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日産「GT-R」の最新モデルは乗り心地がマイルドに走りはソリッドに

2023年09月03日 15時00分更新

GT-R

日産「GT-R T-spec」MY2024

 一時は生産終了が噂されていた「GT-R」。日産の、いや日本が世界に誇るスーパースポーツにもう会えなくなるなんて……とクルマ好きは心配していましたが、そんな心配を日産は跳ね除けて2024年モデルのGT-Rを世に送り出しました。フルモデルチェンジをせずに約16年の歩みを続けているGT-Rですが、最新のGT-Rはどう変わったのか? 2022年モデルにも試乗したことがある筆者が最新バージョンとなるT-specを実際に試乗しチェックしてみました。

■2024年モデルとT-specの違い
■騒音対応マフラーに変更された

 2024年モデルとなったGT-Rの最大の変更点はマフラーでしょう。生産終了が噂されていた最大の理由は騒音規制への対応。これに対して日産は新構造のマフラーを開発することで、GT-Rの延命に成功しました。そのほかバンパーやリアウイングに新デザインを採用し、空気抵抗を増やさないでダウンフォースを増加させ空力性能を向上しています。

GT-R
GT-R
GT-R

 2022年モデルから設定されたT-specの正式名称は「Premium edition T-spec」。Tには時代を牽引する「トレンドメーカー」でありたいという思い、そして優れた4WDシステムが発揮する高い駆動力を持つ「トラクションマスター」であるという意味が込められています。T-specの専用装備としてはカーボンセラミックブレーキやサスペンション、グリーンカラーの専用内装などが挙げられます。この点は2022モデルと同じ内容です。

■日常使いでの走行性能の向上

 2024年モデルのT-specに乗り始めて気が付いたことは、街乗りや高速道路では以前よりもマイルドになったということ。2022年モデルはどこか男臭い感じというか、チューニングカーっぽさを感じる仕上がりでしたが、2024年モデルは完成されたスポーツカーにより近づいたイメージ。普通に走る分にはGT-Rらしさみたいなものは薄れましたが、2024年モデルの方が快適度は上と言えます。

GT-R
GT-R

 専用のサスペンションはセッティングの変更が施され、乗り心地もコンフォートモードは2022年モデルよりもさらに角が取れてマイルドになった印象ですし、発熱していない低速域ではやや効きの甘さというか「ヌルっ」としたフィーリングを感じたカーボンブレーキも2024年モデルではノーマルブレーキと比べて違和感なく制動することができます。

GT-R
GT-R

 そして驚いたのはオーディオの音質の良さ。2022年モデルのT-specにもBOSEのサウンドシステムが採用されていましたが、低音から高音までクリアに聞こえて「あれ? GT-Rってこんなに音楽聞くのが楽しいクルマだっけ?」と感じさせます。これは消音になったマフラーも影響しているのでしょう。2022年モデルは車内に聞こえてくる音量はそこまで大きくなくても、はっきりとハイパワーなV6エンジンがその存在を主張してくる印象でした。しかし、2024年モデルは街乗りから高速道路の低回転域では、エンジンはそこまで主張してきません。その結果、オーディオに耳を傾けるようになったということでしょう。

GT-R

 2022年モデルのT-specも街乗りは比較的快適と言えましたが、チューニングカーらしいような野性味溢れるクルマの雰囲気を楽しみながら流すといった印象でした。しかし、2024年モデルはお気に入りの音楽をかけて、これまでよりも肩の力を抜いて、リラックスして、GT-Rの「GT」としての性能を味わって流す。そんな印象へと生まれ変わりました。

■アクセルをひとたび踏めばGT-Rらしさ炸裂

 しかし、アクセルを踏み込めばGT-Rらしさが炸裂。低回転域からトルクフルな今どきの行儀の良いターボエンジンとは異なり、中回転域となる3000rpmを超えたあたりからタービンが仕事をし始めた感じがして、3500rpmに差し掛かったあたりでドカンとトルクが立ち上がります。そこから上の回転域までトルクはタレることなく回っていくのですが、少し時代を感じるようなターボカーらしいトルクの立ち上がり方は、第2世代GT-Rから続くGT-Rのハイパワーターボスポーツとしての血統を思わせます。

GT-R
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 しかし、そんなターボカーらしい強烈な加速を見せても、「目が追いつく」のがGT-Rの凄いところ。これは優れた4WDシステムによるトラクションもありますが、キッチリと路面を掴むサスペンションと高いボディー剛性も大きく影響していることでしょう。どこまでもアクセルを踏めてしまうような安心感がR35 GT-Rにはあります。

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