低消費電力へのニーズが高い補聴器
また、戦略的なアプローチについても言及している。LE Audio固有の機能が、新規参入するベンダーの差別化の可能性を切り拓くという予測だ。例えば、補聴器の分野では消費電力の少なさが重視されるため、LE Audio専用機が有利な分野であるとしている(もともと「LE Audio」は補聴器分野へのBluetoothの普及手段として策定された経緯がある)。
最終的には、5~10年をかけてLE Audioが市場になじんでいくだろう。実際にはクラシックBluetoothとLE Audioが明確に分かれるというよりも、消費電力、音質、大きさ、価格などを考慮しつつ、両者が技術的に融合していくかもしれないとBluetooth SIGでは予測している。
つまり、実際にLE Audioがどのように普及していくかは、技術そのものよりも、ベンダーがLE Audioをいかにセールスポイントにできるか、あるいはユーザーがいかにそこに価値を見出せるかという戦略次第と言えるだろう。ただし、冒頭に述べたように、やっと土台が固まってきた程度の現状からはまだ見えてこない。誰がどう仕掛けてくるのか、あるいは誰もそうしないで自然な市場遷移に任せるのか。こうした市場の動向そのものが、しばらくの注目点となっていくのではないだろうか。
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