2013年02月13日17時00分

Windows情報局ななふぉ出張所

Surface Pro発売までの経緯を振り返る

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 2月9日、マイクロソフト独自ブランドのWindows8タブレット『Surface Pro』が発売されました。すでに発売済みのWindows RT版『Surface RT』に続く、2機種目のSurfaceタブレットとなります

『Surface Pro』
Surface Pro発売までの経緯を振り返る

 残念ながら日本での発売は発表されていないものの、Windows8タブレットの“本命”として世界的に注目度の高い製品となっています。今回はこのSurface Proの発売までの経緯を振り返りながら、その位置付けを検証してみたいと思います。

■最初の発表から発売までに8ヵ月が経過

 Surfaceが最初に発表されたのは2012年6月のこと。発表内容が直前まで伏せられており、マイクロソフトが初めてPCハードウェアを手がけるという衝撃も相まって、大きなサプライズとなりました。当時としては斬新な、Windows8タブレットと超薄型のキーボードを組み合わせたスタイリッシュな外観も、十分なインパクトがありました。

 ただし発売時期については、Surface RTが10月のWindows 8と同時、Surface Proはその90日後と発表されたため、実際に入手できるまでにはかなりの時間がかかることが予想されました。

 その4ヵ月後、Windows8の発売と同時に、Windows RT版であるSurface RTが発売。そしてSurface RTから100日以上経過した2月9日、Surface Proが発売されました。こうして現在では2機種となったSurfaceファミリーですが、やや実験的な性格の強いWindows RTを採用したSurface RTに比べると、Surface ProはフルスペックのWindows8 Proを採用しているのが特徴です。

 このため、Surface Proでは従来のx86/x64向けデスクトップアプリがそのまま動作し、周辺機器もフルに活用することができます。また、10点のマルチタッチ入力や付属のペンによるペン入力にも対応しており、Windows8のポテンシャルを引き出せるハードウェアを備えています。

Surface Pro発売までの経緯を振り返る

↑Surface RTとSurface Proの比較は、マイクロソフトが公開しているドキュメント(外部サイト)が便利。

Surface Pro発売までの経緯を振り返る

↑新たに制作された、Surface Proのプロモーション動画。YouTubeで公開されている(外部サイト)。

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↑Surface Proだけの機能であるペンも登場。

 その一方で、Surface Proは発表から発売までに8ヵ月近くが経過しており、遅すぎるという声もあります。特にタブレット端末は業界のなかでもっとも競争の激しい分野であり、この8ヵ月によって当初のインパクトが色あせてしまった感は否めません。さらに厄介なことに、Atom搭載のWindows8タブレットがSurface Proのライバルとして台頭しつつあります。

■Clover Trailタブレットに対する優位性はあるのか?

 本連載でも何度か取り上げている、最新のAtomプラットフォーム“Clover Trail”を搭載したタブレットについて、最近では次々と新製品が投入されています。日本では2012年11月の富士通を皮切りに、AcerやASUSが国内外で製品を発売。HPやデル、レノボもそれに続いています。

 Clover Trailタブレットは、これまで省電力性で勝ると思われていたARMプロセッサー搭載のタブレットと同等のバッテリー駆動時間を実現しています。また、電源オフに近い状態でインターネット接続を維持する“Connected Standby”機能により、ARMタブレットと同等の使い勝手を実現したこともポイントです。

 端末のバリエーションもじょじょに充実してきました。防水・防塵タイプ、バッテリーが交換できるタイプ、キーボードと分離合体できるタイプなどが発売されています。アプリについても、Windowsのデスクトップアプリがそのまま動作し、Windows用のドライバーによる豊富な周辺機器も利用できます。

 このように、ここ数ヵ月でAtomプロセッサー搭載タブレットが急速にスポットライトを浴びつつあるのに対し、Coreプロセッサー搭載のタブレットはまだまだ日陰の存在と言えます。Surface Proでは、バッテリー容量を約1.5倍に増やしたにもかかわらず、バッテリー駆動時間はAtom端末より大幅に短いと見られています。

Surface Pro発売までの経緯を振り返る
↑端末の厚みは約4ミリ増加。バッテリー増量の影響か、重量も907グラムとやや重い。

 また、Surface Proが搭載するCoreプロセッサーは第3世代のため、Connected Standbyにも対応していません。電源のオン・オフは十分に高速ではあるものの、“スリープ”や“復帰”といった従来のPCと同じ仕組みで動作しています。もちろん性能面ではAtomを圧倒しているとはいえ、タブレットとしての使い勝手では精彩に欠けるという印象を受けます。

■128GB版が人気、今後は販売地域の拡大も

 Surface Proには64GB版と128GB版があります。この点について、実際に使える空き容量はどれくらいなのか、発売前から話題になっていました。当初、64GB版の空き容量は23GBとの報道もありましたが、マイクロソフトでSurfaceを担当するPanos Panay氏はこれに反論(外部サイト)。最終的に出荷される製品では、さらに6~7GBの空き容量があるとのことです。実際の空き容量は、64GB版が29GB、128GB版が89GB程度と報じられています。

 ストレージの拡張としてmicroSDXCカードを用いることもできますが、Windows8を十分に活用するには128GB版が望ましいと言えるでしょう。現時点では128GB版のみ売り切れとなっており、人気の高さがうかがえます。

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↑Microsoft Storeでは128GB版が売り切れとなっている。

 価格については、64GB版が899ドル(約8万4500円)、128GB版が999ドル(約9万4000円)となっています。これはタブレットのみの価格のため、キーボードの『Type Cover』(129.99ドル、約1万2200円)を合わせて購入すると、さらに高くなります。また、Surface RTと異なり、Surface ProはMicrosoft Officeを搭載していません。別途購入することを考えると、数万円の出費が必要となります。(ただしMicrosoft Storeでは、Office 365 Home Premiumの年間サブスクリプション契約を割安で提供している)。Coreプロセッサー搭載のPCとしては標準的ですが、タブレットとしては高いという印象を受ける価格です。

 Surface RTでは、32GB版の499ドルという価格に対して、部品コストを271ドルと見積もった米IHS iSuppliによる調査結果(外部サイト)が話題となりました。これは比較的利益率を高めに確保した価格設定と言えます。これが純粋にマイクロソフトの利益を追求するためなのか、それともほかのOEMベンダーに配慮したものなのかはわかりませんが、Surface Proについてもしっかりと利益が上乗せされた価格設定になっているものと考えられます。

 Surface Proについてもっとも不満の声が大きいのが、販売地域の狭さです。現時点でSurface Proはアメリカとカナダでしか販売されていません。これはSurface RT発売当初における“オーストラリア・カナダ・中国・香港・フランス・ドイツ・イギリス・アメリカ”という8つの国や地域よりも、大きく絞られた形となっています。一方、2月14日からはSurface RTが新たにヨーロッパ13ヵ国で発売開始となります。Surface Proについても、今後販売地域の拡大を期待したいところです。

(2013年2月13日追記)Surface Proのバッテリー容量について誤った記載がありました。お詫びして訂正します。

山口健太さんのオフィシャルサイト
ななふぉ

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