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最新のソニー「α9 III」はAFも連写も速くて最強! 気がついたら1500枚も撮っていた

2024年01月10日 12時00分更新

向こうから歩いてきたチャトラをギリギリまで引きつけて連写。きれいにカーブした髭の描写もよし。欲しくなってヤバい。2024年1月 ソニー α9 III

 新年早々、2024年1月に発売される最新中の最新カメラを持って、広島県の鞆の浦へ行ってきたのである。そうしたら、そのカメラがヤバかった。

 何というか、「あ、ステージが一つ上がった」という感じ。お値段も、ステージが一つ二つ三つくらい上なのだけど、懐具合やカメラにかけられる予算は人それぞれなので、高いとか安いとかは言わないけど、欲しい人にはたまらないカメラであることに違いはないのだ。

 それが、ソニーの「α9 III」。技術的に何がどう新しいかとか、そういうのは世の中の真っ当なレビューに任せておくとして、ひとことで言えば、「動きものにめっちゃ強いカメラ」なのだ。

ソニーの次世代イメージセンサー搭載の高性能モデル「α9 III」。2024年1月発売予定のバリバリの最新ハイエンド機だ。

 なので、今回は「動いてる猫」特集。なにしろ、AFがめちゃ速くて賢くて、連写が無謀レベルで速くてどの連写モードでも「プリ連写」ができるから、シャッターを押しきる0.2秒前から撮る、とかができる。

 これなんか、「あ、ジャンプした」と思った瞬間に慌ててシャッターを切ったのだけど(だいたいジャンプしたのを確認して撮ったのでは遅い)、この機能のおかげで「飛ぶぞ!」って瞬間も捉えられたのだ。

クロネコがフェンスに飛び移ろうと身を乗り出した瞬間をゲット。ダイナミックな動きを捉えるには最強のカメラだ。2024年1月 ソニー α9 III

 この機能をオンにしたままだと、1回のシャッターで常に複数枚撮れてしまうのだが、そのくらいは許容したい。しかも、無謀レベルの連写は120コマ/秒。間違って超高速連写モードにしたのを忘れてると、1回シャッターに触れただけで何十枚も撮れちゃって困る。

 でも、おそろしいことに「ボタンを押してる間だけ120コマ/秒」になるという「連写速度ブースト」機能があるので、必要なときだけ使えるのだ。これが最高にいい。さすがに猫を撮るときはそこまで速い連写はいらないので、今回活躍の機会はなかったのだけどな。

 そんな動きもの大得意カメラで撮った冒頭写真は、ぐいぐいと近寄ってきたチャトラさん。ここまで近づいても、きっちり瞳にフォーカスが合ってくれて大変素晴らしい。

 今回のセッティングは、フォーカスはAF-Cで、猫瞳AFはオン。リアルタイム瞳AF、頑張れ。連写は5コマ/秒のぬるいヤツにセットして、必要そうならブーストしちゃえばOKな気持ちで這いつくばるのである。

 最初に訪れた寺には、いつも人懐こい猫たちがいっぱい……いるはずなんだけど、1匹しかいない。まあそんな日もあるか、と階段に座ってのんびり休んでたら、どこからともなく小柄な(まだ若そうだ)キジトラがとことことやってくるではないか。思わず、ぱししっと連写した中から、足をぐいっと伸ばした力強いヤツを1枚。

じっとしてると、そろそろとやってくるのが猫。こっちに歩いてくる姿を連写。電子シャッターモデルなので静かなのもいい。2024年1月 ソニー α9 III

 そして、この猫はどうなったかというと、階段の下、私の足の間にやってきたのだった。

そして、真ん前で立ち止まったのだった。私の足も写ってるから距離感がわかると思う。実にいい猫でした。2024年1月 ソニー α9 III

 このまま膝の上に乗ったりしないかなと思ったけど、それはさすがに無理。でも大事なのは猫を探し回ったりせず、「まあ運がよければ現れるだろう」とのんびり動かずに待つこと。猫にしろ野鳥にしろ「追いかけてはダメ」ってのは鉄則だ。

 さて、冒頭写真のキジトラさんはその頃どうしてるかというと、バケツに顔を突っ込んで水を飲んでたのであった。こちらは望遠ズームレンズにつけ替えて、ちょっと遠くから。連写した写真を見てたら、舌がちょろっと出てるカットが見つかったのでそれを。

バケツに顔を突っ込んで水を飲んでる姿を連写してたら、飲み終わって舌をちょろっと出してる瞬間が。これはかわいい。2024年1月 ソニー α9 III

 そして、先ほどのピョンと飛んだクロネコはその後どうしたかというと、悠々とめっちゃ狭い塀の上を優雅に歩いていたのだった。

どんなに細い所でも、バランスよくするすると歩いていくのが猫である。2024年1月 ソニー α9 III

 お寺を離れて、小さな漁港へ移動する。プチ漁港ならではの風景や鳥を撮ってたら、桟橋の向こうにきれいなハチワレを発見。でも、桟橋は漁業関係者以外立入禁止。どうも無断で入って釣りをする人がいるからしい。無断で入れるのは、漁師と猫くらいだ。正月は漁も休みなので、いるのは猫だけである。

 撮影するにはちと遠かったので、その姿をしゃがんで見守ってたら、こっちへ歩いてきてくれるではないか。それも、桟橋の真ん中ではなくて、わざわざ外側の狭いところを歩いてくるのである。桟橋は人間用、猫用の通路はこっちなのだと言わんばかり。さすが漁村の猫ですな。

 なので、近くに来るまで待って撮影。おかげで、構図の右半分に海と船が入って、シチュエーションやその場の雰囲気も収めることができた。素晴らしいことである。

いいところを歩いてくれたおかげで、漁港らしい写真を撮れた。素晴らしい猫である。2024年1月 ソニー α9 III

 この素晴らしいカメラ、難点は……気がつくと何百枚も撮ってしまってること。仕事柄、こういうカメラだと、このくらいの撮影ならバッテリーはこのくらい持つはず、という勘が働くのだが、それより早くバッテリーがなくなったのだ。もうちょっと撮りたいなと思ったら、バッテリー残量がゼロに。

 理由は簡単。プリ連写をオンにしてたこともあり、連写回数が多かったこともあり、体感よりずっとたくさん撮ってたのである。気がついたら1500枚。それだけ撮れば、バッテリーもなくなるわな、と納得せざるをえない。

 そんなα9 III。猫撮り用としてはオーバースペックではあるのだけど、撮ってて気持ちよかったので、次回も、α9 IIIの予定である。

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筆者紹介─荻窪 圭

 
著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系フリーライター兼猫カメラマン。今はカメラやスマホ関連が中心で毎月何かしらのデジカメをレビューするかたわら、趣味が高じて自転車の記事や古地図を使った街歩きのガイド、歴史散歩本の執筆も手がける。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『古地図と地形図で楽しむ東京の神社』(光文社 知恵の森文庫)、『東京「多叉路」散歩』(淡交社)、『古地図と地形図で発見! 鎌倉街道伝承を歩く』(山川出版社)など多数。Instagramのアカウントは ogikubokeiで、主にiPhoneで撮った猫写真を上げている。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

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