週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

タブレットは3対2画面とファンレス無音がいいですね~

「Surface Pro 9」 5Gモデル実機レビュー = 最強タブレットPCが最新CPUで最速化していた!

2022年10月25日 22時00分更新

 マイクロソフトは10月12日に、「Surface」の2022年モデルを発表した。Surface Pro 9、Laptop 5、Studio 2+である。日本でも各機種が発売される予定で、今回は、Surface Pro 9を試用してみた。

5Gモデルは現時点ではメモリー8GB+SSD256GBモデルのみで21万6480円

12世代コアとSnapdragon搭載モデルが登場
ともに「Surface Pro 9」の仲間に

Surfaceといえばこのスタイルですね

 13型タブレットPCの「Surface Pro」は、8から9へと世代交代になる。Wi-Fiモデルは従来通りのインテルCoreで今回12世代にバージョンアップとなる。そして、従来「Surface Pro X」という別機種だったWWAN搭載機が、「Surface Pro 9」の5GモデルというPro 9のバリエーションとなった。CPU(SoC)はPro Xと同様にArmベースのSnapdragonを採用している。

 Pro 9のWi-Fiと5Gは、ともにサイズやディスプレーのスペックは同じで、CPU(SoC)とインターフェース、最大メモリーとストレージ量、バッテリー駆動時間が異なる。また、Wi-Fiのインテルモデルは冷却ファンがあるが、Armの5Gモデルはファンレスである。

 カラーはPro 9が従来のプラチナ、グラファイトに加え、新色のサファイヤとフォレストが登場。5Gはプラチナのみとなる。

今年はの新色は水色と緑ですが、5Gはプラチナだけになります。

 「Surface Pro 9」Wi-FiモデルのCPUは、コンシューマー向けはi5-1235Uまたはi7-1255U、ビジネスモデルはi5-1245Uまたはi7-1265Uで、ともにIntal Evo認証を受けている。メインメモリーはLPDDR5で8/ 16/ 32GB、ストレージは128/ 256/ 512GBと1TBとなる。

 ディスプレーは13インチのPixelSense Flow Displayで3対2比率、2880×1920ドット、リフレッシュレート120Hz、コントラスト比1200対1。インターフェースはThunderbolt 4×2に、Surface Connect portとKeyboard portで、無線はWi-Fi 6EとBluetooth 5.1を搭載する。

13インチ2880×1920ドットで明るさも彩度も不満がないですね。

 「Surface Pro 9」5GモデルのCPU(SoC)はSnapdragonのスペシャル版「Microsoft SQ3」で、グラフィックはSQ3内蔵の「Adreno 8CX Gen 3」となる。Microsoft SQ3は、Surface Pro Xに搭載していたMicrosoft SQ1/2の上位版で、Snapdragon 8cx Gen 3を基にしたCPUだ。

 メインメモリーはLPDDR4xを8/ 16GB、ストレージは128/ 256/ 512GBとなっている。ディスプレーはWi-Fiモデルと同じで、インターフェースはThunderboltではなくUSB 3.2のType-C×2に、あとはSurface Connect port、Keyboard port、そしてnano SIMスロットを持ち、eSIMも内蔵する。5Gの周波数は発売する国で異なり、ミリ波とSub6に対応するが、日本ではSub6対応で予約が開始となっている。

SSDとSIMの収納場所は、背面フラップの下の、向かって左から右側に変更になりました。

 バッテリー容量は、5Gモデルでは48Whだった。カタログ上の駆動時間はWi-Fiモデルが15.5時間に対し、5Gモデルでは19時間持続となっている。

Surface Pro 8と同じサイズだが
インターフェースの並びはSurface Pro Xに

背面にもカメラがあるのは便利です。10MP オートフォーカス機能付きで1080pHDおよび 4kビデオが撮影可能。

フロントカメラは1080pフルHDで、もちろん顔認証のIR、マイクが左右に並びます

縦位置でも週刊アスキー電子版は画面にピタリのサイズです!

 Pro 9の本体サイズは287×208×9.3ミリとPro 8と同寸で、重量はWi-Fiモデルが879グラム、5Gのミリ波モデルが883、Sub6モデルは878グラムとなる。Pro 8と変わらずだが、インターフェースの位置は、Pro 8と異なり、Pro Xに近いものになっている。

 Surface Proの本体サイズはPro 7からPro 8に世代交代するときに、Pro Xに近づいている。Pro 7の292×201ミリから、Pro 8では287×208ミリへと、長辺は5ミリ短く、短辺は7ミリ長く、より正方形に近くなった。厚みは8.5ミリから9.3ミリへと0.8ミリ増えたのが、そのまま継続しているわけだ。

