「V-Ray Benchmark」ではRTX 3080をやや上回る
ここからはクリエイティブ系アプリでの検証を行なう。まずはCGレンダラー「V-Ray」をベースにした「V-Ray Benchmark」で試してみよう。GPUレビューなので「V-Ray GPU CUDA」と「V-Ray GPU RTX」を使用した。
RTX 4070は、RTX 3080と比較してGPU CUDAで約3%、GPU RTXで約10%上回る結果を出している。純粋なCUDAコアやRTコアだけで考えると圧倒的にRTX 3080のほうが多いが、世代の新しいRTX 4070は限られた回路規模でも同等以上の結果を出せる事が示されている。
動画エンコード速度はアプリによりけり
続いては動画エンコード性能をチェックするが、ここでは3つのアプリを利用して検証する。
まずはAV1のハードウェアエンコードに対応した「DaVinci Resolve Studio」だ。ProRes 422HQベースの8K動画(再生時間約2分)を編集し、それを1本の8K動画(CBR、80Mbps、Faster、High Quality)にエンコードする時間を計測した。RTX 4070 Tiや4070しかAV1のハードウェアエンコードに対応していないため、旧世代GPUと比較するためにH.265(NVIDIA)でのデータも付け加えた。
まずデータが揃っているH.265から見ると、RTX 2070 SUPER〜RTX 3080までは1分55秒前後で頭打ちになっているところが、RTX 4070になると30秒程度の速度短縮を達成。RTX 4070 Tiはさらに高速だが、これはエンコーダーが2基あるからに他ならない。
AV1については前述の通りRTX 4070Ti/ 4070しかデータが得られなかったが、ここではH.265以上の差が観測できた。デュアルNVEncを活かした動画編集も考えているなら、何も考えずにRTX 4070 Ti(より上)を狙ったほうが幸せになれる、といえるだろう。
続いては「Handbrake」で試す。v1.6系からAV1対応となったが、NVEncではなくCPUエンコードとなるため、今回はH.265(NVEnc)でのスピードをチェックする。4K@60fps(H.264)の動画を「H.265 NVEnc 2160p 4K」プリセットを用いてH.265の4K動画に変換する時間を計測した。
前掲のグラフのH.265をそのまま抜き出したようなグラフになっているが、RTX 4070 Tiと4070の間に大きな差はない。結果からみてRTX 4070 TiはデュアルNVEncが活かせていないようだ。一方、旧世代GeForceとRTX 4070の差は大きいのは、RTX 40シリーズのアーキテクチャーの優位性と考えることができる。
最後に「Media Encoder 2023」で試す。「Premiere Pro」で再生時間約3分の4K動画を用意し、これをMedia Encoder 2023にキュー出しして1本の4K動画に出力する。出力設定は「アルファPQを含むApple ProRes 4444 HQ」とした。これまでのテストと異なりエンコードはCPUで行われるが、デコード処理などでGPUにも負荷がかかる。NVEncの使えない状況でのパフォーマンス検証というわけだ。
RTX 2070 SUPER/3070が7分前後で遅いのは想像通りだが、RTX 4070 Ti/4070が2着・3着となり、1着がRTX 3080という結果になったのは予想外だった。NVEncが利用できないエンコード設定の場合は、GPUアーキテクチャーの優位性よりも純粋にSM数が多くメモリーバス幅の大きいほうがより良い結果を残せた、ということだ。
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