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BYDのEV第2弾「ドルフィン」は回生ブレーキが優秀でホットハッチの走りが楽しめる

2024年01月08日 15時00分更新

◆上り坂は苦手だが回生ブレーキのデキは良い

BYD

 試乗はベースモデルを中心に実施しました。ベースモデルは他社のBセグメントのエントリーモデルに似て、パワー感がそれなりといったところ。トルクは太く、音はほぼしないものの、上は伸びない雰囲気。上り坂ではわずかにパワー不足を覚えることも。リアもちょっと落ち着きがない印象で、よくも悪くもゴーカートフィール。とはいえ、これらは速度を出した時に抱く感想で、普通の街乗りなら、柔らかめの足と静粛性で不満は少ないでしょう。驚いたのは回生ブレーキのデキのよさ。不自然なフィールを感じることもなく、高い制御技術に驚かされました。

BYD

タイヤはブリヂストンのエコピア

 足は柔らかめ、と書きましたが、細かい振動をちょっと拾いがちの印象。これはクルマの足が……というより、ブリヂストンのエコピアだから? と想像します。ボディーに適度なしなり感を感じさせる乗り味で、どこか日本車的。BYDはかなり日本車を研究してクルマを作っている、と思わせました。

 ロングレンジは、一言でいえば「ホットハッチ」。とにかくパワーがすごい! さらにリアの足回りも落ち着いて、それでいてしなやか。かっ飛ばさなくても、街乗りでの乗り心地の面でも、ロングレンジに軍配が上がります。バッテリーが床面にあるためか、重心の低さも印象的で、ガンガン曲がるという印象。ベースモデルとの価格差が約40万円ですが、選ぶなら絶対にコッチじゃないか! というのが正直なところです。

◆回転するモニターが便利なインフォテイメント

 インフォテインメントなどの面をチェックすると、回転する大型スクリーンは確かに便利! スマホナビに慣れた身からすると、この縦の大画面は最高の一言。動作も結構サクサク。「この画面がついてきて400万円で、実質200万円台とかホントですか?」と驚きっぱなしです。

 試乗車ゆえか、インフォテインメント系が完璧ではなかった部分や、シフトセレクターをはじめとしてユーザーインターフェースに独りよがりの部分もあったりします。何よりクルマそのものに粗削りな部分がないわけではありません。ですが、補助金を使えば実質200万円台で手に入る価格と、「2030年までに純ガソリン車販売禁止」をはじめとする政治家の発言。そして国産メーカーのEV車ラインアップの少なさと相まって、一部のマスコミが「EV後進国の日本、このままで大丈夫か?」と言いたくなる気持ちは理解できます。

 それ以上に感心というより、脅威を覚えるのはBYDの手練れ感です。これはコストカットの話ではなく、このクルマを求めるであろうユーザー層をきちんと理解しているという意味で、とても自動車が専業ではないメーカーが造ったクルマとは思えませんでした。多くの人は徹底的にコストを削減しただけのクルマに思えるでしょうが、ドルフィンはそういうクルマではありません。金をかけるところ、かけないところのコントラストがハッキリしたクルマなのです。

BYD

フロントのBYDロゴ

 今回は短い時間でしたが、販売が始まりしばらくしてから、もう一度しっかり乗って見定めたい、という気持ちになったことを申し上げます。「Build Your Dream」、なるほどね。

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