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チャットAI競争が始まった:

グーグル、マイクロソフトに追いつめられる

2023年02月13日 09時00分更新

マイクロソフトの新しいBingとEdgeの機能

 次に、競合相手のマイクロソフトの新しいBingとEdgeの機能を見ていきましょう。

 新しいBingは、現時点で限定プレビューというものが公開されています。

 限定プレビューではBing AIへの質問と回答のいくつかの例を見ることができます。

 実際にBing AIにアクセスするには、現時点ではウエイトリストに登録して順番待ちする必要があります。以下のページからウエイトリストに登録でき、早く登録した人から順次招待されています。

https://www.bing.com/new

 BingのAIもグーグルと同様にWeb検索に統合されています。

 たとえば検索ワードに「ベジタリアンの6人でディナーパーティーを開く必要があります。チョコレートデザート付きの3品のコースメニューを提案できますか?」と入力すると、通常のWeb検索結果と共に以下のようなAIの回答が表示されます。

 限定プレビューの他の質問の例には、「旅行の計画を手伝ってください」、「クイズを作るのを手伝ってくれますか?」といったようなものがあります。

 単なる質問というよりは、提案を出させたり、計画案を出させたりする使い方を想定しているようです。

 また「プログラムコードを書いて」や「ポエムを書いて」といった創造的なタスクもこなせるようです。

 Bing AIもBardと同じように、必要に応じてAI自らWebから情報を取得してきて回答の精度を高めています。Web検索してきた時の返答には、ウィキペディアのような引用元のリンクが付けられており、ユーザーはAIの回答の根拠となったソースを確認可能です。

 さらに、AIの回答に対して次にユーザーが入力するであろう文章の候補も予測して生成してくれています。

 これらの入力候補をクリックするか、「Let’s chat」ボタンを押すとチャットモードになり、AIとの会話を続けられるようです。

 以上が新しいBing AI機能の概要ですが、マイクロソフトは自社のWebブラウザであるEdgeもAIを統合してアップデートする予定です。

 新しいEdgeブラウザでは、サイドバーからAIによるチャット機能と作成(Compose)機能が利用できるようになります。

 ここでのチャット機能は、BingでのAIチャットと大きく異なる点があります。それは、現在ブラウザで表示されているWebページやPDFファイルの内容を、AIが読み込んで把握してくれてるという点です。

 発表のデモでは、企業の財務レポートのPDFを表示した状態で、AIに「要点をまとめて」と依頼すると、PDFの内容を要約してくれていました。これにより、我々は文書の内容を理解する時間を大幅に節約できます。

 また、同時にチャットAIはWeb上の情報を参照可能です。「他の企業との比較表を作成して」と依頼すればその通りに比較表を作成してくれます。

 他の例では、プログラマ向けの質問サイトであるStack overflowでPython言語で書かれているソースコードがあったときに、「これをRust言語で書き直して」とAIに依頼することもできます。

 作成機能の例では、LinkedInの投稿の内容案をAIに生成させていました。

 生成する文章のフォーマット(文章、Eメール、ブログ投稿、アイデア)や文章の長さも指定できるようです。

 Edgeに搭載されるこれらの機能は、我々のWeb体験を完全に変えてしまうかもしれません。

 これは、すべてのWebページ、全ての文書を対話可能なチャットボットに変えてしまうものだと言えます。対話可能というのはつまり、話しかけることができて、答えを返してくれるということです。

 たとえば、我々はベストセラー本を自分で読むのが面倒なとき、友達に「かいつまんで内容を教えて」と頼んだりします。これからはブラウザー上でAIに同じように頼むことがいつでもできるようになるでしょう。

 Edgeで利用できるAI機能は、最初はEdgeだけですが、いずれは他社を含めた全てのブラウザで利用できるようにしたいと考えているとのことです。

 もう1つ、Bingの検索アルゴリズム自体もAIによって改善されたそうです。「過去20年間で最大の関連性の飛躍をもたらしました」と書かれています。

 Bingに搭載されたAIモデルは、検索専用にカスタマイズされた、OpenAIの次世代のモデルで、ChatGPTより優れているとのことです。

 すでに新しいBingに招待されてアクセスしている方もいますが、その会話を見る限り、BingのチャットAIはChatGPTと同等以上に優れているように見えます。

 つまり、BingのAIモデルはChatGPTのGPT-3.5モデルと同等の、大規模かつ強力なものが使われていることが推測されます。

 気になる料金は、無料で提供されることが明言されています。ChatGPTでは月額20ドルの有料プランが用意されていたことを考えると、それと同等以上と思われるAIを搭載したBing AIが無料で使用できるというのは驚きです。

 ただし、代わりに広告が表示されるそうです。はたしてチャットAIと会話する中で広告がどのような表示のされ方をするのか、まだ詳細は分かりませんが気になるところです。

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