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Ryzen 9000シリーズの成長を見守る その2

Ryzen 9000シリーズの性能にWindows 11の分岐予測改善コードはどう影響するか?

2024年09月20日 10時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●北村/ASCII

KB5041587導入後で性能は“上がる”と言えるが、断言できない部分も……

 以上でKB5041587の検証は終了だ。ところどころ直感に反するデータも観測されたが、全体としてはKB5041587導入後にRyzenのパフォーマンスは改善し、Ryzen 7 7700Xよりも9700Xの方がスコアーやフレームレートがよく伸びている、という印象を強く受けた。

 冒頭に書いた通り、すでにKB5041587は取り下げられ別のアップデートに吸収されているようなので、普段通りWindows Updateを適用すればRyzen環境のパフォーマンスは良くなる。ただ効果は限定的であり、導入前・導入後で性能が変わらない処理もある。

KB5041587導入後にRyzenのパフォーマンスは改善するが、効果は限定的であり、導入前と性能が変わらない処理もある

 今回このテストをして感じたのは、なぜAMDはKB5041587に含まれる(とされる)分岐予測改善のコードがWindowsに展開されるのを待たずにRyzen 9000シリーズの発売に踏み切ったのか、ということだ。AMDは7月の段階でこのコードの存在を知っていたし、知っていたからこそそれを利用してセールス用の検証データを作成していたわけだ。

 ほんの少し発売を待てば発売日延期もなかったし、ユーザーはより良い状態でRyzen 9000シリーズを使い始められたし、性能が今ひとつ伸びないと批判されることもなかった(とはいえ、新しいものを早く使えた、という嬉しさがあったことは否定しない)。間もなく登場するとされるインテルの第15世代Core(Arrow Lake)が出る前に、なんとしても市場に出しておきたかったのだろう。

 これでRyzen 9000シリーズの検証は一段落かなと思っていたが、本稿のデータを元にYouTubeで配信した後、今度はRyzen 9 9950Xや9900Xのコア間レイテンシーを改善するAGESA 1.2.0.2ベースのBIOS配布が一部メーカー製マザー向けに始まった。つまりRyzen 9000シリーズはまだまだ伸びる。Ryzen 9000シリーズの検証はまだ続くのだ。

TDP 105Wモードの実装はやや遅かったASUSだが、AGESA 1.2.0.2対応は群を抜いて早かった。だがこれは筆者をさらなるベンチマーク沼の深淵へと誘うことになる……

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