ロボットに必要な通信を考えたら、既存のIoTとスケールが違っていた
超大容量・超接続・超アップロードの時代に ソラコムとugoが語る「リアルワールドAIプラットフォーム」の通信とは?
2026年09月15日 11時00分更新
99%がアップロードトラフィック
大谷:それくらい通信に依存しているugoにとって、リアルワールドAIプラットフォームとはどんな世界ですか?
羽田:トラフィックの量だけではなく、猛烈なアップロードトラフィックが発生する新たな世界です。
今のインターネットって、9:1くらいでダウンロードが多い。でも、ugoは9:1くらいでアップロードの方が多い。もっと言えばダウンロードは1%程度なので、99:1の方が正しいくらいです。
大谷:えーっ? そんなにアップロード偏重なんですね!
今までのインターネットだと、そこまでアップロード偏重の用途は、カメラで撮影したデータをクラウドに送る動画配信くらいしかなかった。今のキャリアも人間の利用前提、ダウンロード前提でネットワークを構築しているので、業界全体で大きな変革が必要になるかもしれません。
松下:昔を振り返れば、ダイヤルアップでWebを見ていたときには圧倒的にダウンロードが前提だったけど、ブロードバンドになってSNSや動画などのアップロードトラフィックが増えた。ただ、今までは通信の主体が人間でした。だから、利用者の人数分しか、通信は発生しない。
でも、今は通信の主体がセンサーやカメラ、ロボットなどにシフトしてきたことで、アップロードトラフィックがすごい勢いで増えてくる時代に差し掛かってきたと思っています。一般車線に高速道路と同じ台数のダンプカーを通そうとしているのが現在です。
IoTにおけるアップロード偏重は以前から兆候があって、ソラコムではアップロード側に最適化したプランや、テラバイト級までスケールする大容量の選択肢をすでに用意しています。同じ大容量でも、ダウンロード=人向けで作られた課金体系や経路設計とは、分けて考える必要があるんです。
社会課題の最前線、地方にこそ通信のニーズ
大谷:そんなアップロード偏重のユースケースだと、ugoさんの通信サービス選びは大変ですね。先ほどの通信の検証という話ですが。
羽田:はい。単にキャリアの電波が入るだけではダメで、大容量のアップロードに耐えうる通信環境が必要です。無線LANを用意することもありますし、SIMを全種類揃えて、どれが一番よいか検証することもしょっちゅうです。
大谷:ugoさんの利用場所も、通信エリアに左右されてしまうということですね。その点、ソラコムは選択肢が幅広いですね。
松下:SORACOM IoT SIMは、一つの国でも複数のキャリアにつながるマルチキャリアに対応していて、日本ではKDDI、NTTドコモ、Softbankのネットワークを選択できます。加えて、最近増えているのは、人口密集圏以外の通信ニーズです。われわれはセルラー通信のみならず、LPWAや衛星通信などもサービスとして用意しているのですが、これはまさに人がいないところでもデジタル化のニーズが増えているということです。
大谷:現在、ugoはオフィスビルの警備や工場の点検などがメインだと思うのですが、先ほどの「社会実装ファースト」というコンセプトに照らせば、社会課題の多くは都市より地域の方が深刻です。
今後、ugoが人手不足・高齢化・インフラ老朽化などの課題を解決するソリューションになっていくとともに、人口密集地以外のニーズが高まっていく。キャリアの「人口カバー率」という数値で図れないニーズが増えていくことになると思います。
松下:実際、グローバルで見ても、世界は人が住んでいない地域の方が圧倒的に多いですしね。人がいる場所”前提のカバー率ではなく、“モノが動く場所”前提で通信を設計し直す段階に来ています。
これからは1台のロボットが複数の回線を持つ時代に
羽田:大容量、アップロード、エリアの拡大の次に来るのは、想像を超える同時多接続です。人がいない場所で大量の通信が発生する。人類がかつて体験したことのない空前絶後の同時多接続時代になると思います。
現在のロボットは、単体の通信端末というより、1つのネットワークです。そもそもロボットって、IoT的な見方をすれば「IoTハブ」。いろいろなセンサーやカメラ、コンピューター、モデル、アプリがネットワークでつながって協調動作する機器です。
ただ、カメラからの映像を送る通信と、遠隔管理する通信はそもそも要件が異なります。だから、ロボット内で通信をまとめないという可能性も出てきます。
大谷:1つのロボットで複数のSIM、複数の回線を利用していくという方向感ですね。
松下:実際に自動車はその方向感ですね。車の制御情報はメーカーが利用する回線として確保し、利用者のエンタメ用は別の回線で用意されていたりします。ロボットもそんな感じになりそうですね。
羽田:自動車業界とロボット業界は課題も業界構造もよく似ています。だから、通信に関しては、早く、その方向に進めたいです。
今はお客さまの通信インフラに依存することも多いのですが、ugoもソフトウェアの更新頻度が半端なく高いので、それは自前でやりたいと思っています。こうなると少なくとも2つになります。
大谷:ということは、今後は回線がもっと増えるんですか?
羽田:複数のコンポーネントを組み合わせて、1つのロボットになる未来もそれほど遠くないです。合体、変形が未来のロボットの姿です。
松下:合体、変形ロボはロマンですね。
大谷:(笑)。ugoさんのロボットがそうなる可能性もあるんですか?
羽田:少なくとも、海外のロボットでは、用途や作業に合わせてマニピュレーター部分を変えるのが潮流になっています。人間の手って恐ろしく繊細な操作ができるのですが、ロボットはまだまだ難しいので、マニピュレーター部分は専用化していくことになります。
大谷:なるほど! 先日、ハノーバーメッセに行った方から、「フィジカルAIロボットは踊りはすごいけど、手先の器用さはまだまだ」という感想を聞いたのですが、実際はいかがなんでしょうか?
羽田:いや。HondaのアバターロボやTESLAもすごく進化してきてますし、一般的な人のレベルはすぐ超えるんじゃないですかね。
だから、部分的にはすぐに合体の形になると思います。マニピュレーター部分を相互運用するための規格も出始めています。キヤノンマウント、ニコンマウントみたいなインターフェイスになっていきそうです(笑)
大谷:なるほど!わかりやすいです。
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