第483回
3D-Guided Neural Renderingを解説
左手(AI)はそえるだけ。「NBA 2K27」でDLSS 5におけるニューラルレンダリングの画質とフレームレート下落率を検証
2026年09月08日 10時00分更新
2026年9月4日、Visual Conceptsによるバスケットボールを題材にしたゲーム「NBA 2K27」の配信がはじまった。本作はNVIDIAの最新技術である「DLSS 5」に対応している。本稿ではDLSS 5の簡単な解説とともに、NBA 2K27でどのような視覚的効果があり、パフォーマンスにどのような影響を及ぼすのか検証する。
現状、DLSS 5はGeForce RTX 50シリーズ専用の機能だが、これはDLSS 5の計算負荷が最大級に重く、学習モデルをRTX 50シリーズ向けにチューニングしている最中であるためだとNVIDIAは説明している。このチューニングが終わり次第、RTX 40シリーズにもDLSS 5を解放するとNVIDIAは告知しているが、具体的な日時までは明言されていない。
そもそもニューラルレンダリングとはなにか?
NVIDIAは、ゲームグラフィックの描画パイプラインにAIを取り入れることに関しては業界のトップを走っている。RTX 20シリーズより投入された「DLSS(Deep Learning Super Sampling)」を筆頭に、「DLSS Frame Generation」に「DLSS Multi Frame Generation」「DLSS Ray Reconstruction」などといった技術を継続的にリリースしている。
そして、今NVIDIAが注力している技術が「ニューラルシェーダー」だ。これは文字通りAIのニューラルネットワークをゲームグラフィックのパイプラインに組み込もうというものになる。このニューラルシェーダーを用いてレンダリングする技法が、ニューラルレンダリングである。
ニューラルシェーダーはNVIDIAの暴走ではなく、業界の進化の先端である。2025年1月の時点でマイクロソフトはDirectX 12でGPU内のAIアクセラレーター(GeForceならTensorコア)を直接動かし、AI処理をパイプライン上に取り込むための標準化を進めると発表している
これまでフォトリアリスティックなゲーム画面を作ろうと思ったら、物理ベースレンダリング(PBR:Physically Based Rendering)が必要だった。画面内のポリゴンに光がどう反射して、どのように拡散するかなどを物理法則の数式を利用して計算する方法である。パストレーシングはレイトレーシングの上にPBRのルールを可能な限り完璧な形で再現できるようにする技術といえる。
これに対して、ニューラルレンダリングは物理法則に基づいた計算ではなく、AIの推論に重きを置いて高クオリティーな映像を生み出すことを意図している。そして、RTX 50シリーズはニューラルシェーダーをグラフィック処理の中で効率よく回すことに注力したGPUである。
RTX 40シリーズ(Ada)とRTX 50シリーズ(Blackwell)におけるSM(Streaming Multiprocessor)構造の違い。Adaでは一部のCUDAコアはFP32専用でINT32の演算には非対応だが、BlackwellではすべてがFP32もINT32も実行できるよう一元化されている。AI処理とシェーダー処理のどちらが来ても柔軟に対応できるようになったわけだ
Blackwellより前のGeForceのやり方では、マルチフレーム生成でTensorコアを使いつつ、同時に別のAI処理(ここではLLM)を実行しようとする場合、リソースの奪い合いが起こる。すると、LLMのレスポンスが遅れ、さらにフレーム生成処理にも遅延が発生してしまう
Blackwellではタスク管理専用のプロセッサー(RISC-Vベース)であるAMP(AI Management Processor)を装備。CPUに代わってタスクの割り当てを実施することで、LLMのレスポンスを向上させつつ、フレーム生成の粒度(フレームペーシング)も適切に調整することができる
DLSS 5ではニューラルレンダリングをDLSSの技術体系に落とし込み、その中にはNBA 2K27で利用できる「3D-Guided Neural Rendering」技術が組み込まれている。
解説に入る前にちょっと時間を巻き戻そう。DLSS 5は今年3月にアナウンスされたが、そこで紹介されたBIOHAZARD requiemの主人公グレースのレンダリングサンプルはかつてない批判の嵐を巻き起こした。一部表現がリアルになったことは確かだが、肝心のグレースの顔が “嘘くさく加工された写真”になってしまったからだ。
NVIDIAのブログにあったDLSS 5適用後の例。生成AIを使ったコンテンツに対する忌避感ともあいまって、グレースを別人に改変するとはなにごとか! と猛烈な批判が生まれた。確かにこれはやりすぎだった。ちなみに、現時点でBIOHAZARD requiemはDLSS 5には「対応していない」
この批判が相当こたえたのか、NVIDIAは「DLSS 5はゲーム開発者の意向に反する処理はしない」という趣旨の説明を念入りに繰り返すようになった。下記の解説動画でも、「ジオメトリーは改変しない」など数々の予防線がそこかしこに張り巡らされているので必見である。
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