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コロナ禍を経て移動活性化、次世代に向かうGoogleマップ

【独占取材】Googleマップは「東京ファースト」な地図作りだった(西田宗千佳)

数十億枚のストリートビュー画像と航空写真を組み合わせて、デジタルで世界を再現したイマーシブ ビュー。AI技術を使用して、通常の2Dの写真を3Dデータに変換している

コロナ禍を抜けて地図利用も「元の形へ」

 そういう部分も含め、地図サービスの改善が加速しているのは、コロナ禍が落ち着き、人々の行動がはっきりと変化し始めているからでもある。

 「コロナ禍の前はすべてが成長し、人々はよりモバイル重視の生活をしていました。しかし、コロナ禍に入るとそれが、すべてが止まってしまったんです。その後、コロナ禍で実際に人々がどうマップを使うのかを観察しました。それでも様々な使い方をしてはいましたが、遠くまで移動する人は減りました」

 それがコロナ禍後には「また元に戻った」とダニエルズ氏は傾向を説明する。

 「今年は、地域内の移動が復活しただけではありません。旅行が顕著に増加しています。人々は長距離を移動し、新しい場所で新しい体験をしています。新しい場所を探索し始めているんです。ですから私たちは今、『興味深い場所を見つける』ことに重点を置き始めています。いつも同じ仕事に行って帰ってくる、いつも同じ電車に乗って帰ってくる。そういうこともあるでしょう。でも、知らない土地に知らない旅行をする人が増えている。今週末、東京で何ができるのか? それを調べる人が増えているんです」(ダニエルズ氏)

世界中を3Dで見る「イマーシブ ビュー」を強化

 そんな中、新しい施策として強化を進めているのが「イマーシブ ビュー」だ。どんなものかは、Google I/O 2023基調講演内の以下の部分を見ていただくのが近道だ。

 グーグルは、これまで大量に取得したストリートビューや航空写真のデータを、「NeRF」(Neural Radiance Fields)という深層学習を使った技術を活用し、あらゆる方向から見られる3Dデータに変換している。そしてそのデータをGoogleマップに使うことで、東京タワーなどの有名な地点データをどこからでも見られるようにしている。もちろんそれだけでなく、天候の予測や時間による日照の変化なども再現され、状況を把握しやすくなる。

 今年のGoogle I/Oではさらに、そこからルートマップを検索し、自転車で移動する時の様子を確認できたりもする。

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