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Silent-Master NEO Z790/D5をレビュー

13700K&RTX 4070 Tiで静音・性能・冷却の走攻守が優秀なゲーミングPC、あります

2023年04月09日 10時00分更新

まずは高負荷時の性能と温度と動作音を確認

 検証のポイントは、ずばり性能と温度と動作音の3点。CPUもGPUも前段の通り、高性能なモデルを採用しているだけに、このバランスは絶妙なさじ加減が必要になるだろう。性能を引き出すためには冷却力が重要になるし、冷却力に重きを置けばうるさくもなるからだ。

 まずはCPUから見ていこう。CGレンダリング時間からCPU性能をスコアー化(単位:pts)する、定番ベンチマークソフト「CINEBENCH R23」を実行。フルスレッド稼働の「Multi Core」テストは負荷が非常に高いので、CPUのパッケージ温度も上がりやすい。

 つまり、スコアーからCPU性能が引き出せているのか、CPUのパッケージ温度から冷却が十分に行われているのかが判断できる。そして、ベンチマーク中の動作音も確認することで、静音PCとしての実力もわかるわけだ。

CINEBENCH R23の結果

 Multi Coreテストのスコアーは25905pts。この値だけを見せられても高いか低いかわからないため、加藤勝明氏の記事「CINEBENCH番長は秒で奪還!Core i9-13900K/Core i7-13700K/Core i5-13600K速攻レビュー【前編】」から参考となるCore i7-13700Kのスコアーを引用させてもらおう。

 この記事によれば、Core i7-13700KのスコアーはMulti Coreテストが30552pts、Single Coreテストが2082pts。つまり、Silent-Master NEO Z790/D5はSingle Coreテストでは勝っているものの、Multi Coreテストではかなり負けている。しかし、CPUの性能が十分に発揮できていないと論じるには尚早だ。

 第13世代インテルCoreプロセッサーには2つの電力制限がある。1つは高クロックで動作し、短時間で処理を終わらせるための「最大ターボパワー」(以下、PL2)というもので、持続時間に制限がある。多くのPCでは1~2分程度に設定されているため、スタートダッシュみたいなものだと考えればいいだろう。

 一般用途ではこのくらいの持続時間で十分間に合い、キビキビとした動作を実現してくれる。ただし、当然発熱量が多く、持続時間を過ぎた場合はもう1つの電力制限である「プロセッサーのベースパワー」(以下、PL1)に切り替わる。

2種類の電力制限はインテルが公開しているCPUの仕様からもわかる

 これらの電力制限はCPUの型番によって変わり、Core i7-13700Kはインテルの推奨設定であれば、PL2が253W、PL1が125Wになる。しかし、先の記事ではCPUの最大性能を確認するために、あえて電力制限はどちらも無制限設定にしている。つまり、常時最大火力で動かしていることになるので、本機よりも上のスコアーになっているのだ。

 当然、電力無制限設定にすればCPUパッケージ温度は爆上がりし、CPUクーラーのファンもフル回転。騒音もかなり大きい。ゆえに、常用するPCでは当然インテル推奨設定が基本になる。特に静音重視のPCであればなおさらだ。

 Silent-Master NEO Z790/D5ではこの点を考慮し、PL2は253W、PL1は125Wのインテル推奨設定だ。この設定においては、Multi Coreテストで25905ptsは妥当なラインと言える。

 では、CPUパッケージ温度はどうだったのか。モニタリングツール「HWiNFO64 Pro」で、ベンチマーク開始から終了までの変化をチェックした。

HWiNFO64 Proで観測したCPUパッケージ温度の変化

 最初はPL2(=253W)の電力設定で動作するため、CPU温度が上昇。この時の平均動作クロックは4.7GHz以上で、CPUパッケージ温度もぐんぐん上昇しており、最大96度にまで達していた。しかし、PL1(=125W)動作に切り替わると、CPUパッケージ温度は65度付近まで大きく下落し、時折スパイクしている様子はあるものの、安定していると言ってもいい推移だろう。なお、平均動作クロックは3.9GHz前後だった。

 つまり、スタートダッシュのPL2では制限時間を耐え切り、その後のPL1では余裕をもって冷やせていると読み取れるわけだ。静音性と性能の両方を追求するバランスとしては、かなり理想に近いだろう。

 もちろん、PL1ではCPUパッケージ温度に余裕があるので、140Wや165Wあたりまで盛っても安定してくれそうだ。ちなみに、CPUクーラーのファン回転速度は、アイドル時に約300rpmだったものが、高負荷時には約1000rpmまで上昇する。かなり大きな変化だが、不思議と騒音が大きくなった感じはなかった。

 耳を近づけてよく聞いてみれば、なんとなく変化しているのはわかるものの、1mも離れてしまえばその差はまったくわからないほど。その名にたがわない、優れた静音PCだと実感した瞬間だった。

 なお、性能・温度・動作音のほかに、消費電力も気になるという人は、CPU型番の末尾に「T」が付く省電力モデルがオススメだ。Silent-Master NEO Z790/D5のBTOメニューでは、「Core i5-13600T」、「Core i7-13700T」、「Core i9-13900Tの3モデルから選べる。このメニューの充実ぶりもサイコムのいいところ。

省電力なT付きモデルも選択できる。ちなみに、同じ論理コア数(16コア/24スレッド)のCore i7-13700TはPL1が35W、PL2が106Wだ

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