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音そのものを楽しむ、新しいオンライン配信の可能性

KORG Live Extremeを活用した世界初の“DSDライブ映像配信”を体験

2023年04月19日 13時00分更新

DSDネイティブ再生ならではの自然さを感じる再生音

 これらを頭に入れてDSD再生を試してみた。

 ライブはギター演奏を中心としつつ鐘やターンテーブルのスクラッチなど様々な手法を組み合わせる即興ライブで、実験音楽的な内容になっていた。

演奏中の様子

 配信が始まる前の待機画面中に上記の設定を試してみると、GO barのインジケーターで2.8MHzのDSDとして認識(ロック)されていることを確認できた。これはGO barのPCM入力時に点灯するデジタルフィルターの項目が消灯していることからも確認ができる。

GO barのインジケーター。DSDの項目が点灯している。

 ここで試しにPCMとDSDの切り替えをテストしてみた。その際に気が付いたのは、待機画面の背景で流れていたBGM的な音楽を聴くだけでも、DSDの音質が極めて優れていることだ。DSDの方がより鮮明でかつ自然な再生ができていた。

 ライブでは、様々な楽器やエフェクトが使われるので音の表情がつかみやすく、DSDとPCMの違いが一層鮮明となる。DSDネイティブ再生の音再現は極めてリアルだ。鐘の音など、金属的な高域の響きが明確で、目の前で鳴っているように感じられる。音質モードを96kHzのPCMに切り替えたり、Audio MIDIで176kHzにリサンプルしたりして比較した場合も、DSDの方がリアルで鮮明な音に感じられる。ターンテーブルのノイズ音もPCMでは少しキツく感じられるが、DSDネイティブではそのキツさが和らぎ自然になる。

Live Extremeの持ち味が存分に生かされている

 こうした実験的な音楽は、メロディラインではなく楽器音とその音の重なり具合など、サウンド自体を楽しむものだから、Live Extremeのように音の表現力にこだわった配信形式の選択が大事になると言えるだろう。

 DSDネイティブ再生は、ローカルに保存したファイルの再生など、PCオーディオの手段としては珍しくないものになっているが、配信ではそのハードルが高くなる。インターネット上の伝送経路の品質という問題があるので、PCにUSBでつなぐのとは訳が違う。

 つまり、Live Extremeが単にDSDを搬送できる仕組みを持っているだけでなく、映像よりも音声を優先して帯域を確保することで、ビット落ちを最小限にしているから実現できるとも言えるのかもしれない。

 ブラウザー再生なので、音楽再生ソフトを使用するPCオーディオにはない注意点に留意する必要があるが、この高い音の再現力にはライブ配信の新たな可能性を感じた。

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