 インターフェースは、従来のProシリーズは、本体の向かって左側にボリュームボタンとイヤホンジャックが、右側に電源ボタンとタイプC×2とSurface Connectが並んでいた。

 今回のPro 9ではサイズだけでなくインターフェース並びもPro Xと同じになり、本体上面に電源ボタンとボリュームが、左にタイプC×2が、右側にSurface Connectがある。イヤフォーンジャックは廃止されている。

タイプC端子とSurfaceコネクターが別々のサイドになりました

ボリュームのシーソーボタンと電源ボタンは本体上面になって、格段に押しやすいです。

下側にはキーボード用コネクターがあり、磁力で強力に合体します。

片側にだけ信号ピンがあります。

 Surface Connectは主にACアダプターとの接続に使うのだが、ご存じの通り平たいコネクターから横方向にケーブルが出る形で、まわりにコネクター端子があると干渉しがちだ。なので、今回のように単独で右側にあるのはストレスがなくていいのである。

 オプションとなるキーボードは、Surface Pro Signature Keyboard、Surface Pro Keyboardと、Surface Pro X Signature Keyboard、Surface Pro X Keyboardが利用可能だ。ありがたいことに、日本でも日本語配列だけでなく、US配列も購入できる。ペンはMicrosoft Pen Protocol (MPP)対応で、Surface Slim Penはワイヤレスで充電可能である。

 今回は、最新の「スリムペン2つきSignatureキーボード」で試用した。自分は筆圧ならぬキーボード押し圧が強いほうなので、相変わらずキーボードがたわむのが若干気になるが、キー間隔は十分あるし、日本語キーも幅寄せされておらず、キーボードとしての使い勝手はいい。また、いまどきのモバイルノートとしては、タッチパッドが100×57ミリと、特に奥行き方向が狭めだ。Surface Proの画面はかなり正方形に近い3対2比率なので、特に上下方向が狭く感じるのかもしれない。

キーボード裏はおなじみアルカンターラで手触りいいです。

ペンがなくならないうえ、自動充電されるのもありがたいです。

薄型キーボードですが、きちんとバックライト内蔵で明るさは3段階。

キー間隔は19ミリ確保されています

ペン2はちょっと平べったいですが、軽量で適度な長さで、非常に使いやすいですね

はじめてペンを取り出すと、きちんとチュートリアルの画面が出て使い方を教えてくれます。

ペンを使うときには、机上にべた置きするのではなく、この角度がとても使いやすいです。

 5Gモデルはボディーカラーがプラチナのみだが、キーボードは好きな色が選べるので、今回のサファイアや、フォレスト、ポピーレッドで楽しめる。これはタブレット型2in1ならではのお楽しみなのだ。

 5Gモデルなので、Windowsの右下を押すと、Wi-FiやBluetoothに並んで「携帯ネットワーク」というボタンが現れる。最初に押すとeSIMの契約ガイドから、回線会社のサイトまで飛ぶようになっている。

 eSIMとナノSIMが使えるので、設定の「携帯電話」で、どちらのSIMを使うのスグに切り替えができるようになっている。将来を考えるとミリ波にも対応して欲しかったが、現状ではSub6で十分な速度で通信できた。

5Gモデルでは、最初に通信タブを開けると、eSIMのセットアップガイドが始まります。

キャリアを選ぶと、データプランの説明画面に飛ぶのも親切ですが、日本の大手はなぜかauしかリストにありません。

設定の携帯電話という項目で、あとから設定もでき、eSIMとナノSIMの切り替えも簡単です。

Microsoft SQ3
気になる速度はどうなのか?

 5GモデルのCPU「Microsoft SQ3」はSnapdragon 8cx Gen 3を基にしたCPUで、Windows用のSnapdragonとしては最強モデルだ。8コア8スレッドなので、12世代コアを積んだWi-Fiモデルほど速くはないだろうが、5nmプロセスなので、省電力でバッテリーの持ちは期待できる。

 もちろん、実行するバイナリーはArmなので、通常のインテル用Windowsアプリは翻訳して実行することになりオーバーヘッドとなる。とはいえ、以前は32bitのx86tアプリまでだったが、今ではx64アプリも動くことになっている。いつものベンチマークテストで、通常のインテルバイナリーのWindowsアプリがどれくらいの速度で動くのか予想していこう。

 まず、おなじみのCINEBENCHで、R20はシングルコアが218、マルチコアが1385、R23では593と3731という結果だった。

 Snapdragon 8cx Gen 3を搭載する「ThinkPad X13s」では、R20が219と1166、R23が583と2785だったので、マルチではPro 9の5Gモデルが119%と134%の速度を出したことになる。ファンレスマシンとしては見事なまっわりっぷりだ。

 とはいえ、先代のi7-1185G7(4コア8スレッド最大4.8GHz)搭載Surface Pro 8では2214と5623だったので、それに比べると約65%の処理能力ということになる。

 3Dグラフィック性能のテスト3DMarkでは、Armマシンでは動作しないプログラムが多い。動作可能なWildlife Extremeで比べると、Pro 8が3896、Pro 9の5Gモデルが3060、ThinkPad X13sが3027だった。8cx Gen 3の3D性能はi7-1185G7の80%ほどの速度が出ることになる。

 では、Por 9のWi-Fiモデルと5Gモデルはどれくらい速度差があるのだろうか?

