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ロジクールの笠原健司社長

働き方は変化しても会議室は変わらない、日本のオフィスの課題を問う

2023年12月18日 08時00分更新

今回のひとこと

 「日本の企業や学校には、100万~110万部屋の会議室があると言われるが、そのうち、ビデオ会議が使える会議室は10%弱にとどまる。働き方は変化しているが、会議室は変化していない」

ロジクールの笠原健司社長

(ロジクールの笠原健司社長)

ロジクール ONE with Office パートナーシップ

 周辺機器メーカーのロジクールが、日本における法人事業を本格化させる。

 今後3年間で、法人事業の売上高を50億円増加させ、日本国内独自のパートナー制度として新たに開始する「ロジクール ONE with Office パートナーシップ」の参加企業を30社にまで拡大させる。

 ロジクールの笠原健司社長は、「ロジクールは、新たな働き方をドライブし、働き方を変えたいと考える企業を支援するリーディングカンパニーを目指す」と意気込む。

ロジクールのオフィス戦略

 キーボードやマウス、ヘッドセットなど、日本ではコンシューマ向け製品の印象が強いロジクールだが、グローバルでは法人事業で高い実績を持つ。

 ロジクールのビデオコラボレーションは、世界中の医療系企業大手10社のうち9社が導入。世界的な自動車メーカー10社のうち8社、大手製造業の10社のうち9社、大手製薬会社の上位10社のすべて、そして米国大手金融機関10行のうち9行が、ロジクールのビデオコラボレーションを導入しているという。また、2023年第2四半期(4~6月)のビデオコラボレーション市場において、金額、台数ともにロジクールが世界ナンバーワンシェアを獲得したという。

 笠原社長は、「そのほかにも、官公庁や地方自治体、保険、証券、小売、運輸など、あらゆる業界で、ロジクールのビデオコラボレーションが導入されている。イノベーティブな働き方を模索している企業を、ビデオコラボレーションというテクノロジーで支援することができる。日本市場においても、ビデオコラボレーションに経営資源を集中していくことになる」と語る。

 ロジクールは、グローバル(海外ではロジテック)の業績発表でも、法人事業を切り出した形での発表は行っていないが、日本における法人事業比率は低いほうにあり、日本と同じような市場性を持つドイツでは、法人事業の比率が圧倒的に高いという状況もあるという。言い方を変えれば、日本における法人事業にはまだ伸びしろが大きい。

 また、日本の企業におけるビデオコラボレーションの導入率が低く、ここにも大きな市場が眠っている点も見逃せない。

ロジクールのオフィス戦略

 2022年10月時点の調査によると、全世界の企業や団体、学校にある会議室は、約1億室に達するという。だが、そのうち、ビデオ会議が行える部屋は10%に満たないという。

 これは日本においても同様だと、笠原社長は指摘する。

 「日本の企業や学校には、100万~110万室の会議室がある。しかし、ビデオ会議が使える会議室は10%弱にとどまる。働き方は変化しているが、会議室は変化していないのが実態だ。いわば、残りの90%の会議室は、ホワイトスペースである。つまり、イノベーティブな働き方を模索中の企業が9割あるともいえる。ロジクールにとって、法人事業を大きく成長させるチャンスがある」

 実は、国内市場において、ビデオコラボレーションの導入率が5%上昇するだけでも、ロジクールにとっては、100億円以上の売上げ増が可能になるという試算も成り立つ。50億円増加という事業計画は意欲的なものではあるが、達成に向けたポテンシャルは十分にあるというわけだ。

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