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産業のコメだった半導体、日本の復権はなるのか? 2nm技術に向けRapidusとIBMが協業

2022年12月19日 13時00分更新

今回のことば

「IBMと提携し、2nmのテクノロジーを収得し、日本で生産することが、Rapidusの事業コアである。これを正式に発表できた。この日は、日本の産業界、半導体業界はもちろん、米国や世界の人たちにとって、絶対に忘れられない日になると確信している」

(Rapidusの小池淳義社長)

2nmノードチップ技術の共同開発で協業

 IBMとRapidusは、2022年12月13日、戦略的パートナーシップを締結したと発表した。

 2021年にIBMが発表した世界初となる2nmノードのチップの技術を共同で開発し、2020年代後半に、Rapidusが建設する日本国内の製造拠点で量産を開始することになる。

 米IBM シニアバイスプレジデント兼IBM Researchディレクターのダリオ・ギル氏は、「次世代トランジスタ技術であるNanosheetによって、2nmノードを実現する。パートナーとともに、約15年間に渡って築いてきた世界初の技術である。すべての電子機器やコンピュータが依存する技術になり、世界をリードすることができる」と自信をみせる。

ダリオ・ギル氏

省電力化、処理性能向上、社会を変えるインパクト

 米ニューヨーク州アルバニーのAlbany Nanotech Complexの研究所を拠点として、IBMの研究者たちが、公共機関や民間企業のパートナーと緊密に連携し、開発を進めており、指の爪のサイズのチップに、最大500億個のトランジスタを搭載できるようになるという。現在、最も先進的な7nmチップに比べて、性能は45%向上でき、性能が同じ場合には、75%のエネルギー効率向上が達成できるという。

 2nmチップを利用することで、スマホのバッテリー寿命が4倍に伸び、ユーザーは4日ごとにデバイスを充電するだけで済むほか、データセンターのエネルギー消費量が大幅に減少し、二酸化炭素排出量を削減。ノートPCの機能を大幅に高速化でき、アプリケーション処理の高速化し、言語翻訳の処理を容易にし、インターネットへのアクセスの高速化も実現するという。さらに、自動運転車のような自律型車両では、物体の発見や反応時間が高速化できる。

国内トップの技術者が集結し、次世代半導体の量産製造を

 一方、Rapidusは、国内トップの技術者が集結して、次世代半導体の量産製造拠点を目指す企業として、2022年8月に設立。キオクシア、ソニーグループ、ソフトバンク、デンソー、トヨタ自動車、NEC、NTTがそれぞれ10億円、三菱UFJ銀行が3億円を出資し、国内8社が参画して、総額73億円の資本金でスタート。経済産業省は、2022年度予算で700億円を助成する。

 Rapidusのロゴマークは、当初のプロジェクト名が「Mt.FUJI」であったことから、富士山をモチーフにしてデザイン。そこに、ラピッドのラテン語であるRapidusを社名にしたように、スピードを感じさせるデザインと、世界のエコを実現する企業であることを踏まえて、色調はグリーンにしたという。

 Rapidusの小池淳義社長は、「Rapidusは、IBMとの提携によって、2nmのテクノロジーを収得し、日本で生産することが事業のコアになる。これを正式に発表できたことはエキサイティングである。今日のこの日は、日本の産業界、半導体業界はもちろん、米国や世界の人たちにとって、絶対に忘れられない日になると確信している」と、新たなスタートに自信をみせた。

 今回の提携により、2023年からは、Albany Nanotech Complexに、Rapidusの技術者を派遣し、IBMおよび日本IBMの研究者と協働し、基礎研究を一緒に行うほか、設計やプロセス、デバイス、バックエンドなど、いくつかのグループにわけ、詳細を研究。新たなトランジスタの構造や構築について習得していくという。

 共同開発では、クリーンルーム施設を活用した研究、実験を行い、日々の研究データを収集しながら、プロセスの仕様を固める作業を反復的に行うことになる。

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