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全世界でデータ通信可なX-mobileのルーター型スマホ「スマートWi-Fi」が海外でかなり便利

2023年07月15日 12時00分更新

海外利用、ahamoと比較したメリット、デメリット

 スマートフォンとしての性能だけを見るとXM-SW1には物足りなさを感じるだろう。しかし、海外に持ち出しデータ通信端末として使ってみるとかなり便利な製品であることに気が付かされる。スマートWiFiのプランは海外でも5GB/20GB/50GBをそのまま利用できるのだ。ただし後述するが実際は50GBを使うことはできず、最大で31GBとなる。

 スマートWiFiのように、日本のプランそのまま海外で使えるサービスとしてドコモのahamoがある。ahamoは20GBの基本料金プランを海外でも使うことができるのだ。ahamoは一部の国では5Gローミングにも対応し、また4Gローミングでも高速で接続することができる。たまの海外旅行に行くのであれば、実はahamoはかなり使い勝手のいいサービスなのだ。

スマートWiFi

ahamo SIMを入れたBALMUDA Phone(左)とXM-SW1(右)

 ところがahamoにも弱点がある。まず海外で使える日数は15日間となり、15日間を過ぎると自動的に128Kbpsに速度規制がかかってしまい、日本に戻って日本の電波を掴むまで制限を解除することはできない。15日間の海外渡航となると長期出張やヨーロッパ横断のような長期旅行程度かもしれないが、万が一海外でトラブルにあい滞在が伸びてしまった時など、15日制限にひっかかってしまうこともあるのだ。

スマートWiFi

海外で15日以上が過ぎると速度規制がかかり、日本に戻るまで解除されない

 また日本と海外でデータ量が共用できるものの、日本でデータ通信をある程度使ってしまった状態で海外に出ると、海外で使えるデータ量がその分減ってしまう。ahamoは1980円で80GBの大盛オプションが利用できるが国内利用分だけであり、海外では使用できない。たとえば日本で18GB使った状態で、急に「週末台湾弾丸旅行に行こう」なんてことになった場合、台湾では2GBしか使えないわけだ。

 これに対してスマートWiFiは15日間規制がなく、極端な話、海外に長期間滞在していても毎月の無料利用分をそのまま海外で使用できる。だが、海外での利用は1日1GBに制限されている(超過時は128Kbps制限)。50GBプランに加入しても31GBまでしか使えないというのはこの1日1GB制限があるためで、海外に31日間いた場合最大31GBまでしか利用できない。海外利用を考えるなら20GBプランまたは5GBプラン加入で十分だろう。

 一方で欠点もある。それは通信速度だ。スマートWiFiの通信速度は4Gフル速度とはいかず、20Mpbs前後である。これはSNSの閲覧やYouTube動画を低解像度で視聴するには十分だが、仕事で大量のデータをダウンロード・アップロードする場合は不満が出るだろう。ただし、裏を返せば速度が遅いために1日1GBに到達することはなかなかなく、20GBプランに加入で1ヵ月をカバーすることもできるだろう。家族や友人などと一緒に20GBプランに加入し「ペア充」サービスに加入すると5GBが無料で追加され、25GBが利用できる。

スマートWiFiを海外で使ってみた

 それでは実際、海外でのスマートWiFiの使い勝手はどんなものだろうか? 筆者は2022年11月から使い始め、香港、韓国、台湾、アメリカ、スペイン、スイス、シンガポール、マレーシア、タイと使ってきた。スマートWiFiはXM-SW1本体だけでも使えるが、プリインストールアプリの「WiFiモードアプリ」を使えばモバイルWi-Fiルーターとして使いやすい。同アプリを起動すると画面にはその月のデータ使用分が大きく表示されるためわかりやすい。

 さりげないことだが日本の現在時刻も表示されるため、欧米など時差が大きい国でも日本時間をすぐに知ることができる。

スマートWiFi

WiFiモードアプリを起動すればWi-Fiルーターとして使いやすい

 通信速度は前述したように、どの国でも20Mbps前後。高速な時は25Mbps、低速では10Mpbsといったところだ。ただ速度以外の面で使ってみて感じたことがある。それは電波の掴みの早さだ。飛行機が着陸してXM-SW1機内モードをOFFにすると、すぐに現地の電波につながってくれた。すぐにSNSのチェックをしたいときはそのままXM-SW1にインストールしたTwitterアプリを立ち上げるのが手っ取り早い。

スマートWiFi

香港での速度テストの一例

 実際に半年間各国でスマートWiFiを使ってみたところ、ほかのスマートフォンを接続してYouTubeの480pでの視聴やインスタグラムやTikTokのショート動画も再生でき、TiwtterやFacebookでもタイムラインの写真表示は問題なくできた。速度の遅さを感じるのはPCを接続してファイルの送受信をするときくらいであり、ライトな使い方であればどこの国でも気にすることなく使い続けることができた。海外用の常時接続回線として実用性は十分あるだろう。

【まとめ】海外渡航向けの最強サブスマートフォン

 スマートWiFiはもちろん国内でも使うことができる。とはいえ、国内ではほかにも多くの選択肢があるだろう。一方海外での利用を考えると、通信速度の遅い点はマイナスではあるものの、接続性の良さや日数制限を考えなくていいなど、常に海外に持ちだすサブスマートフォンとしての使い勝手は高い。

 料金プランはこのままでもいいが、スマートフォンのスペックが低いことだけが気になる点だ。他社スマートフォンにスマートWiFiのeSIMをビルトインしたモデルを提供するなど、スマートフォンのラインナップをぜひ増やしてほしい。

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