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2023年は背面サブディスプレー搭載がマイナースマホメーカーの定番に!?

2022年12月26日 12時00分更新

スマートフォンの背面にもディスプレーを搭載

品質や性能でなかなか勝てないマイナーメーカーが
活路を見出すのがサブディスプレー搭載

 スマートフォンメーカーが大手に集約されていく中で、マイナーメーカーは新製品展開に悩んでいます。その中で最近立て続けにサブディスプレーを背面に搭載したスマートフォンが出てきました。大手ではシャオミの「Xiaomi Mi 11 Ultra」がそんな製品を出しましたし、中堅どころではUnihertzが背面に円形ディスプレーを内蔵した「TickTock」を日本でも発売、Doogeeもこの手の製品を出しています(ワークマンで売ってほしい!? 背面サブ画面搭載のタフネス5Gスマホ「Doogee V20」)。

 これら中堅メーカーよりもマイナーなメーカーは「iPhoneなどヒット製品のデザインコピー」「防水防塵タフネス」「大容量バッテリー搭載」そして「思い切った低価格」で勝負を挑んでいます。しかし、シャオミのRedmiシリーズのエントリーモデルが十分な品質と性能を持っており勝負になりません。そこで出てきたアイデアが背面へのサブディスプレー搭載なのでしょう。

 まずはXiaolajiao(小辣椒)のフラッグシップモデル「DE2023」を紹介します。モデル名から2023年に向けたモデルであることがわかりますね。チップセットはMediaTekのHelio P70、6.517型ディスプレーの解像度は1600×720ドット、メモリー8GBにストレージ256GBという構成のエントリーモデル。バッテリーは6950mAhと大型で本体サイズは不明で厚みは11.9mm。おそらくベースのデザインはタフネスモデルなのでしょう。

Xiaolajiao DE2023。背面のサブディスプレーが特徴

 肝心のサブディスプレーのスペックは不明。本体サイズといい、マイナーメーカーはこのあたりが適当です。カメラは4800万画素と補助2つ(たぶんマクロ200万画素と深度測定200万画素)。背面サブディスプレーでSNSの通知を見ることもできるようですが、その機能も不明です。背面はレザー仕上げだそうですが、おそらく良くてもビーガンレザー、実際は合皮と思われます。

サブディスプレーはSNSの通知も可能

 Xiaolajiaoはもう1機種「DE30」も出しています。こちらはDE2023に比べると普通のスマートフォンのような形状。しかもフロントカメラを1つしか搭載していないのにディスプレーはノッチデザインを採用。側面のフレーム形状も合わせ、iPhoneを意識しているのでしょう。これを見て「iPhoneかな」って思う人はいないと思いますが。

Xiaolajiao DE30

 背面はDE2023同様にレザー調。ここに謎のトラの柄がプレスされています。スペックはDE2023と同じと思いきや、こちらのほうが低価格のためチップセットは中国UNISOCのT610にメモリー6GB、ストレージ128GBという構成。ディスプレーはDE2023と同じ6.517型1600×720ドット、カメラはメインが4800万画素+サブは不明。バッテリーは4300mAhで本体厚みは9.4mmです。

背面のトラの模様が特徴らしい

 もう1つの背面サブディスプレー搭載スマートフォンはDoovの「D50 Pro」。6.517型ディスプレーにUNISOC T610を搭載、本体デザインを見るとXiaolajiaoのDE30と背面カメラの位置など似ていますね。この2つのモデルは同じODMメーカーから供給を受けた姉妹製品なのでしょう。カメラは1300万画素+サブ不明とスペックダウン、メモリーは不明ですがストレージは256GBに増量。バッテリーは3700mAh。DE30と同じスペックにすれば良さそうですが、あえて差別化しつつ、コストを下げるためにスペックをうまく調整しています。

DoovのD50 Pro

 D50 Proは背面サブディスプレーをあまりフィーチャーしていないようで、もしかすると動作が不安定なのかもと疑ってしまいます。着信、SNS通知、日付と時計表示程度しか機能はないのかもしれません。

背面サブディスプレーでできることは限られている?

QRコードを表示したりカメラのプレビューに使えたり
あると便利なサブディスプレー

 背面側にもディスプレーを搭載することで、メインディスプレーを使わなくともQRコードを表示して支払いに使ったり、カメラのプレビューに使うなど、スマートフォンの新しい使い方もできるようになります。大手メーカーがやらないのはコストや本体設計の問題があるからでしょう。多くのメーカーのスマートフォンは背面カメラの横にチップセットを配置するため、その上にサブディスプレーを内蔵させるとなると本体が熱くなり、また放熱性能を高める必要があります。マイナーメーカーが背面サブディスプレー端末を出せるのも、チップセットが4Gのエントリークラスを採用しているからかもしれません。

背面サブディスプレーには無限の可能性がある

 もしかすると、2023年に出てくる名もない無名ブランドのスマートフォンは、背面サブディスプレー搭載が当たり前になるかもしれません。そうなるとそのサブディスプレーにより多くの機能を搭載しようとOEMメーカーも考えるでしょうし、大手メーカーのスマートフォンよりも使い勝手が高まるかもしれないのです。一方、大手メーカーのスマートフォンはカメラの高性能化により背面に占めるカメラ部分の面積が増え、サブディスプレーを搭載する余裕がなくなっていきます。高性能なハイエンドスマートフォンより、1万円程度の格安モデルのほうが使いやすい、なんて面白い逆転現象がおきるかもしれませんね。海外通販で見かける怪しいスマートフォンにも注目する時代が来るかも!?

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