こんにちは、アスキーのお酒大好き記者ナベコです。仕事終わりのビールは人生の潤い! 特に週末は、頑張ってきたご褒美に「ザ・プレミアム・モルツ」で喉を潤してくつろげたら最高じゃないですか。
最新のプレモルを昔のデザインと比べると…
ご存じ、ザ・プレミアム・モルツ(通称プレモル)は、サントリーのフラグシップビールブランド。ダイヤモンド麦芽と欧州産アロマホップを使用し、製法にこだわり、華やかな香りと深いコクを引き出した特別なビールです。
そんなザ・プレミアム・モルツは、今年の2023年2月に味わいをブラッシュアップさせると共に、缶のデザインを大きく変えました。
ポイントのひとつとして、今回から新しくカラータブを採用。濃い紺のプルタブは、金の地に映え、SNS上でも写真をアップした投稿をよく見かけました。
紺色のプルタブ、ちょっとかわいい感じもしますね!
ザ・プレミアム・モルツは、名前のとおりプレミアムなビールなので、缶のデザインもスタイリッシュですよね。ずっとかっこいいイメージがあるので、これまでに“大きくデザインが変わった”という印象がないかもしれませんが、実は数年ごとに缶のデザインをリニューアルしています。初登場は2003年。その当時のデザインがわかる画像を入手できました。
こちらです!
発売当初は、今と比べて色調がずいぶん違いますね。文字の配置も少し今とは異なり、ザ・プレミアム・モルツブランドであることはわかるけど、ずいぶん雰囲気が変わってきていますね。
デザインの変更には、その時々の思いが込められているんだとか。この記事では、意外に大きく変わっていた、ザ・プレミアム・モルツの缶のデザインの変遷をたどって、そこに込められた狙いを深堀しちゃいます。プレモルの秘密を知ることで、今まで以上においしく飲めちゃうはず!
取材に対応してくれたのは、ビールカンパニー マーケティング本部 プレミアム戦略部の五百竹(いおたけ)雄貴さん。ザ・プレミアム・モルツのブランドマネージャーです。
プレモルに知られざる“前史”があった
――こんにちは。今日はザ・プレミアム・モルツの缶のデザインについて教えてください。プレモルって金と紺のイメージで、ずっと印象が変わっていない気がしていたのですが、昔のものと比べるとこんなに変わっていたのですね。
サントリー五百竹(いおたけ)さん:よろしくお願いします。金と紺の組み合わせのイメージがあるとおっしゃっていただいてありがとうございます。金と紺のカラーリングの組み合わせは、発売当初からのデザインのコンセプトで、今でも変わっていない点のひとつです。
――ビールの棚で金と紺が目に入ってくると、「あ、プレモルだ」ってひと目でわかりますね。ザ・プレミアム・モルツの初登場は2003年。最初、デザインってどうやって決めたのですか?
五百竹さん:そのあたりはザ・プレミアム・モルツが商品化するまでの流れもご説明したほうがいいですね。ザ・プレミアム・モルツは、この名前がつく以前に限定商品として登場していたとご存じですか?
――え、そうなんですか!?
五百竹さん:ザ・プレミアム・モルツの開発自体は、実は1980年代から始まっていました。醸造家の山本隆三がヨーロッパに渡り、様々なビールを研究して開発をスタートしました。1989年に、樽生商品として「モルツスーパープレミアム」として限定販売したのがザ・プレミアム・モルツの最初です。
――なんと1989年には発売していた。
五百竹さん:その後、2000年に限定の缶製品を出すなど動きがあって、ザ・プレミアム・モルツという全国発売の缶製品として登場したのが2003年。開発期間を含めて、15年以上も時間をかけて発売されたビールなんです。
シェイプが変わったり、ロゴの位置が変わったり、徐々に進化
――それでは。それだけのビールが満を持して全国発売するのだから、デザインも相当こだわったのでしょう。
五百竹さん:はい、ビール醸造家の想いが先行してつくり上げた本当においしいプレミアムビールの世界観をどう表現するか。プレミアム感をいかに伝えられるか。当時社内ではデザインの開発に試行錯誤しました。
その結果、採用されたデザインは、プレミアムな印象のある金とそれを引き立てる紺の2色づかいで重厚さを表現。また、デザインに「タンブラーシェイプ」を取り入れています。この2点は発売当初から変わっていません。
――タンブラーシェイプってなんでしょう。
五百竹さん:金と紺の切り替えの流線でタンブラー(グラス)のフォルムが見えるように、というコンセプトです。最新版にリニューアルする前の2021年版のデザインだとわかりやすいかもしれません。ザ・プレミアム・モルツはアロマホップを使用した華やかな香りが特徴的なビールですから、ぜひグラスに注いで楽しんでほしいという思いからタンブラーシェイプが描かれています。
――タンブラーシェイプ、タンブラーシェイプ。この名前を覚えておきましょう。
五百竹さん:ビールの広告ではよく使われるジョッキではなく、タンブラーを描くことで、一般的なビールよりも上質な世界観を表現しています。
――へえ。よくみると、シェイプの形が少しずつ変わっているのですね。
五百竹さん:そうですね。最初のデザインは、シェイプのくびれがあまりなくどっしりとしたフォルムでしたが、2012年版ではくびれが強調され、シャープな雰囲気になってきました。時代ごとのデザインのトレンドを取り入れています。
――徐々にスッキリしてきています。
五百竹さん:そう感じられるかもしれません。カラーも金と紺の組み合わせではありますが、最初はくすんだような渋みのあるカラーです。これが徐々に明るくなって、2023年の最新版では最も明るい金になっていると思います。
――あれ、2017年から「suntory」のロゴの位置が変わっている!
五百竹さん:よくお気づきで。2003年当初は、“サントリーのプレミアムビール”ということで、ロゴを一番上に配していましたが、2017のデザインでは、商品名の“PREMIUM”をより強調したいという思いで、社名のロゴを下に配して、商品名をより目立たせています。
――社名ではなくザ・プレミアム・モルツのブランドで勝負しようということですか。
五百竹さん:そういうことです。
――おお~、缶のデザインには、実は様々な思いが隠されているんですね。
五百竹さん:ふふふ。こういった飲料って、中の味はもちろん大事なんですけど、缶のデザインが少し変わったり、色調が変わったりすることで、味のイメージが少し変わってくるんですよね。「このビールは味が濃そうだ」とか「こんな香りがするだろう」とか。ザ・プレミアム・モルツは、サントリーの醸造家が誇るプレミアムビールとして、もちろん中味の品質としても日々進化させているのですが、デザインに関しても、味を最大限に引き立たせるように工夫を重ねています。
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