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中国向け「Radeon RX 7900 GRE」が突如一般販売開始。その性能はWQHDゲーミングに新たな境地を拓く?

2024年02月26日 23時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●北村/ASCII

AI処理性能は7900 XTと7800 XTの中間に着地

 今度は「Topaz Video AI」を用い、AIを利用した画像の高画質化処理の速度を比較する。内蔵ベンチマーク機能を利用し、入力動画の解像度を1920×1080ドットに設定、“Artemis 1X”“Proteus 1X”“Nyx 1X”の3種類の処理におけるフレームレートを比較した。

Topaz Video AI:入力1920×1080ドット時のフレームレート

 ここでもRX 7900 GREはRX 7900 XTとRX 7800 XTのちょうど中間に着地している。処理によってRX 7800 XTに強く寄る場合もあれば、CUの多さを活かしRX 7900 XTとRX 7800 XTの中間に落ち着く場合があるということか。

 ここで再びUL Procyonの“AI Inference for Windows”でAIによる推論処理性能を比較しよう。AI処理デバイスはGPU、計算精度はFP32を指定した。APIはRadeonを使うので“Windows ML”とした。総合スコアーの他にテストごとの推論回数も比較する。

UL Procyon:AI Inference benchmark for Windowsのスコアー

UL Procyon:ベンチマーク時に観測された平均推論時間。後半4テストの結果だけを抽出している

 GeForce勢が強いのは既知のことだが、注目したいのはRX 7900 GREの着地位置。ここでもBlenderやProcyon(Video Editing Benchmark)、Topaz Video AIなどと同様にRX 7800 XTに近い所に着地している。RX 7900 GREはメモリーバス幅を狭めて消費電力とコストを抑制したのは良いが、Board Power 260Wに納めようとして絞りすぎてしまった、という印象を強く受ける。

 最後にNod.aiによる「SHARK」を利用し、Stable Diffusion(SDXL)による画像生成速度を比較しよう。モデルは「sdxl-turbo」、出力解像度は1024×1024ドット、Steps 50、Guidance Scale 7、同じシードから1枚ずつ10個の画像を生成するのに要した時間を計測した。一応CUDAも動作するようだが、今回の計測環境ではGeForce勢は上手く動作しなかったためRadeonのみで実施した。

SHARK+SDXLによる画像10枚の生成時間

 ここではRX 7900 GREはRX 7800 XTに寄ることなく、上下2つのRadeonの中間的な性能を示した。

やや中途半端感が否めないが、RX 7800 XTでは不満がある人向け

 以上でRX 7900 GREの検証は終了だ。CU数を見ればRX 7900 XTに近そうな感じだが、メモリー帯域を強く絞った結果、RX 7900 XTとRX 7800 XTのだいたい中間的な性能に落ち着いた。時にはRX 7800 XTに近い処理性能だったり、ゲームでは最低フレームレートがRX 7800 XTと大差ないことも見られたなど、あまりスッキリしない検証結果となった。

Radeon RX 7900 GREは、GeForceの上位陣をも打ち負かせるポテンシャルを秘めている

 隙間に入り込むようなモデルなので仕方ないといえばそれまでだが、RX 7800 XTの性能では少し物足りないがRX 7900 XT(実売14万円前後)では予算オーバーだ、という人には良い選択肢になる可能性を秘めている。もしAFMFがリリースされる前であれば中途半端なゲーミング性能ということで酷評の嵐だっただろうが、AFMFのある今となっては、GeForceの上位陣をも打ち負かせるポテンシャルを秘めたGPUとして評価できるだろう。

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