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グーグル、生成AI“有料展開”急ぐ 運用コスト重く|AIニュースまとめて解説

2023年09月07日 07時00分更新

グーグル、日本語版 生成AI検索「SGE」をSearch Labsで試験運用開始(8月30日)

 5月のGoogle I/Oで発表されていたSGE(Search Generative Experience)が、いよいよ日本でも提供される。この記事には含まれていないが、同時にインドでも提供を開始するとのことなので、グーグルはここから国際展開を加速するものと推測される。

 ただし、SGEは一般公開ではなく「テスト公開」であることに変わりはない。まず「Search Labs」へ登録し、さらに機能をオンにすることで日常的な検索の中に出てくる。

 また、SGEは「検索結果に生成AIを適応する」もので、入力した文章を生成AIで処理して回答するものではない。Bardとはそのあたりが異なる。(そもそもBardは検索サービスではないが)

 アメリカ版SGEではGoogleマップとの連携やショッピング連携などもされているのだが、Google I/Oではむしろそちらをアピールしているように思えた。日本版はシンプルなネット検索であり、ちょっと位置付けが違っている。

 かなり慎重にサービスを広げていきたいようだが、まだまだハルシネーションの影響も見られる状況だ。

 グーグルはこれまでもネット検索の持つ「責任」を重視してきた。100%正確で安全、と言えるわけではないが、抱えているシェアの大きさに対する責任を果たそうとしているのは間違いない。特にコロナ禍ではそれが重要視された。

 生成AIの検索利用について、グーグルはかなり保守的だ。それは技術的な課題に加え、「どう提示し、ウェブのビジネスにどうマッチさせていくべきか」という課題に対する回答を出しあぐねている部分があるのだろう。

 とはいえ、マイクロソフトなどが果敢に攻めてくる以上、やらないわけにはいかない。

 「テスト」と強くアピールした上で進めるのは、本気でフィードバックを大量に集め、改善を進めたいからなのだろう。

グーグルDeepMind、生成画像に「人間の目には分からない」電子透かし「SynthID」(8月30日)

 ここから2つもグーグルの話題。

 Google I/Oでは生成AIで作られたコンテンツに「電子透かし」を入れる、という話が出ていた。そうすることで、検索の段階で「生成AIで作られたものか」を示すことが可能になる。

 そのバックグラウンド技術になると思われるのがこの技術だ。

 アドビなどが進める業界団体「コンテンツ認証イニシアチブ(CAI)」による来歴記録も生成AIで作られたコンテンツのトラックには重要なものだが、同時に電子透かしも必要にはなる。

 こうした技術の普及が生成AIの進化と同時に進むのは大きな意味がある。

 おそらく、電子透かしを含めた来歴記録の「ない」情報は、責任を持って外部に出せる情報ではなくなっていく。信頼するための根拠としての重要度が高いからだ。

 「生成AIで作られたものである」ことの証明だけでなく、「生成AIで作られたものではない」もしくは「生成AIを使っているが、加工が加えられていて著作物としての責任者が明確である」ことが、今後のデータには重要になっていくだろう。

グーグル、生成AIコパイロット「Duet AI」一般提供開始(8月30日)

 グーグルの施策その3。

 こちらも5月のGoogle I/Oで発表されたもの。その後限定的なユーザーによるテストが実施されてきた。

 今回は英語版だが一般公開され、Google Workspaceの利用者に対し、月額30ドルのオプションサービスとして提供される。

 枠組みとしては、マイクロソフトが「Microsoft 365」で有償プレビュー中である「Microsoft 365 Copilot」と同じで、価格も同額の月額30ドルだ。

 OpenAIの「ChatGPT」企業向けプランも似たところを狙っており、「収益を上げつつ生成AIを定着させたい」という各社の思惑が見えてくる。

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