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いつもの外見で防水なのがうれしい:

2022年に一番履いたスニーカー、ニューバランス996ゴアテックスモデル

2023年01月02日 16時00分更新

文● モーダル小嶋 編集●ASCII

ニューバランスきっての人気モデル、996

 筆者はスニーカーが好きですが、履けてなんぼの精神のため、何十足もコレクションしているわけではありません。ヴィンテージやコラボなどにも強い興味がなく(もちろん、中には欲しくなるものもありますが)、スニーカー選びでは“履きやすさ”が重要になってきます。

 しかし、履きやすさというのは個人の感覚であり、足の形にも左右されるため、「これが最高」とは一概に言いにくい。いろいろなメーカーのスニーカーを履いてきましたが、個人的には、ニューバランスのものが自分の足に合っているように感じます。

 今回紹介するのはニューバランスの「CM996 GTX」です。グレーとブラックの2色展開で、価格は1万9800円。このスニーカー、2022年(特に下半期)において、もっとも履いていた靴だと思います。

見た目は完全に、定番のシルエット。見かけたことがある人も多いのでは

 ニューバランスのスニーカーの中でも、900番台(「990番台」とも)と呼ばれるフラッグシップシリーズがあります。元祖は1982年に登場し、1ドル280円の時代に100ドルという強気な価格で登場した「990」。「1000点満点で990点」を売り文句に、オンロードのランニング用に開発されたものです。

 本連載では、ニューバランスの「991」を買った話もしました(第3回「ジョブズも履いた3万円のニューバランス『991』は愛すべき一足」)。

 900番台は、ニューバランスの最先端の技術をつぎ込み、デザインをアップデートしながら発売され続けています。2022年は記念すべき40周年を迎え、最新モデル「990v6」が登場しました。

出る出ると言われ続けて、2022年についに出た「990v6」

 「M992」といった具合に、数字の前に「M」が付いている表記も見かけます。この「M」は「メンズ」という意味で、レディースの「W」やユニセックスの「U」など、商品の種類を示すアルファベットです。

 さて、996です。1988年に発表された、990番台の第3弾にあたります。元祖は「M996」。2013年にはアジア圏生産モデル「MRL996」が登場。Mはメンズを、Rは「REVLITE(レブライト)」と呼ばれるソールユニットが搭載されていることを、Lは「Lifestyle」を意味しているそうな。

 ニューバランスの製品の中では細身でスタイリッシュなデザイン、比較的安価なアジア圏生産モデルがあることなどから、ブランドきっての人気モデルとして、“996”はロングセラーとなっています。

 そして、2019年に登場した「CM996」は、MRL996の後継と考えて差し支えないと思います。快適な履き心地を提供するとうたうC-CAP搭載の2層構造ミッドソールとPUインソールを採用した、アジア圏生産モデル。C-CAPとは、EVA素材を圧縮成型したニューバランス独自の素材。CM996の“C”はC-CAPのCだそうです。

こちらはCM996のブラック。ゴアテックスモデルとの違いを、この角度で見つけるのは難しい

 CM996は、よりシルエットをオリジナルのM996に近づけているため、MRL996よりシルエットがすこし細めになっています。なお、ニューバランスが主に使用しているラスト(靴の形)は「SL-1」と「SL-2」の2種類がありますが、996シリーズは細身なシルエットのSL-1を採用しています。

 なので、CM996を試着する場合は、いつものスニーカーよりハーフサイズ〜ワンサイズ上げてみてもいいかもしれません。足の形は個人差が大きいので正解はありませんが、筆者の場合、スニーカーはだいたい27.0〜27.5cmを選ぶことが多い。ただ、996シリーズに関しては28.0cmを選びます。

 ちなみに、アメリカ製のM996もたまに復刻されています。外見こそCM996とほとんど変わりませんが、アメリカの工場でハンドメイドで作られており、価格もCM996より1万円ほど高くなっていますね。

