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同伴搭乗はあり、なし?

ペット(犬・猫)と同伴搭乗できる飛行機、海外には結構あります

2024年01月10日 07時30分更新

文● 中山智 編集●こーのス

同伴搭乗の是非を議論するのは大賛成
ただし前提を間違えないようにしたい

 筆者も実家でペットを飼っていますし、日本の航空会社でも、ペットの同伴搭乗についての是非を議論するのは大いに賛成です。昨今の日本のペットとの付き合い方からも、貨物室ではなく、足下の椅子の下でもいいから一緒にいたいという気持ちもわかるのです。また転居などの様々な事情から、どうしても航空機での移動が必要というケースもあるので、「ペットを飛行機に乗せて連れ回すな!」と言い切ってしまうのも、あまりにも一方的な指摘かなと思っています。

 一方で、動物にアレルギーがあったり、動物にストレスがあり怖がる方も少なくはありません。動物は貨物室にいてもらったほうが安心できるし安全だ、という乗客がいることもわかります。

 なにより大きな問題として、緊急時に、隣に座っている家族同然のペットを置いて、脱出できるでしょうか。これも勘違いされやすいポイントですが、客室乗務員の仕事はサービス要員としてドリンクや機内食を配るだけではありません。緊急時には保安要員のとして「荷物」ではなく「乗客」の安全を守る責務があります。そのため乗客も、客室乗務員の指示を守って必ず「荷物」を置いていく必要があるわけです。避難経路を安全に確保するためには、何も持たず身ひとつで動くことになり、例外はありません。1分1秒を争う事態でペットが手を離れて走り回った場合、あるいは飼い主が「一緒に残る」と避難を拒んだ場合には、他の人の命を危険に晒す可能性が高まります。乗客と同じ席に座っていても「乗客」の安全が最優先となる状況は変わらないでしょう。

 愛するペットを身近に置いて旅をしたいから日本の航空会社でも同伴搭乗を提供してほしい、という気持ちはわかります。ですが、一部の意見にみられる「緊急時で一緒に脱出したいから同伴搭乗を」というのは、"前提"が間違っています。それを踏まえた上での、「ペットの機内同伴搭乗」の議論を期待したいところです。

羽田空港

この記事を書いた人──中山智(satoru nakayama)

世界60ヵ国・100都市以上の滞在経験があり、海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けている。

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