。安定のルートである。スタンダードなビジネスにもOKなノート、激軽なノート、そして鉄板ノートの提示だ。お気に入りの富士通LIFEBOOK SH90/Tがオススメに登場しなかったのが気になるところだが。

量販店で店員に勧められるがままにすると買うことになるPCは?:週間リスキー
↑LIFEBOOK SH90/T。13.3インチのモバイルノート。光学ドライブは着脱可能で、拡張バッテリーを搭載したり、プロジェクターユニットを搭載できたりと変態性に富む。

店員さんA「こちらがLet's noteシリーズです。よくCMや広告で見るアレですね。頑丈さがウリでして、天板も独特の形をしてますが、比較的軽いです。お客様の場合だと12.1インチのLet's note SXか14インチのLet's note LXがピッタリだと思います。ただ価格が高いんです。全部入っているからなんですけど、さらに秋葉原にメンテナンスセンターがあって、保険料的な意味合いもありますね。それで、先ほどのdynabook R83ですが、東芝さんも都内にメンテナンスセンターがあるので、サポートを受けられます」

(サポートセンターあったんだ……)

量販店で店員に勧められるがままにすると買うことになるPCは?:週間リスキー
量販店で店員に勧められるがままにすると買うことになるPCは?:週間リスキー

↑ド定番のモバイルノートPC。ノープランでとりあえず必要と考えるなら、まずLet's noteからチェックしてみてもいい。

店員さんA「価格帯的には、dynabook R73でしょうか。ハイブリッドドライブではないので少し遅いんですが、仕事用であればストレスはないハズです」

(あ、やべぇ、逃げ道なくなったぞい……)

店員さんA「実はノートPC担当じゃないので、専門の者を呼びますね」

(ホントかしら……めっちゃ的確だったケド)

 このあと、東芝担当らしき店員さんがやってきて、再び説明してくれたのだが、先の店員さんのほうがしっかりしており、なんだかなぁであった。ちなみにdynabook R73の価格は17万1504円。ポイントもあるので、まぁ無難なラインだが……Let's noteと大差ない価格。さて、どうやって撤退しようかと考えていたところ、店員さんが不思議なことを言った。

量販店で店員に勧められるがままにすると買うことになるPCは?:週間リスキー
↑据え置きメイン、ときどきモバイル程度ならば十分すぎるdynabook R73。単品でレビューしたいくらい気になってしまった……。

店員さんB「セットアップに数時間かかりまして、あちら(カウンター)でそのサポートサービスをしています」

 はて、Windows 8.1 Updateの場合は電源オンして「こんにちは」で始まるスキップできないめんどくさいアレと、マイクロソフトIDのエントリーくらいのハズだが……詳しくきいてみるとWindows Updateのことだった。そこで稼ぐ仕組みなのかなぁと思いつつ、また来ますと撤退したのだった。

 いじょ。アグレッシブな案内をされると思いきや、かなりストロングスタイルなオススメをされる結果に。アタリ・ハズレでいえば、アタリの店員さんを捕まえたともいえるが、Atom搭載タブレットで「これでOKです!」と言ってこなかったのでヨシとするか。ひと昔のようにベーススペックがバラバラではないし、性能以外の付加価値でプッシュする状況下にあるため、店員さん側としては昔よりも案内しやすくなっているのかもしれない。

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