外見は通常モデルと変わりません

横からのルックスも普通ですね

 外見に関しては、ニューバランスの中でも定番の型ですし、詳しくない人でも「見たことあるな」ぐらいなものですから、あまり言うことはないような気がします。

 出自こそオンロード用のランニングシューズではありますが、比較的スッキリしたフォルムが特徴。「ニューバランスのスニーカー」と言われたとき、多くの人が想像する外見でしょう。

 スエードとメッシュを組み合わせたアッパー、サイドで主張する“N”のロゴなど、誰がどう見てもニューバランスでござい……という佇まいですね。

見慣れた996のロゴ

 さすがに、これだけだと「ニューバランスのよく見るやつですね」となりそうです。しかし、最大の特徴は外側でなく、内側。ゴアテックス(GORE-TEX)を採用しているのです。

こちらから見ると「GORE-TEX」のタグがあります

タグに寄ってみました

 ゴアテックスは防水耐久性・透湿性・防風性を兼ね備えた素材で、アメリカで開発されたもの。「ゴアテックス メンブレン」という、内部に微細な穴が無数に空いている膜のような素材に、表地や裏地を貼っています。

 この穴は、水滴は通過できないほど小さいのですが、水蒸気の分子よりは大きい。よって、濡れには強いのに蒸れないという強みを持っています。

インソールにも「GORE-TEX」との表示があります

 ちなみにGORE-TEXには公式サイトもあります(快適性に優れた機能性ウェア | GORE-TEX ブランド)。こちらを見ると、より理解が深まるかもしれません。

後ろから見るとこんな感じ。C-CAP搭載の2層構造ミッドソールがわかりやすいかと

ソールは通常のCM996と共通

 くどいようですが、ゴアテックスを使っている以外は通常のCM996と同じなので、ソールの作りなどは共通です。

見た目はそのままでも、雨や濡れに強いのがうれしい

タンの部分は水が入らないようにアッパーとつながっている

 通常のCM996と唯一違う構造になっているのが、タンの部分。ゴアテックスを使っているとはいっても(素材がスニーカー内部をぐるっと覆うようになっています)、物理的な隙間からは、水が侵入します。それを防ぐために、タンの部分をアッパーとつなげて、ブーツのような構造にしているのですね。

ゴアテックス素材が内側に使われているので、水に濡れても安心です

 外見に目新しいところはないのですが、そこがポイントです。防水ということでアウトドア的なルックスになる……ということではない。服装を選ばず、何にでも合うベーシックなスニーカーのニューバランス996の見た目はそのままに、しっかり防水というところが嬉しい。

 本記事の前半で、「2022年(特に下半期)は一番履いていた」と書きました。何しろ定番モデルですから、コーディネートに間違いがないですし、どんな場所にも履いていけるフォルム。それでいて濡れに強いので、春夏秋冬、シチュエーションを問わずに活躍してくれました。履きやすさ、歩きやすさは言わずもがなですしね。

 なお、カラバリはグレーとブラックがありますが、筆者が人に勧めるならグレーです。マジで、何にでも合います。ジーンズにはもちろん、チノパンにも、カーゴパンツにも合います。スラックスにすら違和感なく馴染みます。雨の日に履けるスニーカーとして、持っておいて損しません。

いかにもニューバランスな色のグレー。落ち着いた色で、さらに996のスッキリしたフォルムのため、どんな格好にも合う

 では、筆者はどうしてブラックを買ったのか。単純に、グレーのニューバランスはもう何足も持っているからです。まあ、スニーカーが好きだと、往々にしてこういうことが起こりますね……。

 ともかく、ニューバランスの定番が、ゴアテックス素材でどこにでも履いていけるようになったこのモデル。とてもオススメです。

モーダル小嶋

1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。一人めし連載「モーダル小嶋のTOKYO男子めし」もよろしくお願い申し上げます。

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