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デバイスとモノづくりの観点でIoTの存在意義を考える

ソラコムの2人に聞いた IoT時代のモノづくりとは?

2022年12月01日 09時00分更新

電源問題に行き着くお客さまはIoTのトップランナー

大谷:さて、PoCフェーズの多かったIoTプロジェクトも、最近はプロダクションレベルにまで進むこと増えたと思います。でも、デバイスの場合、必ずぶち当たるのは「量産や商用化の壁」だったりします。ここらへん、ソラコムとしてはサポートあるんでしたっけ?

松下:まず支援するプログラム自体は存在しています。具体的にはソリューションアーキテクトやハードウェアに強い事業開発のメンバーが、お客さまのサービスのローンチまで伴走するような仕組みを用意しています。だから、ノウハウがなくても、実現するための支援は提供できます。

大谷:人材的にハードウェアに強い方もいるんですか?

松下:ソラコムのIoTデバイスの検証もしていますので、ハードウェアに強いメンバーもいます。検証を行なうメンバーのスキルやノウハウを、お客さまのために提供するということもあります。

桶谷:入出力の電圧にやたら詳しいメンバーもいます。また、デバイスを開発する場合も、プロトタイピングから量産支援までまるまるサポートするSORACOM エンジニアリングサービスも提供します。利用実績も増えているので、経験もどんどん積んでいる感じです。

大谷:ハードウェア周りで今お客さまが困っているところってどこらへんなんでしょうか?

桶谷:ご時世的に、デバイスや部品の調達はみなさんどこも苦労していますね。この話は出ない会社の方が少ないです。

あと多いのは、やはり電源の問題ですね。IoTを使いたい場所って、けっこう辺鄙なところだったりするので、電源が取れない場合があります。クラウドやソフトウェア側からアーキテクトすると、デバイスに電源はあるのは当たり前という前提になるので、一番ぶつかりやすい壁ですね。

大谷:確かに既存のITを考えても、電源がとれないところはあまり前提にならないですよね。

松下:電源問題に行き着くお客さまは、現在のIoTにおけるトップランナーですね。つまり、ほかの課題は解決して、やりきってる状態。最後にぶち当たる壁です。

桶谷:僕の場合は、この問題は最初からお客さまに出していきますね。いずれぶち当たる問題なので。

大谷:なるほど。電源問題はIoTで最後にやっつけるべきラスボスなんですね。

デバイスからソリューションへ そして次世代のモノづくりへ

大谷:次はどうなるのでしょうか?

松下:デバイスという観点だと、センサー入りのIoTデバイスは今のモノづくりの考え方で作られているという意味では、完成形に近い。一方で、この数年で手がけるようになったのが、デバイスよりもソリューションに近いアプローチです。

たとえば、2022年から提供を始めたSoracom Cloud Camera Services、通称「ソラカメ」は、クラウドに録画データを溜めておけるので、対応カメラを置くだけで使えます。

プロダクトからソリューションへ

桶谷:カメラは汎用的に使えるという点が大きいですね。たとえば、ソラコムが特定のメーカーのPLCからデータを引き抜くデバイスを作る可能性は低いでしょうね。

大谷:ソラコムとしては、どこかに特化しているのではなく、汎用的である、使い方を限定しないというポリシーがあるんですね。

松下:「使いこなせる人をいかに増やすか」という目的に向けて、ボーダーを設けることなく、いろいろチャレンジしていくのは変わりません。

大谷:桶谷さんは今後のデバイスについてどうお考えですか?

桶谷:映画の「ターミネーター」に液体金属でできた「T-1000」というアンドロイドがいるじゃないですか。あれって、先ほどMaxが言っていた「ハードは変化に弱い」「電源がないと動かない」という問題をクリアしているんですよね(笑)。夢物語ですが、T-1000のような液体金属が実現したり、ワイヤレス給電が劇的に進化したら、デバイス側は劇的に変わります。ネットワーク経由で再プログラミング可能なデバイスができるはず。ソラコムも、そこに向けて汎用性を目指していくのは変わらないと思います。

大谷:ありがとうございます。

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(提供:ソラコム)

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