 今回はWi-Fiモデルはないので、同じi7-1255U(10コア12スレッド最高4.70GHz)を搭載するモバイルノート「LIFEBOOK MH」の結果で見てみよう。

 「LIFEBOOK MH」では、R20が2819、R23は7527だったから、Pro 9 5Gモデルの約2倍の速度ということになる。「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレベンチマーク」はPro 9 5Gモデルが5033でi7-1255Uが7228だったので、3D能力は12世代コアのほうが約1.4倍ということになる。もちろんどちらのテストもMicrosoft SQ3にはバイナリーコードのハンディがあるうえでだ。

 Pro 9の5Gモデルはファンレスなので、空気の自然流通と、ボディーの背面からの放熱となるが、ベンチマークソフトを連続で動作させても、速度の低下は起きなかった。さすがに、ボディー背面は暖かくなるが、持てないまではいかない。社外や客先で使っても、ブヲーンと排気音がしないのはスマートでうれしいのである。

左上の画面のとおり、3DMarkの多くは起動できません。

 ディスク速度はシーケンシャルマルチアクセスのリードが3200MB/s、ライトが1625MB/sだった。PCIe3.0x4のディスクとしては書き込みが少々ものたりないが、順当な結果だろう。

Geekbenchの結果も「ThinkPad X13s」とほぼ同じでした。

 気になるバッテリーの持ちだが、ディスプレー輝度100%で、Wi-Fiでネットアクセスを連続して実行で、ちょうど10時間動作した。バッテリー長持ちマシンと言っていい持ちである。

 チャージのほうは同様に輝度最高でWi-Fiを動作させながらで、50%までが41分、70%まで63分、90%まで87分と高速だった。付属するのは40Wのアダプターなので、試しに100WのSurface用ACアダプターで充電してみたところ、50%までが38分、70%まで51分、90%まで74分と、10分づつ改善された。

 さらに、おなじみAnkerの65W出力のACアダプターをタイプC端子に接続したところ、15V2.3Aつまり35Wで供給できた。荷物を減らしたい場合、超軽量アダプターで代用できそうだ。

付属するのはSurface用としては最小の40Wのアダプターです。

ACアダプターと電源ケーブルは合わせて209グラムです。

Pro 9 5Gの本体は実測880グラム、キーボード+ペンは289グラムで、合計は1169グラムでした。

5Gで高速通信できバッテリーも長持ち
書籍や雑誌閲覧、書類の赤入れには最強

週刊アスキー電子版を横位置見開きで読むのにピタリの縦横比です。

 Pro 9 Wi-fiモデルの直販価格は、i5-1235U搭載で17万4600円から、i7-1255Uでは24万8380円からとなっている。5Gモデルは現時点ではメモリー8GB+SSD256GBモデルのみで21万6480円だ。

 新ボディーカラーのサファイヤとフォレストのキーボードも予約可能で、スリムペン2付きで3万3660円だ。また、英国のLibertyとタイアップしたプリント柄モデルはキーボードのみ予約可能となっている(約1万円高い)。いずれも11月29日販売開始予定だ。

 ArmアーキテクチャーのWindowsは、まだ若干、動作しない(動作させない)x64のWindowsアプリがある。そういったアプリの動作が必須という人は注意が必要だが、最近はWEBサービスでも多くの仕事ができるので、いっそのこと切り替えてしまうというのも手ではある。

AdobeではPhotoshopとLightRoomのみインストールできました(左)。WEBで動作するExpressのようなサービスはもちろん動きます(右)。

 13インチで3対2比率のWindowsタブレットは、書籍や雑誌のリーダーとしてはもちろん、ペンを使って書類に赤入れするのに、とても重宝するPCだ。そのうえ、5G通信機能が入っているこのモデルは、Wi-Fi設備が期待できない場所でも高速通信で常に仕事ができるという強みがある。そして、コアiモデルとちがって、ファンレスなので、無音で動作するうえ、バッテリーが1.5倍持つのは、外で仕事をする時には強い味方となる。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう