第682回
BYD「RACCO」
航続320kmでフル装備! BYDの軽EV「RACCO」は日本の軽自動車の“聖域”をどう切り崩すか
2026年09月06日 12時00分更新
BYDが7月に発売した軽自動車規格のEV「RACCO(ラッコ)」が話題になっています。なぜ話題になっているのか? その良いところ、そうでないところは? など、気になるところを試乗会でチェックしてきました。
中国からやってきた黒船「RACCO」
この新型車RACCOが話題になった最大のポイントは、日本の軽自動車規格に向けて専用開発されたモデルであること。これまでも、海外ブランドの軽自動車は存在していましたが、それは海外市場向けに作ったモデルを日本にあわせたものばかり。日本の軽自動車規格にぴったりとあわせて専用開発したのは、今回のBYDのRACCOが初めてです。日本メーカーが守ってきた聖域に、いわば黒船が来襲したようなものです。注目となるのも当然でしょう。
RACCOは今最も売れている、スライドドアを持つスーパーハイトワゴンというスタイルを採用しました。実のところ、日本の軽EVには商用車ベースのスーパーハイトワゴンしかないという状況です。そのうえ、RACCOは自社(BYD)製のリン酸鉄リチウムイオン電池を搭載するため、コスト的に有利なのです。そのおかげで、販売価格は国のEV補助金を使うとエントリーモデルが200万円を切りました。売れ筋のスタイルで、しかも安い! ということでも話題になりました。
新参の中国メーカーなのに売れそうなものだから、さらに注目度が高くなっていると言えます。ましてや、最近は日本と中国との関係は冷え切っていますから、アンチが増えている状況です。そうした人にもRACCOは目につく存在。だからますます話題になる! というワケです。
プレーンでクセのない内外装のデザイン
RACCOのデザインは、内外装ともに、とてもプレーンでシンプル。日本車と並んでいても、それほど強く自己主張しません。日本の街中に、すっと溶け込むデザインです。
インテリアの印象も、エクステリアと同じく、プレーンかつシンプルなもの。日本車のディテールに凝った室内デザインと見比べると、そっけない印象を抱くかもしれません。ある意味、このプレーンさが、中国ブランドのBYDの特徴になるのでしょう。
ちなみに、RACCOの装備はかなり充実しています。スライドドアは電動開閉するだけでなく、ドア下にあるセンサーを足先で感知させれば自動開閉する機能も上位グレードに用意されています。スマートフォンをクルマのキー代わりにする機能もあります。先進運転支援システムのACCだけでなく、車線逸脱防止機能も備わります。
幼児置き去り検知機能もあり、6個のエアバッグなど安全装備も充実。上位グレードには合皮のシートに、運転席の電動シートまでを用意。さらに、10.1インチのディスプレイオーディオを標準装備しています。日本の軽自動車と比較しても、より充実した装備を持っているのです。
バッテリーに制御系を統合した「X-PACK」
RACCOの技術的なトピックは、BYDが開発した「X-PACK」の採用にあります。X-PACKは、BYD製のリン酸鉄リチウムイオン電池「ブレードバッテリー」に制御ユニットを一体構造としたものです。これにより、ボンネットの中に置くユニットは、モーターとギヤのみという、非常に小さなものとなりました。
その空いたスペースを、衝突安全性能のために使用することで、RACCOは高い衝突安全性を実現しているのです。また、バッテリーと制御系を一体化したX-PACKは車体の構造体とするべく、強度の高い鋼材が採用されており、高い車体剛性にも貢献しています。
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