初の5Gワールドカップという側面も
8つのスタジアム周辺に5000もの基地局を設置
スポーツイベントやコンサートなどでは、モバイルネットワークの実力も試される。今回のワールドカップでは、この地域の大手オペレーターOoredoo(大会の公式中東・アフリカ通信オペレーター)が、イベント来場者に期間限定で無料のSIM「Hayya SIM」を提供した(https://www.qatar2022.qa/en/hayya-card-benefits)。eSIMと物理SIMがあり、空港の自販機などさまざまな場所で入手できるようになっていたようだ。
Ooredooによると、試合に使われた8つのスタジアムとその周辺は、4Gと5Gの基地局が合計5000以上設置され、1130以上のマルチビームアンテナを使って、355km以上のRFケーブルと202km以上の光ファイバーを接続したという。
11月20日の開会式ではデータトラフィックが36TBに達した。スタジアムで最も使われたアプリは「Snapchat」、次が「Instagram」「WhatsApp」の順だったそうだ。開会式の間に62万の音声通話があったが、通話成功は99.98%を維持。同社の5Gネットワークのピークレートは2Gbpsだったと報告している
期間中、8つのスタジアムに246万人が来場したが、スタジアムの中と周辺では533TBのモバイルデータ、136TBのWi-Fi経由の通信が行き交ったそうだ。音声通話は750万、このうち63%をVoLTEが占め、ドロップ率は0.03%だったという(https://www.ooredoo.qa/web/en/press-release/ooredoo-registers-record-breaking-data-traffic-hundreds-of-thousands-of-voice-calls-in-first-48-matches-of-fifa-world-cup-qatar-2022/)。
最後に、今回の大会では公式球にセンサーを内蔵し、カメラと連動してオフサイドを半自動で判定するなど、テクノロジーでも最新の事例が生まれている。
筆者紹介──末岡洋子

フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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